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2023年7月6日

2023.07.06 発行

HEADLINE

◆医薬原料:旭化成ファーマがNEDOスマートセルプロジェクトの成果を製品化に結実(6月30日)
◆リサイクル:古河電工が無架橋低発泡ポリプロピレンシート向けに再生ポリプロピレン使用比率100%の「エフセル」RCグ
 レードを開発(6月30日)
◆無機:レゾナックが水道向け次亜塩素酸ソーダの生産能力増強を決定(6月29日)
◆リサイクル:リケンテクノスが早稲田大学と塩素含有プラスチックの有効利用の共同研究を開始(6月29日)
◆樹脂:DICが環境配慮型水系ウレタン樹脂の新製品の販売を開始(6月28日)
◆フィルム:東レがナノ積層フィルム技術により次世代モビリティ向け高遮熱フィルムを創出(6月28日)
◆シート:凸版印刷が軽量・フレキシブルなミリ波反射シートを開発(6月27日)
◆リサイクル:王子ホールディングスが使用済み紙コップのマテリアルリサイクルを開始(6月27日)
◆ガラス:AGCが実生産炉でのアンモニアを燃料に利用したガラス製造の実証試験に世界で初めて成功(6月27日)
◆化粧品原料:AGCエスアイテック社が天然由来の素材を使った化粧品原料のシリカ製品の設備増強を決定(6月26日)
◆リサイクル:日本製鉄、UBE、大阪公立大学の「CO2からのポリカーボネートジオール一段合成プロセスの開発」がNEDOの
 委託事業に採択(6月26日)
◆価格改定
・石原産業がアジアパシフィック地域(日本を除く)向け酸化チタンを7月1日出荷分より値上げ
・タキロンシーアイが採光建材製品全般、住宅資材製品全般、管工機材製品全般を8月1日出荷分より値上げ
・タキロンシーアイがポリカーボネートプレート全品種、タキロンプレート関連全製品、塩化ビニルプレート、PPプレート、
 PETプレート、加工補助材料 (丸棒、溶接棒他)、成形用材料、フランジカバーを8月1日出荷分より値上げ
・タキロンシーアイがPVDF製品を8月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆医薬原料:旭化成ファーマがNEDOスマートセルプロジェクトの成果を製品化に結実(6月30日)
 旭化成ファーマは、NEDOのスマートセルプロジェクトで産業技術総合研究所と、体外診断用医薬品の原料となる酵素コレステロールエステラーゼの生産効率向上に取り組み、成果を活用して生産したコレステロールエステラーゼ(製品名:CEN II)の製品化を達成、販売を開始すると発表した。
 このスマートセルは、コレステロールエステラーゼの分泌生産量を野生株の30倍以上に向上し、従来の育種法ではできなかった高生産型スマートセルの構築を初めて実現したものである。世界的な健康意識の高まりにより脂質異常症の検査と、それに用いる体外診断用医薬品への需要が高まっており、その原料についても今後も需要が拡大することが見込まれる。
 今後同社は、スマートセルを活用したCEN IIを体外診断用医薬品原料として国内外に供給することを通じ、脂質異常症の検査に貢献するとしている。

◆リサイクル:古河電工が無架橋低発泡ポリプロピレンシート向けに再生ポリプロピレン使用比率100%の「エフセル」RCグレードを開発(6月30日)
 古河電工は、再生材配合技術を活かし、無架橋低発泡ポリプロピレンシート「エフセル」で、再生ポリプロピレン使用比率100%のRCグレードを開発したと発表した。
 「エフセル」は、なめらかな表面性、軽量性、加工性の良さから主に文具ファイルの表紙や通い箱の仕切り材、スペーサ、養生材、筐体など様々な用途で使用されている。
 エフセルシリーズを製造する平塚工場(神奈川県)では、2022年10月より使用する全電力をグリーン化しており、今回開発した再生ポリプロピレン使用比率100%のRCグレードでは、再生材およびグリーン電力の使用で、製品単位あたりのCO2排出量を82%削減(従来のRCグレードでは58%削減)となることが期待されるとしている。

◆無機:レゾナックが水道向け次亜塩素酸ソーダの生産能力増強を決定(6月29日)
 レゾナックは、川崎事業所(神奈川県)において水道向け次亜塩素酸ソーダ(以下、次亜)の生産能力を増強すると発表した。
 次亜は、上下水道をはじめとした水処理の殺菌や消毒等で主に使用されている。以前は水道の殺菌・消毒では液化塩素が使われていたが、多くの自治体では次亜に切り替えが完了している。加えて、水道法の規制強化に伴い、臭素酸や塩素酸の低減化が重要視され、より次亜の品質向上が求められるようになっている。
 今回、関東圏の自治体で、①液体塩素から次亜への切り替え、②品質の観点から自製次亜から市販次亜の切り替えによる新たな使用が計画されており、需要拡大が見込まれるため、同社は次亜の生産能力増強を決定した。
 増強時期は2024年末を計画しており、生産能力は現行比30%以上引き上げる予定としている。

◆リサイクル:リケンテクノスが早稲田大学と塩素含有プラスチックの有効利用の共同研究を開始(6月29日)
 リケンテクノスは、早稲田大学と共同でポリ塩化ビニル(以下、PVC)に代表される塩素含有プラスチックの有効利用法開発に着手すると発表した。
 PVCはポリマー骨格中に塩素を含有しており、分解反応時に生成する塩素含有化合物の取り扱いや、炭素を主成分とする残渣骨格の複雑さから、リサイクル技術の難易度が高いとされている。また、添加剤と共に溶融混練されたPVCコンパウンドが成形品原材料となる場合も多く、分解反応に対しての添加剤影響も不明な点が多く存在する。
 PVCのケミカルリサイクル技術の確立が難しいとされることから、同社は早稲田大学の研究グループと共同で塩素含有プラスチックを用いた廃金属化合物からの有用金属回収技術の開発に着手する。共同研究では、同社が実際に使用されているPVC製品のモデルとなるようなPVCコンパウンドを作成し、それらを用いて早稲田大学にて金属塩化物への転換反応の最適化を検討するとしている。

◆樹脂:DICが環境配慮型水系ウレタン樹脂の新製品の販売を開始(6月28日)
 DICは、環境配慮型水系ウレタン樹脂の新製品「HYDRAN(ハイドラン)GPシリーズ」の販売を開始したと発表した。
 従来の水系ウレタン樹脂は、風合い、屈曲性、耐加水分解性、保存安定性など一部の性能面で溶剤系に劣るといった課題があり、さらに含有するアミン系物質の影響で臭気にも課題があった。これらの課題を解決するため、同社は従来の溶剤系と遜色のない品質を有する水系ウレタン樹脂を開発した。
 同製品は、環境に配慮した水系の製品でありながら、臭気の原因であるアミン系物質を含まないため、加工プロセスおよび最終製品の臭気およびVOC(揮発性有機化合物)を低減する。さらに、従来35~50%程度であった樹脂濃度を50~60%に高め水分量を削減することで、原料調達から最終製品の生産工程におけるGHG(温暖化ガス)排出量を従来の溶剤系ウレタン樹脂に比べ約60%削減する。
 同社のサステナブル製品として、グローバルで合成皮革・人工皮革、塗料、接着剤用途などに展開し、2030年に売上高100億円を目指すとしている。

◆フィルム:東レがナノ積層フィルム技術により次世代モビリティ向け高遮熱フィルムを創出(6月28日)
 東レは、ナノ積層フィルム技術の革新により、ガラス並みの透明性と太陽からの赤外線に対する世界最高レベルの遮熱性を備えた、次世代モビリティ向け高遮熱フィルムを創出したことを発表した。
 同フィルムをEVのフロントガラスに実装した結果、最大で夏場の走行時の冷房消費電力を約3割削減でき、また航続距離を約6%向上できることを実証した。加えて、通常の遮熱ウインドウでは不快感を覚える夏場環境条件でも-2℃の体感温度抑制を示し、搭乗者の快適性向上を確認している。また、一部の自動車で採用される金属スパッタガラスでは、優れた遮熱性能を示す一方で電波透過性に課題があったが、同遮熱フィルムは、より優れた遮熱性能に加えて、金属を用いないことから5G通信電波への高い透過性も備えている。
 同社は自動車フロントガラスやサンルーフに対応できる大面積フィルムの供試を進め、実車搭載を目指すとしている。

◆シート:凸版印刷が軽量・フレキシブルなミリ波反射シートを開発(6月27日)
 凸版印刷は、第5世代移動通信システム(5G)で使用する波長1~10mmの電波を所望の方向に反射させる、ミリ波反射シート(以下、同開発品)を開発したことを発表した。
 同開発品はメタサーフェス構造を有する軽量でフレキシブルなシートで、5Gで使用するミリ波帯において、所望の方向に電波を反射させることができるため、電波が届かない不感地帯の高速・多数同時接続を可能にする。また、木目調や大理石調など反射シートの表面への意匠性の付与に優れ、オフィスや工場建屋の室内用壁紙として使用することができる。
 同社は今後、屋外用途や次世代の第6世代移動通信システム(6G)へ応用するための開発も進め、5Gだけでなく、6Gにおいても、電波の不感地帯を解消し、データ通信の超高速・超低遅延・多数同時接続が可能な安全安心な通信環境を実現するとしている。

◆リサイクル:王子ホールディングスが使用済み紙コップのマテリアルリサイクルを開始(6月27日)
 王子ホールディングスは使用済み紙コップの回収・再利用システムを新たに構築し、「使用済み紙コップのマテリアルリサイクル」を開始したことを発表した。
 紙コップは一般的に防水のためプラスチックラミネート加工が施されており、使用済み紙コップは使用後の飲料の汚れや臭いを除去する必要があるなどの様々な観点から、再利用するためには多くの課題が残っていた。
 同社は、課題解決に向け、汚れや臭いのついた大量の使用済み紙コップを破砕、洗浄し、さらに紙とラミネートフィルムを分離して、繊維分を効率的に回収するシステムを確立した。これにより、大量の使用済み紙コップのマテリアルリサイクルが可能となり、2023年3月より、関西地区の飲料自動販売機から一か月あたり約100万個の紙コップを回収し、段ボール原紙への再利用を開始している。
 王子グループは、環境配慮型素材や製品の開発を通して、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。

◆ガラス:AGCが実生産炉でのアンモニアを燃料に利用したガラス製造の実証試験に世界で初めて成功(6月27日)
 AGCは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業として取り組んでいる「燃料アンモニア利用・生産技術開発」において、世界初となる実生産炉でのアンモニアを燃料に利用したガラス製造の実証試験に成功したと発表した。
 本事業は、大陽日酸、産業技術総合研究所、東北大学と共同で技術開発に取り組んでいる。今回、AGC横浜テクニカルセンターの建築用ガラスを製造するガラス溶解炉(実生産炉)に、大陽日酸が開発した、多段燃焼により火炎温度の急激な上昇を防ぐバーナーを導入し、アンモニアを燃料として利用した世界初の実証試験を実施した。今回の試験では、ガラス溶解炉の必要温度を維持しつつ、排ガスに含まれるNOx濃度が環境基準値を下回る結果が得られた。
 2023年は、引き続きAGC横浜テクニカルセンターの建築用ガラスを製造するガラス溶解炉を使用し、さまざまな条件下でアンモニアを燃料とした技術検証を行う予定である。さらに、2024年以降は、スケールアップしたバーナー試験や、AGC他拠点のガラス溶解炉での実証試験を計画しており、アンモニア燃焼技術の活用範囲を見極めた上で、2026年以降の本格導入を目指すとしている。

◆化粧品原料:AGCエスアイテック社が天然由来の素材を使った化粧品原料のシリカ製品の設備増強を決定(6月26日)
 AGCの100%子会社であるAGCエスアイテックは、天然由来の素材を使用した環境に優しい化粧品原料であるシリカ製品RESIFA(レシファ)SUNSPHERE(サンスフェア)の生産能力増強を決定したことを発表した。
 RESIFA SUNSPHEREは、天然由来のケイ素を独自の製法で真球状に加工した化粧品原料であり、べたつき改善、光の散乱機能によるシワ・シミなどのぼかし効果、さらさらした触感など、化粧品に様々な機能を付与できることなどから、現在、世界中の化粧品メーカーで使用されている。
 近年、海洋生物の生態系に対する懸念の高まりを受け、マイクロプラスチックを代替する、環境に優しい化粧品原料として、天然由来原料で安全性が高いSUNSPHEREの引き合いが増加している。同社若松工場(北九州市)で現行の約1.5倍に生産能力を拡張する設備増強を実施し、2025年第2四半期に稼働を開始する予定としている。

◆リサイクル:日本製鉄、UBE、大阪公立大学の「CO2からのポリカーボネートジオール一段合成プロセスの開発」がNEDOの委託事業に採択(6月26日)
 日本製鉄、UBE、大阪公立大学は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/カーボンリサイクル・次世代火力推進事業/カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発において、「CO2からのポリカーボネートジオール一段合成プロセスの開発(以下、本研究開発)」が採択され、2023年4月より研究開発に着手したことを発表した。
 ポリカーボネートジオールは高機能ポリウレタンの原料であり、高機能ポリウレタンは、合成皮革、屋外壁などの塗料、床のコーティングなどに使用されている。ポリカーボネートジオールの合成は、2段階で行うのが主流であり、環境負荷が高いという課題に対して、本研究開発では、CO2とジオールからポリカーボネートジオールを低環境負荷かつ1段階で合成しようとするプロセスである。 
 本研究開発に先立ち、大阪公立大学と日本製鉄は、小規模反応器でCO2とジオールからポリカーボネートジオールを効率よく合成できる触媒プロセスを開発し、合成に関する基本原理を確認した。本研究開発ではこの先導研究の成果を発展させ、より大きな反応器でも性能を確保できるような触媒技術の開発や、プロセス開発をラボベースで行う。UBEは、研究成果を事業化につなげるために、製品の品質評価や、実用化までの課題抽出、事業性の検討の役割を担うとしている。

◆価格改定
・石原産業がアジアパシフィック地域(日本を除く)向け酸化チタンを7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、200US$/トン
・タキロンシーアイが採光建材製品全般、住宅資材製品全般、管工機材製品全般を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10~20%以上(一部設計価格改定)
・タキロンシーアイがポリカーボネートプレート全品種、タキロンプレート関連全製品、塩化ビニルプレート、PPプレート、
 PETプレート、加工補助材料(丸棒、溶接棒他)、成形用材料、フランジカバーを8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・タキロンシーアイがPVDF製品を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%以上

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