メールマガジン

2023年11月2日

2023.11.02 発行

HEADLINE

◆自動車材料:三菱ケミカルグループと本田技研工業が共同で自動車ボディ用の新たなアクリル樹脂材料を開発中
 (10月26日)
◆水素関連:AGCが水素を燃料に利用したガラス製造の実証試験に成功(10月26日)
◆非鉄金属:東邦チタニウムがスポンジチタンの生産能力を増強(10月26日)
◆CO2対策:コスモエネルギーHDと炭素回収技術研究機構が微細藻類を用いたCO2の有価物変換(CCU)に向けた共同検討を
 開始(10月26日)
◆DX関連:コスモ石油と丸善石油化学が製油所・工場の高稼働・高効率操業を実現するために「Cognite Data Fusion」を
 採用(10月26日)
◆樹脂原料:出光興産がビスフェノールA事業から撤退(10月30日)
◆有機:住友化学がエタノールからプロピレンを直接製造する実証に向けたパイロット設備の建設に着手(10月25日)
◆CO2対策:コスモエネルギーHDと東洋エンジニアリングが、製油所等で発生するCO2をメタノールに直接合成する共同検討
 を開始(10月23日)
◆CO2対策:BASFがCO2回収用の金属有機構造体(MOF)の初の商業規模生産に目途(10月23日)
◆価格改定
・コニシが水性エマルジョン形接着剤(工業用製品)を11月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆自動車材料:三菱ケミカルグループと本田技研工業が共同で自動車ボディ用の新たなアクリル樹脂材料を開発中(10月26日)
 三菱ケミカルグループと本田技研工業(Honda)は、共同で自動車ボディ部品用PMMA(以下、アクリル樹脂)材料を開発していると発表した。
 本樹脂材料は、アクリル樹脂にゴム粒子をコンパウンドすることで、耐衝撃性の向上を図っている。また、アクリル樹脂は透明性が高く、さまざまな色に調色できるため、着色剤を配合するだけで光沢のある表面を作ることができる。塗装工程が不要となることで、その工程で発生するCO2排出量削減にも貢献する。
 加えて、アクリル原料に分解できるリサイクルに適した樹脂であり、同社は2025年度のリサイクルプラント稼働開始を視野に、アクリル樹脂ケミカルリサイクルの事業化を目指している。
 今後、同社は国内外でリサイクル原料およびそのリサイクル原料を用いたアクリル樹脂に関する特許の権利化を進め、さらなる技術開発を進め、サスティナブルな社会の実現に貢献するとしている。

◆水素関連:AGCが水素を燃料に利用したガラス製造の実証試験に成功(10月26日)
 AGCは、水素を燃料に利用したガラス製造の実証試験に成功したことを発表した。
 実生産炉で水素を利用した試験は、AGCグループとして初の事例となる。なお同試験は、関西工場高砂事業所(兵庫県)の電子用フロートガラス製造設備にて実施した。
 同試験では、ガラス製造に水素を利用する酸素燃焼技術を活用するための技術課題であるガラスの品質、炉材への影響、火炎温度、炉内温度、窒素酸化物(NOx)排出量などを検証した。なお、今回の試験においては、ガラス溶解炉の温度を適正に維持しつつ、排ガスに含まれるNOx濃度を、都市ガス専焼時と同等レベルに抑制する結果が得られた。
 同社は今後、水素燃焼バーナーの燃焼能力をスケールアップした試験や、AGCグループの海外拠点における実証試験も検討し、水素燃焼技術の活用範囲を見極めた上で、本格導入を目指すとしている。

◆非鉄金属:東邦チタニウムがスポンジチタンの生産能力を増強(10月26日)
 東邦チタニウムは、若松工場および茅ヶ崎工場のスポンジチタンの生産能力増強を決定したと発表した。
 スポンジチタンの生産量は年間3,000トンの増産となる。着工は2023年11月、稼働開始は2026年1月の予定としている。

◆CO2対策:コスモエネルギーHDと炭素回収技術研究機構が微細藻類を用いたCO2の有価物変換(CCU)に向けた共同検討を開始(10月26日)
 コスモエネルギーHDと炭素回収技術研究機構(CRRA)は、微細藻類を用いたCO2の有価物変換(CCU)の共同検討について基本合意書を締結したと発表した。
 CRRAは、CO2の直接空気回収装置、および当該装置のCO2吸収済みアルカリ溶液中で微細藻類を培養・発酵する技術を用いて、バイオエタノール等の製造を推進している。また、回収したCO2を用いて製造されたエタノールは、基礎化学原料として化学製品や燃料(SAF、e-fuel)などに展開可能なため、CCUに向けた有用な物質として注目されている。
 両社は共同検討を通じて、コスモエネルギーグループの製油所等、または大気中から回収したCO2由来のサスティナブル製品の実用化を目指している。また、CRRAが開発を進めている電気化学手法を用いて製造したエタノールについても利活用を検討するとしている。

◆DX関連:コスモ石油と丸善石油化学が製油所・工場の高稼働・高効率操業を実現するために「Cognite Data Fusion」を採用(10月26日)
 コスモ石油および丸善石油化学とCogniteは、石油事業、石油化学事業における収益力と競争力確保のため、データプラットフォーム基盤として「Cognite Data Fusion」を採用したことを発表した。
 Cogniteはノルウェーに本社を置く産業用ソフトウェアの世界的なリーダーカンパニーの日本法人である。Cognite Data Fusionは、同社の主力製品であり、製造業に特化したDataOpsプラットフォーム基盤である。Cognite Data Fusionの採用は、コスモ石油、丸善石油化学の目指すDXの中核を担い、既存事業・業務のデジタル活用による競争力強化に加え、IT/DXを活用した業務効率化やデータ分析に基づいた業務の高度化により、会社全体の事業収益の向上に寄与する。
 さらに、コスモ石油では 生成AIの機能を使用したCognite AIを活用し、会話形式で必要なデータを引きだしたり、関連する必要なデータをピンポイントで確認できたりする環境を整える。これにより、業務の効率化と短縮化につなげ、生産性の高い業務への取り組みにシフトしていくとしている。

◆樹脂原料:出光興産がビスフェノールA事業から撤退(10月30日)
 出光興産は、ビスフェノールA事業から撤退することを発表した。
 ビスフェノールAは、フェノール、アセトンから合成される有機化合物で、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂、樹脂難燃剤などの原料として使用されている。
 同社は、1991年に千葉事業所にてビスフェノールAを自社技術で商業化し、81千トン/年の生産能力を有しているが、近年、アジアにおける設備増設に伴って供給が過剰となり、事業環境は悪化していた。今後の事業方針について検討した結果、事業継続は困難と判断した。
 今回の決定により、ビスフェノールA事業から撤退し、千葉事業所内の製造装置の稼働を2024年10月までに停止するとしている。

◆有機:住友化学がエタノールからプロピレンを直接製造する実証に向けたパイロット設備の建設に着手(10月25日)
 住友化学が、サスティナブルな化学品原料として注目されるエタノールからプロピレンを直接製造する実証に向けたパイロット設備の建設に着手したことを発表した。
 プロピレンは、主にナフサなど化石資源の分解により製造されている。一方、エタノールは、サトウキビやとうもろこしなどのバイオマスから製造することができ、今後可燃ごみや廃プラスチック、CO2から大量生産する技術の確立が見込まれるなど、サスティナブルな基幹化学原料として期待が高まっている。
 同社は、エタノールを原料とするエチレンの試験製造設備を千葉工場内に新設するとともに、プロピレンについては独自の新製法の開発を進めている。同社が取り組むエタノールからのプロピレンの直接製法は、複数の中間体を経る既存プロセスと比べ、コンパクトかつ低コストなプロセスとすることが可能であり、プロピレンと同時に水素を併産する利点がある。
 同社は2025年前半に千葉工場袖ケ浦地区に同設備を完成させ、工業化に向け必要なデータを取得するほか、得られたプロピレンを用いたポリプロピレンのサンプルワークなどを併せて実施する。その後、30年代前半の同社での事業化や他社へのライセンス供与を目指すとしている。

◆CO2対策:コスモエネルギーHDと東洋エンジニアリングが、製油所等で発生するCO2をメタノールに直接合成する共同検討を開始(10月23日)
 コスモエネルギーHDと東洋エンジニアリングは、触媒を利用したCO2からのメタノール直接合成に向けた共同検討について基本合意書を締結したと発表した。
 東洋エンジニアリングは水素と製油所や工場から分離・回収したCO2からメタノールを直接合成できる(g-Methanol)ライセンス技術を保有しており、CO2を直接原料として使用できることから、複数のプロセスを経由することなく、効率的にメタノールを製造することが期待されている。
 CO2から変換されたメタノールは、重要な基礎化学原料として化学製品や燃料(船舶用燃料、e-fuel)などに展開可能なため、脱炭素に向けたCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)として注目されている。
 両社は今回の共同検討を通じて、コスモエネルギーグループの製油所等から発生するCO2由来のサスティナブル製品の生産を目指し、CO2削減効果や投資採算性等を双方にて検討するとしている。

◆CO2対策:BASFがCO2回収用の金属有機構造体(MOF)の初の商業規模生産に目途(10月23日)
 BASFは、金属有機構造体(MOF)を年間数百トンの規模で商業生産する体制を構築したことを発表した。
 MOFは、ナノメートルサイズの細孔と大きな表面積を持つ高結晶構造体で、CO2の貯蔵、室内空調用の空気の除湿、温室効果ガスのメタンの吸着に高い能力を発揮する。同社は、MOFのスケールアップと生産に関する専門知識の発展により、顧客のニーズや仕様に合わせて様々な用途や産業向けのMOFを生産することができる。
 BASFは、カナダのCO2分離回収技術プロバイダーのSvante Technologies社との最初のプロジェクトで、Svanteラボのプラント手順を大規模生産に向けた安全な手順に変更し、スケールアップを成功させた。製造されたMOFは、CO2回収プロジェクト用の固体吸着剤として使用され、様々な産業分野におけるCO2排出量の大幅削減が期待されるとしている。

◆価格改定
・コニシが水性エマルジョン形接着剤(工業用製品)を11月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%以上

TOPへ戻る