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2024年3月21日

2024.03.21 発行

HEADLINE 

◆電子材料:東レがハイブリッドボンディングに対応した新規絶縁樹脂材料を開発(3月14日)
◆電子材料:TOPPANがシンガポールにFC-BGA基板の生産拠点を新設(3月15日)
◆非鉄金属:JX金属が茨城県日立市内における圧延銅箔に関する新工場を竣工(3月14日)
◆樹脂:信越化学工業が乳化剤を使用しない水系速硬化シリコーンレジンを開発(3月14日)
◆光学材料:日本ゼオンが革新的な視覚効果を持つ新素材を開発(3月14日)
◆プラントエンジ:日揮ホールディングがアラブ首長国連邦向け大型低炭素LNGプラント新設プロジェクトの先行役務を受注(3月14日)
◆電子材料:住友ベークライトの台湾子会社が半導体封止材新工場の竣工式を実施(3月12日)
◆複合材料:三菱ケミカルグループが植物由来樹脂を用いた炭素繊維プリプレグを開発(3月12日)
◆電池材料:東レがイオン伝導度10倍の次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を創出(3月11日)
◆リサイクル:アイカ工業が廃材を活用した2種類のメラミン化粧板を開発(3月11日)
◆無機:レゾナックが青化ソーダの販売を終了(3月11日)
◆価格改定
・住友化学がポリエチレン、ポリプロピレンを3月25日納入分より値上げ
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を4月1日納入分より値上げ
・東レがスパンボンド不織布(ポリエステル・ポリプロピレン)及び人工皮革を4月出荷分から値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:東レがハイブリッドボンディングに対応した新規絶縁樹脂材料を開発(3月14日)
 東レは、半導体やディスプレイ向けの絶縁樹脂材料のポリイミドコーティング剤をベースとし、ハイブリッドボンディング(微細接合)に対応した新規絶縁樹脂材料を開発したと発表した。
 近年、高性能パッケージング技術として、半導体チップを縦積みする3次元実装が注目されている。特に、高性能半導体チップでは、ハイブリッドボンディングの適用が期待されている。ハイブリッドボンディングはバンプを用いずに金属配線同士を直接接合することで、配線距離を短縮することができる。
 ハイブリッドボンディングは、異種チップの高密度実装のため、ウェハ基板の一方をチップサイズに加工した後に、もう一方のウェハ基板に貼り合わせるC2W(Chip to Wafer)の実装方式が注目されている。しかし、現状、チップに加工する際のダイシング工程で生じるシリコンダストの混入などの課題がある。
 同社は、高耐熱性、高機械物性を有する絶縁樹脂材料を用いて、シンガポール科学技術研究庁における半導体分野の研究機関と連携しハイブリッドボンディングの実験実証を進めている。この連携により、異種チップを一つのパッケージに実装するチップレットの歩留まりと信頼性向上を目指している。
 今後、同社は、試作や顧客へのサンプル提供を進め、2025年には材料認定、2028年には量産を目指すとしている。

◆電子材料:TOPPANがシンガポールにFC-BGA基板の生産拠点を新設(3月15日)
 TOPPANは、シンガポールに高密度半導体パッケージのFC-BGA(Flip Chip  Ball Grid Array)基板の生産拠点を新設し、生産能力を拡大すると発表した。
 同社は現在、FC-BGA基板の生産拠点である新潟工場で生産能力の拡大を進めているが、パッケージ基板の大型化に伴う製造負荷は大きく、将来の需要増に対応するためにはさらなる生産能力の拡大が必要となっている。また、BCP(事業継続計画)の観点からも、複数拠点での生産体制が求められており、2拠点での生産体制を確立することで、地政学的、自然災害にかかるリスクを分散する。
 新工場では、新潟工場で培ってきた基板製造ノウハウや最先端の自動化ラインを導入し、世界最高水準の品質と歩留の実現を目指している。2026年末に稼働開始を予定しており、2027年度までにFC-BGA事業で2022年度対比で2.5倍以上の生産能力拡大を目指すとしている。

◆非鉄金属:JX金属が茨城県日立市内における圧延銅箔に関する新工場を竣工(3月14日)
 JX金属は、日立事業所(茨城県)の白銀地区で建設を進めていた圧延銅箔の新工場が完成したことに伴い、竣工式を実施したことを発表した。同工場は今後、日立事業所銅箔製造部の一部として運営していく。
 これまで日立事業所の銅箔製造部では、圧延銅箔の最終工程である表面処理を行っていた。今回完成した新工場では、従来倉見工場(神奈川県)のみが担っていた圧延工程の生産ラインの一部を導入し、生産能力増強をはかるとともに、BCP体制を強化する。
 同社の圧延銅箔は、高速通信の普及、各種先端デバイスの小型化、高機能化等に加えて、CASE化が進むモビリティ、ロボット向けフレキシブルプリント基板の伸張などに牽引されることで中長期的に需要が拡大すると予測されている。
 同社は今後、今回の新工場の稼働と国内外の既存工場の生産体制強靭化により、これらの需要拡大に応えていくとしている。

◆樹脂:信越化学工業が乳化剤を使用しない水系速硬化シリコーンレジンを開発(3月14日)
 信越化学工業は、業界初の乳化剤を使用しない水系の速硬化型シリコーンレジン「KRW-6000シリーズ」を開発したと発表した。
 従来の水系シリコーンレジンには乳化剤が使用されているが、有機溶剤系のシリコーンレジンと比較すると、皮膜特性が劣る傾向があり、乾燥と硬化に時を要するという課題があった。同製品は、乳化剤を使用していないため皮膜特性が良好で、加熱により速硬化も可能である。
 同製品の主な特長としては、1.乳化剤を使用していないため、耐水性に優れた皮膜を形成し、硬化後はシリコーンのみの無機皮膜となるため、長期にわたり耐久性、耐候性に優れる。2.有機溶剤を含有していない水溶媒タイプで、硬化反応で発生する物質も水のみである。3.室温で硬化が進行することに加え、80~150℃程度の加熱を数分間行うことにより硬化が促進されるため、温室効果ガスの削減に貢献する。4.最高硬度4Hの高硬度の皮膜の形成が可能である。
 同社は、これまで培ってきた技術力とノウハウを生かして付加価値の高いシリコーン製品を開発・供給することで顧客の様々な課題解決に努めるとしている。

◆光学材料:日本ゼオンが革新的な視覚効果を持つ新素材を開発(3月14日)
 日本ゼオンは、光学フィルム事業などで培った独自技術によって革新的な視覚効果を持つ新素材を開発したと発表した。
 同新素材は、光の反射を利用したさまざまな視覚効果を実現できる広帯域化コレステリック液晶である。
 特徴的な視覚効果としては、1.透明なシートでありながら表と裏で別の図柄がえる表裏反転タイプ、2. 光を当てたり、偏光機能を持つビューワーで見たりすることで図柄が浮かび上がる潜像タイプ、3.肉眼で見える図柄や色が偏光機能を持つビューワーを通すと見えなくなる消像タイプである。また、高い汎用性とデザイン性、豊富なカラーバリエーション、金属の不使用、高い模倣難度といった素材特徴を有しており、美術作品、服飾品、エンタメ用途での活用が想定されている。
 現状、同素材は研究開発品であり、今後の市場開拓に向け、開発を進めていくとしている。

◆プラントエンジ:日揮ホールディングがアラブ首長国連邦向け大型低炭素LNGプラント新設プロジェクトの先行役務を受注(3月14日)
 日揮ホールディングは、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、仏テクニップエナジー社ならびにアラブ首長国連邦NPCC社と共同で、ADNOC(アブダビ国営石油会社)向けLNGプラント新設プロジェクトのEPC役務の先行役務を受注したことを発表した。
 同プロジェクトは、ADNOCがルワイス工業都市にてLNGプラント(年産480万トン×2系列)を新設するプロジェクトである。日揮グローバル、テクニップエナジー社およびNPCC社で構成されるジョイントベンチャーは、ADNOCからの指示に基づき、同プロジェクトのEPC役務の先行役務を開始する。
 新設するLNGプラントでは、原料である天然ガスを圧縮するコンプレッサーの駆動に、従来のガスタービンを使用するのではなく、クリーン電力を使用する電動モーターによる「E-Drive」を採用する。これによりプラント操業時のCO2排出低減に最大限配慮した中東および北アフリカ地域で初となる、また世界でも事例の少ない低炭素LNGプラントとなる予定としている。

◆電子材料:住友ベークライトの台湾子会社が半導体封止材新工場の竣工式を実施(3月12日)
 住友ベークライトは、半導体封止材の台湾子会社(台湾住友培科)の半導体封止材の新工場が完成し、竣工式を行ったことを発表した。
 新工場は正式稼働に向けた作業を進め2024年7月以降生産を開始する予定である。新工場の稼働により台湾子会社の生産能力は従来の2倍となり、台湾半導体市場における地産地消の強みを強化する。
 さらに、東南アジアの半導体市場ではシンガポールのグループ会社との2拠点体制を整えることで、今後、急成長し、大きな需要が見込まれるパワー半導体や車載半導体の用途に向けて、最新鋭の技術・最高品質の商品とサービスで確実に応えていくとしている。

◆複合材料:三菱ケミカルグループが植物由来樹脂を用いた炭素繊維プリプレグを開発(3月12日)
 三菱ケミカルグループは、植物由来の樹脂を用いた炭素繊維プリプレグを開発したことを発表した。
 今回の開発では、炭素繊維プリプレグだけでなくガラス繊維プリプレグもラインナップに加え、「BiOpreg#400シリーズ」としてサンプルワークを開始する。
 炭素繊維プリプレグは、炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状の中間材である。速硬化性、耐熱性、高靭性等の特長を持つことから、スポーツ、モビリティ用途を中心に採用されている。「BiOpreg#400シリーズ」は同社グループ独自の材料設計技術により、含浸させるエポキシ樹脂を植物由来品に置き替えることで、最大で約25%のバイオマス度を実現した。従来のプリプレグと同様の性能を有しているため、従来同様の取り扱いや成形加工が可能である。
 まずはスポーツ・レジャー用途から展開し、自動車の内外装材などモビリティ用途や産業用途への採用をめざす。また、ガラス繊維プリプレグもラインナップに加え、多様なニーズに応えていくとしている。

◆電池材料:東レがイオン伝導度10倍の次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を創出(3月11日)
 東レは、イオン伝導度を従来開発品比10倍に向上した次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を創出したと発表した。
 モビリティの電動化進展に向けて、リチウムイオン二次電池(LIB)には益々の高エネルギー密度化が求められている。そのような中、負極として最も高い理論容量を持つ金属リチウムをLIBの負極に用いた次世代電池の開発が進められている。しかし、金属リチウムは、表面の強い反応性や充放電に伴う溶解・析出形態の安定性に課題があり、特にリチウムデンドライトの成長は短絡(ショート)につながる可能性があるため、大きな課題となっている。また、固体電解質を用いる全固体電池においても、金属リチウム負極の適用には同様の課題があり、実用化には至っていない。
 本ポリマー膜は金属リチウム表面の保護膜として、上記課題の解消に有効に機能することを確認しており、金属リチウムを負極に用いた電池の寿命向上が期待できる。今後、東レは全固体電池や空気電池をはじめとする次世代電池への展開を目指し、早期の技術確立に向けて研究を加速するとしている。

◆リサイクル:アイカ工業が廃材を活用した2種類のメラミン化粧板を開発(3月11日)
 アイカ工業は、「製品の端材・不良品を活用したメラミン化粧板」と「廃棄繊維素材を活用したメラミン化粧板」の開発に成功したことを発表した。  
 「製品の端材・不良品を活用したメラミン化粧板」とは、メラミン化粧板の製造工程で生じる製品端材や不良品を粉砕し、原材料の一部に活用したメラミン化粧板である。端材・不良品の一部はサーマルリサイクルしているものの全量の活用は難しいため、一定量を産業廃棄物として処理しているが、本製品が実用化すれば、産業廃棄物の削減につながる。将来的には製品として使用されたメラミン化粧板を回収・再利用することも視野に入れている。
 「廃棄繊維素材を活用したメラミン化粧板」は、古紙や廃棄衣類などが再資源化されたものを意匠層に活用したメラミン化粧板である。特に大量の衣類廃棄物が社会問題となる中で本製品が実用化すれば、廃棄物の利活用方法拡大につながり、循環型社会の推進・実現に寄与する。
 両製品とも、実用化に向けた開発を進めているが、発売時期は未定であり、今後、量産化に向けたスケールアップや廃材回収の仕組みづくりを進め、実用化を目指すとしている。

◆無機:レゾナックが青化ソーダの販売を終了(3月11日)
 レゾナックは、青化ソーダの販売を終了することを決定したと発表した。
同社は、1966年に川崎事業所(神奈川)で青化ソーダの生産を開始しており、その後、1976年に日本曹達へ製造を委託し、2011年には販売業に特化するという業態変遷を経て供給を続けてきた。
 今回、日本曹達水島工場(岡山県)の閉鎖および青化ソーダの生産・販売終了が決定し、今後の調達先が確保できないことから、青化ソーダの販売終了を決断したとしている。

◆価格改定
・住友化学がポリエチレン、ポリプロピレンを3月25日納入分より値上げ
 値上げ幅は、9円/kg
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を4月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、15円/kg以上
・東レがスパンボンド不織布(ポリエステル・ポリプロピレン)及び人工皮革を4月出荷分から値上げ
 値上げ幅は、10%~15%

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