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2023年7月20日

2023.07.20 発行

HEADLINE

◆炭素繊維:東レがレギュラートウ炭素繊維の生産設備を増強(7月13日)
◆無機:UBEが窒化珪素の製造設備増設を決定(7月13日)
◆建材:熊谷組と帝人が耐火建築物に利用可能な高機能繊維強化集成材の開発に着手(7月13日)
◆磁石:レゾナックが異方性ボンド磁石の強度と磁気特性を両立した新技術を開発(7月12日)
◆水素関連:日揮ホールディングスがオーストラリアの水素製造プラントの受注を発表(7月12日)
◆ヘルスケア:旭化成が米国にヘルスケア領域の本部を設置(7月12日)
◆水素:東ソー、日本カーリット、理化学研究所の「水電解用酸化マンガン系酸素生成触媒の運転方法・製造方法の確立と
 大型化へ向けた研究開発」がNEDO委託事業に採択 (7月10日)
◆価格改定
・石原産業が酸化チタンを9月1日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS 

◆炭素繊維:東レがレギュラートウ炭素繊維の生産設備を増強(7月13日)
 東レは、米国の子会社であるToray Composite Materials America(以下、CMA)および韓国の子会社であるToray Advanced Materials Korea(以下、TAK)において、レギュラートウ炭素繊維の生産設備増強を決定したことを発表した。
 レギュラートウ炭素繊維の需要、特に圧縮天然ガス(CNG)タンクや水素タンクなどの圧力容器用途は、宅配業務用CNG車両およびガス輸送タンクに加え、燃料電池を使用する乗用車、物流トラック、鉄道、船舶などへの採用が拡大しており、同用途向けの需要は今後急速に拡大する見込みである。今回の生産設備増強は、圧力容器用途の需要が拡大している米国および韓国において安定的な供給体制の確立を図り、拡大する産業用途の需要に対応するためのものである。さらに航空用途等の安定供給も可能となる。
 今回の設備増強では、CMAのスパルタンバーグ工場(サウスカロライナ州)TAKの亀尾工場(慶尚北道)の生産能力を増強し、東レグループ全体で現行の年産2万9千トンから3万5千トンに増強する計画である。2025年からの生産開始の予定としている。

◆無機:UBEが窒化珪素の製造設備増設を決定(7月13日)
 UBEは、電動車(xEV)向けの軸受・基板用途を中心とする需要の急増に対応するため、宇部ケミカル工場内の窒化珪素製造設備の増設を決定したと発表した。
 同社の窒化珪素は、1986年の上市以来、自動車産業から航空機、電子産業、工作機械などの幅広い分野で様々な部品に用いられている。さらに近年は、xEVで使用されるモーター用ベアリングやインバータ用放熱回路基板向けでもニーズが増加しており、ハイエンド領域の窒化珪素のトップメーカーとして、拡大する需要に対応するために生産能力の増強を図る。2025年度下期に稼働予定で、生産能力は現行比で約1.5倍になるとしている。

◆建材:熊谷組と帝人が耐火建築物に利用可能な高機能繊維強化集成材の開発に着手(7月13日)
 熊谷組と帝人は、耐火建築物に利用可能な高機能繊維強化集成材の開発に着手したことを発表した。
 近年、戸建て住宅以外の住宅や非住宅でも木造が選択されるようになってきており、木造の大スパン化や高層化などへの期待から、木造建築を構成する部材に求められる性能が高まっている。また、建築基準法により一定の規模以上の建築物は耐火建築物とする必要があり、定められた耐火性能を有した木質部材を使用する必要がある。
 帝人の高機能繊維強化集成材「LIVELY WOOD」は、既存の集成材を炭素繊維で補強することにより、剛性や強度を高めた集成材であるが、耐火性能を有ていない。一方、熊谷組の木質耐火部材「環境配慮型λ-WOODⅡ」は、芯材を木材として周囲に耐火被覆層を施すことで耐火性能を確保しているものの、建築物の大スパン化には木材の部材性能が不足する場合があった。
 両社はお互いの技術を融合することにより、「耐火建築物にも利用可能な新しい高機能繊維強化集成材」の開発に着手し、今後、同集成材の実物件採用と多様な木造建築物の実現を目指すとしている。

◆磁石:レゾナックが異方性ボンド磁石の強度と磁気特性を両立した新技術を開発(7月12日)
 レゾナックは、高強度と磁気特性を両立した異方性ボンド磁石の製造に関する新技術を開発し、特許を取得したことを発表した。
 ボンド磁石は樹脂と磁粉を組み合わせた磁石で、小型・薄型・複雑な形状に加工でき、寸法精度も優れている。ボンド磁石には等方性磁石と異方性磁石があり、異方性磁石は磁気特性に優れるため、電気自動車(EV)に使用されるモーターや電動工具、家電など幅広い用途での活躍が期待されている。
 一方で、異方性ボンド磁石の技術課題として高強度と磁気特性の両立が挙げられる。今回この課題に対し、高密度成形技術、および樹脂・潤滑剤を最適化する技術を開発することで解決し、特許を取得した。
 同社は、今後もEV用をはじめ、家電や電動工具など様々な製品分野を対象に、モーターの小型・軽量・効率化に役立つ高強度・高特性なボンド磁石を積極的に開発、拡販していくとしている。

◆水素関連:日揮ホールディングスがオーストラリアの水素製造プラントの受注を発表(7月12日)
 日揮ホールディングスは、日揮グローバルの豪州現地法人JGC Corporationオセアニア社が、住友商事の豪州現地法人と豪州リオティント社が共同で計画している水素製造プラント建設プロジェクトのEPC役務を受注したことを発表した。
 同役務では、オーストラリアクイーンズランド州にあるリオティント社のアルミナ精製工場の敷地内に水素製造プラントを建設する。同水素製造プラントは、年産250トンの水素を製造することが可能であり、納期は2024年を予定している。同プラントではアルミナを製造する際に使用するバーナーの燃料の一部を従来の天然ガスから水素へ転換することで、将来的にはCO2の排出量を削減することが可能になるとしている。

◆ヘルスケア:旭化成が米国にヘルスケア領域の本部を設置(7月12日)
 旭化成は、ヘルスケア領域のさらなる拡大を図るため、ヘルスケア領域の部を米国に新たに設置したことを発表した。
 同社のヘルスケア領域は、2012年にクリティカルケア事業を手掛けるZOLL Medical社を買収して以来、営業利益は3倍以上に成長している。現在では同社グループの売上高の約18%、営業利益の約33% 従業員の23%以上を占めている。医薬品・医療機器の両事業をグローバルに拡大し、同社グループを牽引する成長ドライバーとなることが期待されるとしている。

◆水素:東ソー、日本カーリット、理化学研究所の「水電解用酸化マンガン系酸素生成触媒の運転方法・製造方法の確立と大型化へ向けた研究開発」がNEDO委託事業に採択 (7月10日)
 東ソー、日本カーリット、理化学研究所は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型 産学官連携研究開発事業/水素利用等高度化先端技術開発」の公募に対し、「水電解用酸化マンガン系酸素生成触媒の運転方法・製造方法の確立と大型化へ向けた研究開発」を共同で提案し、採択されたことを発表した。
 本研究開発では、「グリーン水素」の製造に用いる新規触媒(イリジウム含有マンガン酸化物)の工業化可能な製造方法、水電解の最適な運転方法、また電解装置の大型化に向けた技術開発を行い、事業化に必要な技術基盤を構築する。
 グリーン水素は今後の需要増が予想されるが、触媒として用いられるイリジウムが希少金属のため、その資源量不足が懸念されている。イリジウム含有マンガン酸化物は少量のイリジウムでも高い触媒活性を示すことから、イリジウム資源問題の解決策になると期待されるとしている。

◆価格改定
・石原産業が酸化チタンを9月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、40円/kg

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