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2025年10月16日

2025.10.16 発行

HEADLINE

◆電子材料:イビデンが大野事業場の開所式を実施(10月10日)
◆水素関連:豊田通商、ユーラスエナジー、岩谷産業の3社が愛知製鋼知多工場で実施するオンサイト型低炭素水素製造供給
 事業への水電解装置納入の計画を発表(10月10日)
◆コート剤:ハリマ化成グループが紙素材用水系バリアコート剤を開発(10月9日)
◆バイオマス:出光興産がベトナム初のブラックペレット生産工場を稼働(10月9日)
◆電池材料:住友金属鉱山とトヨタ自動車が全固体電池用の正極材量産に向けて協業(10月8日)
◆電子材料:JX金属が結晶材料の増産に向けた設備投資の追加を発表(10月8日)
◆放熱塗料:帝人フロンティアが電子機器を熱から守る放熱塗料「ラジエックス」を開発(10月8日)
◆リサイクル:レゾナックがプラスチックのケミカルリサイクルによる低炭素アンモニア事業拡大を決定(10月6日)
◆価格改定
・日本板硝子が国内建築用板ガラスを2026年1月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:イビデンが大野事業場の開所式を実施(10月10日)
 イビデンは、岐阜県揖斐郡大野町にて建設工事、量産準備を進めていた大野事業場の開所式を行ったことを発表した。
 大野事業場は2021年9月に工場用地を取得し、2022年12月着工、2025年1月に開設した。同社国内最大級の生産エリアを誇る世界最先端のICパッケージ基板生産工場として、AIサーバー向け製品を中心に10月より量産稼働を順次開始する。
 近年、AIサーバー向けを中心とする最先端のICパッケージ基板の需要は拡大しており、大野事業場での量産と既存工場のフレキシブルな活用を合わせ、高付加価値製品の受注を最大限取り込んでいくとしている。

◆水素関連:豊田通商、ユーラスエナジー、岩谷産業の3社が愛知製鋼知多工場で実施するオンサイト型低炭素水素製造供給事業への水電解装置納入の計画を発表(10月10日)
 千代田化工建設は、トヨタ自動車と共同で開発中の、水を電気分解し水素を製造する水電解装置を、豊田通商、ユーラスエナジー、岩谷産業の3社が愛知製鋼知多工場で実施するオンサイト型低炭素水素製造供給事業に納入する計画であることを発表した。
 今回納入を計画する水電解装置は、トヨタが持つ燃料電池技術を用いたセルスタックの生産や量産技術と、千代田化工建設が持つプロセスプラント設計技術や大規模プラントの建造技術を融合し、トヨタ製のスタックを用いて千代田化工建設が製造・販売するものである。
 本事業は、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律に基づく価格差に着目した支援」に経済産業省から認定されており、愛知製鋼知多工場の敷地に水電解装置を設置し、ユーラスエナジーが所有する風力発電所の電力を用いてオンサイトで低炭素水素を製造・供給する計画としている。

◆コート剤:ハリマ化成グループが紙素材用水系バリアコート剤を開発(10月9日)
 ハリマ化成グループは、耐水・耐油性、耐熱性、防湿性といった機能を持ち合わせた環境性に優れる紙素材用水系バリアコート剤を開発したことを発表した。
 バリアコート剤は、ラミネート処理が不要なため、包装材料のリサイクル性を高めることができる。また、脱プラスチックの動きやプラスチックゴミ問題への対策として欧州や北米を中心にラミネートの代替として採用が広がっている。
 開発品は、松から得られるロジンをベースとしたバイオマス由来成分を最大で約85%含むため、環境性と高い性能を両立させ、紙製品の利用範囲を拡大させる。また、水系素材で、溶剤を使用しないことから、製造時の作業環境や人体への負担を低減する。さらに、食品包装材への適用に向けてより高い安全性が求められる「間接食品添加物」としては、米国FDA、ドイツBfR、スイス条例、EUプラスチック規則、国内のPL制度など、各国の法規制に対応し、サステナブルな紙包装材の普及を後押しする。
 プラスチック製フィルムの代替となる紙製品の市場は、食品包装や容器を中心に脱プラスチックのニーズを受けて拡大しており、国内だけでも2027年に35億円に達すると予測されている。新しく開発した水系バリアコート剤は、このような市場の変化に対応するとしている。

◆バイオマス:出光興産がベトナム初のブラックペレット生産工場を稼働(10月9日)
 出光興産は、ベトナム・ザライ省に世界最大規模のブラックペレット(BP)生産工場を建設し、商業運転を開始したことを発表した。
 BPは、樹木などのバイオマスを加熱処理したエネルギー資源で、燃焼時にCO2を排出するものの、原料の植物が成長する過程でCO2を吸収するため、差し引きをして「カーボンニュートラル」とされている。
 同工場は、年産12万トンの製造能力を持ち、ベトナム初のBP生産工場である。石炭を使用している日本国内の顧客に脱炭素の代替燃料として、本工場で生産されるBP(IGEP)を供給する。IGEPは、一般に普及している木質ペレットを半炭化した高カロリー燃料であり、他のバイオマス燃料と比較して石炭に近い取り扱いが可能である。そのため使用に際し石炭用の既存設備の大規模な改造は必要なく、スムーズな燃料転換が可能としている。

◆電池材料:住友金属鉱山とトヨタ自動車が全固体電池用の正極材量産に向けて協業(10月8日)
 住友金属鉱山とトヨタ自動車は、バッテリーEV(BEV)に搭載する全固体電池の正極材量産に向けて共同開発契約を結んだことを発表した。
 全固体電池は、正極・負極・固体電解質を主な構成素材とし、現在主流の電解液を使用した液系電池と比べて、小型化・高出力・長寿命のポテンシャルを持つ次世代の電池である。BEVに搭載した場合、航続距離の拡大や充電時間の短縮、高出力化などの性能向上が見込まれ、トヨタでは 2027~2028年の実用化を目指している。
 両社は、全固体電池用の正極材について2021年頃から共同研究を進め、研究テーマの1つとして充放電を繰り返す中での正極材の劣化という課題に取り組んできた。その解決策として、住友金属鉱山が持つ、独自の粉体合成技術を活用し、全固体電池に合った「耐久性に優れた正極材」を新たに開発した。住友金属鉱山はこれまで多くの電動車に正極材を提供してきた知見を活かし、新開発した正極材の供給やその後の量産化を目指す。
 両社は今後も、全固体電池用の正極材量産に向けた性能や品質、安全性の向上、コスト低減など多岐にわたる領域で開発を進め、世界初のBEVでの全固体電池の実用化に挑戦していくとしている。

◆電子材料:JX金属が結晶材料の増産に向けた設備投資の追加を発表(10月8日)
 JX金属は、光通信分野を中心に需要が急増している結晶材料であるインジウムリン(以下、InP)基板の生産能力をさらに強化するため、設備投資を実施することを発表した。
 近年、生成AIの急速な進化を背景に、ハイパースケールデータセンターの建設が加速しており、それに伴ってデータセンターにおけるデータ伝送量も急増している。これに比例して消費電力も増加しており、高速かつ大容量のデータ伝送を可能で、消費電力の削減にも寄与する光通信への移行が進んでいる。
 この光通信を支える重要な材料の一つが InPである。InPは電気信号と光信号を相互に変換できる特性を持ち、光通信における受発光素子をはじめ、ウェアラブル端末の近接センサー、産業用イメージセンサー、光トランシーバーなどに用いられる先端材料である。今後、次世代の情報通信基盤技術として開発が進められている光電融合技術においてもInPの採用が見込まれており、データセンター間通信のみならず、基板間やチップ間通信への活用も期待されている。
 今回の投資額は約33億円で、生産能力は2025年比で約5割強の増強を予定しており、2027年度の稼働開始を目指している。InP基板の需要は今後も継続的な増加が見込まれており、さらなる追加投資の検討も進めるとしている。

◆放熱塗料:帝人フロンティアが電子機器を熱から守る放熱塗料「ラジエックス」を開発(10月8日)
 帝人フロンティアは、高熱伝導性能を有するグラフェンなどの特殊フィラーと高耐熱樹脂を用いることで、高い放熱性能と塗布面への密着性、耐久性を発揮する放熱塗料「ラジエックス」を開発したと発表した。
 半導体や電子機器の小型化・高性能化に伴い、発熱による寿命短縮や性能低下が課題となっている。従来はサーマルインターフェイスマテリアル(TIM)とヒートシンクなどを組み合わせた部品が用いられてきたが、限られた空間では放熱性向上に限界があった。帝人フロンティアはこの課題に対し、放熱部材や筐体などに塗布することで放熱性を高める塗料の開発を進めてきた。
 「ラジエックス」は、粒径5~15μmのグラフェン粒子を含む複数の高熱伝導フィラーを塗料内に均一分散させることで、高い熱伝導性を実現。形状の異なるフィラーを混合することで塗膜表面の微細構造により赤外線放射を促進し、放射率を向上させる。さらに非シリコーン系の高耐熱樹脂を用いることで、−40℃〜200℃や高湿度条件でも剥離せず、優れた密着性と耐久性を発揮する。
 帝人フロンティアは、2026年度中に、塗装面がアルミニウムや銅などの金属である、電子機器や電子機器が搭載された製品向けに販売を開始する。また、今後は樹脂部品にも塗装可能な製品開発を進めていく。売上目標としては2028年度に1億円、2030年度には10億円を目指すとしている。

◆リサイクル:レゾナックがプラスチックのケミカルリサイクルによる低炭素アンモニア事業拡大を決定(10月6日)
 レゾナックは、川崎事業所におけるアンモニア事業において、使用済みプラスチック由来の水素のみを原料とすることで、アンモニアの低炭素化を図ることを発表した。
 本施策は、経済産業省の「価格差に着目した支援」の対象事業に同社アンモニアの需要家である日本触媒と共同申請し、2025年9月30日付で認定され、2030年4月からの設備稼働開始を計画している。
 現在、同社の川崎事業所では、①「使用済みプラスチックをガス化ケミカルリサイクルによって得られる水素(以下、使用済みプラ由来の水素)」及び②「都市ガスを改質することによって得られる水素」を原料にして、アンモニアを製造・販売している。
 今回、①使用済みプラ由来の水素のみを原料にしてアンモニアを製造することで、自社の国内生産アンモニアの低炭素化を目指す。既存プロセスを基盤としながら、新たなプロセスの開発・導入により、実現する計画である。また、2024年から、使用済みプラスチックに加えて使用済み衣料も原料として実証実験を開始している。これにより、アンモニアの誘導品であるアクリロニトリルを繊維メーカー等へ供給することで、衣料の資源循環の実現も目指すとしている。

◆価格改定
・日本板硝子が国内建築用板ガラスを2026年1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、建築用板ガラス製品:10~25%、鏡製品:20~25%、
 建築用機能ガラス製品:15~20%

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