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2023年6月8日

2023.06.08 発行

HEADLINE

◆バイオ燃料:花王が自動車用バイオエタノール燃料の製造研究に向け次世代グリーンCO2燃料技術研究組合に糖化酵素を供給
 (6月2日)
◆リサイクル:東レが欧州でガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクルプロセスを確立(6月1日)
◆電子材料:DICがカナダの半導体フォトレジストポリマーメーカーを買収(6月1日)
◆CO2回収:BASFのガス精製技術が、リンデとハイデルベルク・マテリアルズの大規模CO2回収プラントに採用(6月1日)
◆CO2回収:三井化学と大阪ガスが泉北コンビナートから排出されるCO2の回収と利活用に関する共同検討を開始(5月31日)
◆有機溶媒:日東電工が有機溶剤のバイオ化に向けてCrysalis Biosciencesと共同開発(5月31日)
◆乳化剤:三洋化成工業が心地よい使用感のエマルションを与えるピッカリング乳化剤を開発(5月31日)
◆包装材料:東レ、三井化学、熊谷が人と環境にやさしいモノマテリアルフィルム包装材・技術を共同開発(5月30日)
◆化粧品原料: 富士フィルムが皮膚への浸透性と保水効果を高めた「ナノ化ワセリン」を開発(5月29日)
◆価格改定
 ・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
   
  

WEEKLY NEWS

◆バイオ燃料:花王が自動車用バイオエタノール燃料の製造研究に向け次世代グリーンCO2燃料技術研究組合に糖化酵素を供給(6月2日)
 花王は、次世代グリーンCO2燃料技術研究組合と「バイオエタノール生産研究設備における糖化酵素使用に関する合意書」を締結したと発表した。
 バイオマスの利用にはバイオマスを分解する酵素が必要不可欠であるため、同社は30年以上酵素の研究開発を行ってきた。特に、分解が難しいとされている非可食バイオマスの利活用を重視しており、高効率で分解できる酵素を研究してきた。
 同研究組合は、バイオエタノール生産研究において福島県に生産研究設備を建設し、非可食の植物を原料としたバイオエタノールの研究を行う計画である。同社が独自に開発した糖化酵素はバイオマスを糖に分解するための工程で使用される予定である。
 今後、両者は非可食バイオマスを原料とした「第二世代バイオエタノールの生産研究設備」での糖化酵素使用に向けて、取り組みを進めていくとしている。

◆リサイクル:東レが欧州でガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクルプロセスを確立(6月1日)
 東レは、欧州における樹脂製品のマーケティングおよび販売会社であるToray Resins Europe(略称:TREU)にて、射出成形工程から廃出されるガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクルプロセスを確立したと発表した。
 従来のガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクルでは、成形加工が繰り返されることにより、ガラス繊維の長さが短く折損し、機械強度の大幅な低下が生じるため、リサイクル比率を低く抑える必要があった。
 その課題に対して、東レは、ドイツの高機能樹脂製品リサイクル・コンパウンド会社であるMKV GmbH Kunststoffgranulateと共同で、ガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクルプロセスを確立させた。本プロセスを適用したリサイクル率50%のガラス繊維強化PPS樹脂は、ヴァージン原料を用いた射出グレードと比較して90%以上の機械強度を保持しており、カーボンフットプリントを約45%削減可能である。
 東レは今後、欧州を中心にサンプルワークを展開し、リサイクル素材・製品の全社統合ブランドである「Ecouse」シリーズの「Ecouse TORELINA」として、販売する計画としている。

◆電子材料:DICがカナダの半導体フォトレジストポリマーメーカーを買収(6月1日)
 DICは、カナダで半導体フォトレジストポリマーの製造・販売を営むPCAS Canada社(以下、PCAS-C社)の全株式を、PCAS社(フランス)から取得したと発表した。
 同社では半導体の製造工程に欠かせないフォトレジスト材料の事業拡大をデジタル分野の重要戦略の一つに位置付け、最先端の半導体フォトレジストポリマーの開発に取り組んできた。
 PCAS-C社は半導体フォトレジストポリマーに求められる低金属化・高純度化を実現する優れた製造技術と量産ノウハウを有している。この製造技術と、同社の強みである合成技術を融合することで、半導体市場のニーズに応え、社会のデジタルイノベーションに貢献することを目指している。
 なお、同社は最先端プロセスに対応した製品開発の加速、設備投資による供給体制の強化、北米とアジアの顧客ニーズに応える組織体制の構築を進めるとしている。

◆CO2回収:BASFのガス精製技術が、リンデとハイデルベルク・マテリアルズの大規模CO2回収プラントに採用(6月1日)
 BASFは、リンデおよびハイデルベルク・マテリアルズとBASFの先進的なOASE(オーエイス)blue技術を基に共同開発したCO2回収プロセスが、ハイデルベルク・マテリアルズとリンデの合弁会社であるCapture-to-Useの大規模CO2回収施設で初めて利用されることを発表した。
 このプロセスは、特許取得済みのOASE aerozone designが工業用途で導入される事例の一つとなっており、ガスフローからのダストやエアロゾルに起因する排出を低減する技術である。
 同プラントはセメント業界において、世界初の商用規模CO2回収・利用(CCU)施設となる。年間約70,000トンのCO2が回収、精製、液化され、その大部分のCO2は化学品の原料や食品・飲料の最終用途市場向けとしてリンデが販売する予定としている。

◆CO2回収:三井化学と大阪ガスが泉北コンビナートから排出されるCO2の回収と利活用に関する共同検討を開始(5月31日)
 三井化学と大阪ガスは、泉北コンビナートから排出されるCO2を回収し、利活用する事業の共同検討を開始したと発表した。
 同事業では、三井化学大阪工場の製造プラントおよび用役設備の排ガスや、Daigasグループの泉北天然ガス発電所の排ガスからCO2を分離・回収する。回収したCO2は国内外でメタンやメタノールなどの原料として再資源化して利活用(CCU)することや、地中貯留(CCS)することなどを想定している。同検討においては、同事業の概念設計および経済性試算を行う予定としている。

◆有機溶媒:日東電工が有機溶剤のバイオ化に向けてCrysalis Biosciencesと共同開発(5月31日)
 日東電工は、アメリカのバイオ企業、Crysalis Biosciences(以下、Crysalis社)と、カーボンニュートラル実現に向けた有機溶剤のバイオ化を進めるため、植物由来原料を用いたアセトニトリルの共同開発、ならびにCrysalis社への出資に関する契約を締結したことを発表した。
 日東電工は、核酸医薬原薬の受託製造事業において、原薬の合成及び精製工程で、主要な有機溶剤の一つであるアセトニトリルを使用しており、石化資源の消費量を減らすバイオ化の実現に注力している。一方のCrysalis社は、微生物発酵と触媒改質技術を組み合わせて、植物由来の原材料をさまざまな化学物質に変換する革新的なバイオリファイナリー技術を保有しており、同技術は、環境価値の高い低炭素強度の有機溶媒の製造を可能にする。
 今後、日東電工はCrysalis社のバイオリファイナリー技術を用いたアセトニトリルのバイオ化を進め、サプライチェーン全体での環境課負荷低減に取り組んでいくとしている。

◆乳化剤:三洋化成工業が心地よい使用感のエマルションを与えるピッカリング乳化剤を開発(5月31日)
 三洋化成工業は、界面活性剤不使用でありながら良好な乳化安定性を示し、きしみ感やぬるつきのない良好な使用感を与える粒子状の化粧品用乳化剤『ソリエマー(開発品)』を開発したことを発表した。
 同品は、サイズ、形状、表面構造を最適化した独自の真球状シリカで、ピッカリング乳化剤を使用した化粧品の課題であったきしみ感を解決し、さらっとした良好な使用感で、かつ安定性の高いエマルションを提供することが可能になる。
 通常このような大きさの粒子では安定な乳化物を得ることは困難だが、同社は真球状シリカの表面処理方法に加えて化粧品処方における最適な乳化方法を見出し、安定な乳化物を得ることに成功した。同品は油種や化粧品の成分の影響を受けにくく、比較的幅広い化粧品処方において安定的な乳化状態を長期にわたって保持することが可能としている。

◆包装材料:東レ、三井化学、熊谷が人と環境にやさしいモノマテリアルフィルム包装材・技術を共同開発(5月30日)
 東レ、三井化学、熊谷は、フィルム包装材製造工程でのVOCフリー化、従来品比でのCO2排出量80%削減、さらにはリサイクルにも対応する、人と環境にやさしいモノマテリアルフィルム包装材とその製造技術を共同で開発したと発表した。
 本開発品の製造工程では、東レが省電力かつ熱乾燥工程が不要な電子線(EB)硬化インキに対応した独自のオフセット版IMPRIMAによる印刷工程を実証し、三井化学が石油系溶剤を使用しない接着剤によるラミネート工程を実証することで、インキ・接着剤に石油系溶剤を使用しない製造工程のVOCフリー化を実現した。その結果、熱乾燥などに使用する電力消費量を大幅に削減することが可能となり、製造時のCO2排出量を従来品比80%低減する。
 また、熊谷のパッケージ製造加工技術を組み合わせることで、これまで難しかった単一のフィルム素材からなるモノマテリアルフィルム包装材の開発に成功し、従来のフィルム包装材と比べて容易にリサイクルが可能になるとしている。

◆化粧品原料: 富士フィルムが皮膚への浸透性と保水効果を高めた「ナノ化ワセリン」を開発(5月29日)
 富士フィルムは、皮膚への浸透性と保水効果を高めた「ナノ化ワセリン」を開発したと発表した。
 同品は、独自のナノ分散技術を活用し、保湿剤として広く使われているワセリンの粒子を約80nmサイズに微細化したものであり、通常のワセリンとは異なり、凝集せずに微細化された粒子サイズを安定的に保持できるため、化粧水にも配合することが可能となる。
 また、同品は通常のワセリンよりも皮膚への浸透性が高いことと、高い保水効果を確認しており、角層の厚みが増すことも実証している。同社の実証では、表皮モデルに浸透するワセリンの量が約22倍になったほか、塗布3時間後の角層の厚みが約1.8倍になったことが確認されている。
 同社は、今後、同品を自社の化粧品に応用していくとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 6月契約価格は、865$/t(前月比▲110$/t)
 国内価格換算想定値は126.3円/kg

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