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2022年9月8日号

2022.09.08 発行

HEADLINE

◆電子材料:住友化学が米国に半導体用プロセスケミカルの新工場を建設(9月1日)
◆フィルム:東洋紡がインドネシアに包装用ポリエステルフィルムの製造設備を増設(9月1日)
◆樹脂原料:ユニチカがイミド系エポキシ硬化剤を開発(9月1日)
◆電子材料:トクヤマが半導体用高純度IPA製造販売子会社を設立(9月1日)
◆低炭素:三菱ケミカルが茨城県と鹿島臨海工業地帯におけるカーボンニュートラルの実現に向けた戦略的パートナーシップ協定を締結予定(9月1日)
◆樹脂関連:UBEがタイにおける特殊コンパウンド設備新設を決定(8月31日)
◆エンジニアリング:日揮ホールディングスがタイでVCM・PVC生産能力増強プロジェクトを受注(8月31日)
◆接着剤:昭和電工が異種材料接合用フィルムタイプ接着剤の量産化を検討(8月31日)
◆エラストマー:三井化学がシンガポールにおいて高機能エラストマーのプラントを新設(8月30日)
◆無機:出光興産、東ソー、トクヤマ、日本ゼオンの「周南コンビナートアンモニア供給拠点整備基本検討事業」が経済産業省・資源エネルギー庁の「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金」に採択(8月30日)
◆電子材料:東洋合成工業が千葉工場内の感光材製造設備を増設(8月30日)
◆バイオマス:花王と花王インダストリアルがキャッサバ残渣をバイオマスとして利活用する製造モデルの調査をNEDO委託事業として開始(8月30日)
◆フィルム:東レがガスバリア性を3倍以上向上させた食品包装用高ガスバリア性蒸着・二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを開発(8月30日)
◆分離膜:東レが使用済みリチウムイオン電池からリチウムを回収する分離膜を創出(8月29日)
◆樹脂原料:UBEがタイでポリウレタン原料のポリカーボネートジオールの製造設備を増設(8月29日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・大日精化が有機・無機顔料及びその加工品を10月1日出荷分より値上げ
・クラレがPVB樹脂を10月1日出荷分より値上げ
・タキロンシーアイがFRP製品を10月3日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:住友化学が米国に半導体用プロセスケミカルの新工場を建設(9月1日)
 住友化学は、100%子会社である韓国の東友ファインケムを通じて米国テキサス州に新会社Sumika Semiconductor Materials Texasを設立し、半導体用プロセスケミカルの工場を建設することを発表した。
 半導体需要は、5G対応デバイスの普及に加え、AIや自動運転等の先端技術の進展を背景に今後も伸長することが予測されている。米国では先端半導体メーカー各社が相次いで半導体工場の新増設計画を発表しており、こうした米国での旺盛な半導体材料の需要を確実に取り込むことを目指している。
 新会社の設立は2022年9月、新工場の稼働開始は2024年度の予定としている。

◆フィルム:東洋紡がインドネシアに包装用ポリエステルフィルムの製造設備を増設(9月1日)
 東洋紡は、インドネシアの大手フィルムメーカーPT.TRIAS SENTOSA(以下、TRIAS)との合弁会社であるPT.TRIAS TOYOBO ASTRIA(以下、TTA)に、包装用ポリエステルフィルムの製造設備を新たに増設することを決定したことを発表した。
 環境意識が世界的に高まる中、新たにTTAに製造設備を増設することにより、環境配慮型フィルム製品のグローバルな需要に対応する供給体制の強化を図る。
 TTAでは約100億円を投資し、生産能力を倍増する。2024年春に着工、2025年秋の稼働開始を目指すとしている。

◆樹脂原料:ユニチカがイミド系エポキシ硬化剤を開発(9月1日)
 ユニチカは、エポキシ樹脂に耐熱性と柔軟性を付与可能な新規エポキシ硬化剤を開発したと発表した。
 近年、IoT、5G、ADAS等の開発が進んでおり、エレクトロニクス部品は大容量・高速通信に対応すべく、あらゆる構成材料に対し高耐熱性・低誘電特性が望まれている。ユニチカは、耐熱性、高靭性(高強度)、低誘電特性を付与可能な「耐熱タイプ」、柔軟性(低弾性率・高伸度)、低誘電特性を付与可能な「柔軟タイプ」の2種類の硬化剤を開発した。
 今回開発したイミド系エポキシ硬化剤は、エレクトロニクスをはじめとした幅広い分野において、エポキシ樹脂の耐熱性、柔軟性、誘電特性などの性能を向上できるとしている。

◆電子材料:トクヤマが半導体用高純度IPA製造販売子会社を設立(9月1日)
 トクヤマは、2021年12月に発表したSK Geo Centric(以下、SKGC社)との韓国における高純度IPA(イソプロピルアルコール)の合弁事業に関して、製造販売を担う子会社STAC(以下、STAC社)を2022年8月に設立したと発表した。
 同事業は、世界トップクラスの半導体産業の集積地である韓国において顧客ニーズに応えるために計画し、SKGC社より原料のプロピレンの供給をうけ、STAC社で高純度IPAの一貫生産体制を構築するものである。
 STAC社の生産能力は30,000T/年、2024年7月の事業開始を目指すとしている。

◆低炭素:三菱ケミカルが茨城県と鹿島臨海工業地帯におけるカーボンニュートラルの実現に向けた戦略的パートナーシップ協定を締結予定(9月1日)
 三菱ケミカルは、茨城県と鹿島臨海工業地帯における循環型コンビナートの形成や茨城臨海部を拠点としたカーボンニュートラル産業拠点の創出に向けて、2022年9月に戦略的パートナーシップ協定を締結することを発表した。
 鹿島臨海工業地帯は石油精製、石油化学、鉄鋼の基礎素材産業を中心とした国内有数の産業集積拠点である。国内製造業において重要な位置づけにある一方で、温室効果ガスの排出削減など、カーボンニュートラルへの対応が今後の課題となっている。
 茨城県および三菱ケミカルグループは、本協定のもと、今後両者でより密接に連携・協力を行い、鹿島臨海工業地帯を中心に、競争力の高いカーボンニュートラル産業拠点の創出をめざしていくとしている。

◆樹脂関連:UBEがタイにおける特殊コンパウンド設備新設を決定(8月31日)
 UBEは、アジア地域における新たな需要拡大に対応するため、タイ現地法人であるUBE Chemicals (Asia) Public Company(以下、UCHA)において、特殊コンパウンド設備の新設を決定したことを発表した。
 UCHAでは2002年にコンポジット製品の生産を開始して以降、アジア地域の市場拡大に応じて段階的に生産能力を増強してきたが、自動車分野や電機電子機器分野での需要伸長と高い品質要求に応えていくため、高機能コンポジット製品の生産設備を新設する。また、隣接するR&DセンターのUBE Technical   Center (Asia) との連携も強化し、顧客ニーズの早期把握と製品開発力のさらなる向上を目指す。
 稼働開始は2024年初頭の予定としている。

◆エンジニアリング:日揮ホールディングスがタイでVCM・PVC生産能力増強プロジェクトを受注(8月31日)
 日揮ホールディングスは、海外EPC事業会社である日揮グローバルとタイのGCメンテナンス&エンジニアリング社(以下、GCME)がコンソーシアムを形成し、AGCのクロール・アルカリ事業子会社であるAGC Vinythai Public社向けVCM・PVC生産能力増強プロジェクトを受注したと発表した。
 同プロジェクトは、旺盛な需要に対応するため、各々年産40万トンのVCM、PVC 生産設備及びその付帯設備を増設する。日揮グローバルはVCM及びPVC生産設備に係るEPC及びプロジェクト全体の管理を担当し、GCMEは付帯設備に係るEPCを担当するとしている。

◆接着剤:昭和電工が異種材料接合用フィルムタイプ接着剤の量産化を検討(8月31日)
 昭和電工は、異種材料接合技術WelQuickを用いたフィルムタイプ接着剤の量産化の検討を開始したことを発表した。
 本製品は、フィルム形状で、固体と液体間の相変化を利用して接着するため、既存の液状接着剤と比較して取り扱いが簡便である。また、従来のボルト・ねじによる接合よりも工数を削減でき、従来の接着剤のように長時間の高温加熱で硬化させる必要もないため生産時間・電力消費量の削減にも寄与、CO2排出量の削減を実現する。
 本製品を利用することで、自動車材料分野ではバンパーの骨組み材の複合材料と車体の接着や、インバーターやモーター周辺の金属端子と樹脂の接着・密閉のほか、電子材料分野においても、ロール状のプリント基板を量産する過程で材料同士をつなぐ際、短時間加熱するだけで再現性の高いつなぎ作業が完了する。
 今後、カーボンニュートラルの要請が高まる自動車業界や電子材料分野などに向けて、2023年からの量産を検討するとしている。

◆エラストマー:三井化学がシンガポールにおいて高機能エラストマーのプラントを新設(8月30日)
 三井化学は、シンガポールにある100%子会社MITSUI ELASTOMERS   SINGAPORE(以下、MELS)の高機能エラストマー「タフマー」のプラントを新設し生産能力を増強すると発表した。
 タフマーは、樹脂の性質を飛躍的に向上させる樹脂改質材、軟質成形材料であり、柔軟で軽量な特長を有し、太陽電池関連部材、包装資材、エンジニアリングプラスチック改質材、スポーツシューズ、自動車用部品など幅広い分野で使用されている。
 タフマーの需要は、世界経済の成長と共に堅調に推移しており、循環経済実現へ向けた対応や、クリーンエネルギー導入の活発化を背景に更に増加することが見込まれていることから、今回生産能力の増強を行うこととした。
 今回新設するプラントの年産能力は120千トンであり、2024年度中の完工予定としている。

◆無機:出光興産、東ソー、トクヤマ、日本ゼオンの「周南コンビナートアンモニア供給拠点整備基本検討事業」が経済産業省・資源エネルギー庁の「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金」に採択(8月30日)
 出光興産、東ソー、トクヤマ、日本ゼオンの4社は、経済産業省・資源エネルギー庁が公募する「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(コンビナートの水素、燃料アンモニア等供給拠点化に向けた支援事業)」へ「周南コンビナートアンモニア供給拠点整備基本検討事業」を共同提案し、補助事業者に採択されたと発表した。
 同事業では、出光興産徳山事業所の貯蔵施設を周南コンビナートにおけるアンモニアの共通供給拠点として整備し、周南コンビナート各社(需要側)へのアンモニア供給インフラ検討を行う。また、今後4社は同事業をベースとして、実装置でのアンモニア燃焼実証等の様々な取り組みを通し、周南地区における国内初のアンモニアサプライチェーンの構築を推進する。
 なお、同社らは2030年までに周南コンビナートにおける年間100万トン超のカーボンフリーアンモニア供給体制の確立を目指すとしている。

◆電子材料:東洋合成工業が千葉工場内の感光材製造設備を増設(8月30日)
 東洋合成工業は、取締役会において千葉工場内の第4感光材工場への感光材製造設備の増設を決議したと発表した。
 今回の設備投資により、千葉工場の先端半導体向け材料の生産能力は2022年3月期比で最大1.8倍の規模となり、今後さらに拡大が見込まれる需要と最先端品質を満たす安定供給体制を実現する。
 新工場の主な生産品目は、先端半導体に対応した感光材、ポリマー製品であり、設備増設の工期は、2023年1月から2024年7月までの予定としている。

◆バイオマス:花王と花王インダストリアルがキャッサバ残渣をバイオマスとして利活用する製造モデルの調査をNEDO委託事業として開始(8月30日)
 花王と花王インダストリアル(タイランド)は、キャッサバ残渣をバイオマスとして利活用する新たな取り組みが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2022年度「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」に採択され、本事業に関する実証要件適合性等調査を開始すると発表した。
 今回採用された事業では、実証要件適合性等調査として、タイのエネルギー事情、関連政策、ビジネス環境などの情報収集を花王インダストリアルと協力して行ない、キャッサバ残渣の利活用に向けた製造システムの実証研究についての取り組みを開始する。将来的には、キャッサバ残渣からバイオケミカル製品を製造する一貫した生産体制の確立と事業化を検討していくとしている。

◆フィルム:東レがガスバリア性を3倍以上向上させた食品包装用高ガスバリア性蒸着・二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを開発(8月30日)
 東レは、食品包装用高ガスバリア性蒸着・二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム「トレファン」を開発したと発表した。
 本フィルムは、一般的なOPPフィルム比3倍以上の高いバリア性を有するため、高いリサイクル適性を備えたポリプロピレン(PP)単一素材構成の高ガスバリア食品包装を可能とし、包装材料の製造・使用・再原料化のリサイクルループを拡大する。同時に、耐熱性を25℃以上高め、120℃以上の加工温度に対応できるようになったことから、ボイル・レトルト食品包装用途への適用も可能となっている。
 食品包装分野では、内容物の長期保存を可能とする高ガスバリア性フィルムの需要が世界的に拡大しており、今後、東レグループのグローバル拠点で生産化検討を進めていくとしている。

◆分離膜:東レが使用済みリチウムイオン電池からリチウムを回収する分離膜を創出(8月29日)
 東レは、車載用の使用済みリチウムイオン電池から、現状では大部分を廃棄しているリチウムを回収可能な、新規ナノろ過(NF)膜を創出したことを発表した。
 同社は、有機合成化学/高分子化学/ナノテクノロジーを駆使し、強固な耐酸性構造と1nm以下の精密な細孔構造を兼ね備える架橋高分子膜の創出に成功した。これにより、従来品比約5倍の耐酸性と約1.5倍のイオン選択分離性を実現した。
 本NF膜を適用することにより、有価金属を効率的に回収でき、現状では大部分を廃棄しているリチウムを、高純度かつ高収率で回収することが可能となる。更に、リチウム1kg製造時のCO2排出量は、鉱石法の最大約1/3に削減できる。
 同社は既に実液を用いた回収評価を開始しており、今後、早期実用化を目指して、研究・技術開発を加速していくとしている。

◆樹脂原料:UBEがタイでポリウレタン原料のポリカーボネートジオールの製造設備を増設(8月29日)
 UBEは、アジア地域における新たな需要拡大に対応するため、タイ現地法人であるUBE Fine Chemicals (Asia) において、ポリウレタン原料のポリカーボネートジオール(以下、PCD)のⅢ期製造設備の増強に着手したことを発表した。
 PCDは、主に高級ポリウレタンの主原料(ポリオール成分)として使用されており、自動車、家具、建材などのコーティングや合成皮革、接着剤などに採用が広がっている。近年は、特に中国を中心としたアジア圏での消費者の高級・高機能志向の高まりもありPUDへの切り替えが増えていることから、需要地であるアジア域内のタイで増設することとした。
 稼働予定は2023年8月であり、生産能力は現在の年産8,000トンから年産12,000トン規模になるとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 9月契約価格は、945$/t(前月比▲165$/t)、国内価格換算想定値は136.6円/kg
・大日精化が有機・無機顔料及びその加工品を10月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%まで(一部改定幅が異なる製品あり)
・クラレがPVB樹脂を10月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、低重合度銘柄のB14S, B16H, B20H, BA20Sは日本:180円以上/kg、ヨーロッパ:1,400EUR以上/トン
 アジアパシフィック、北中南米、中東・アフリカ:1,400US$以上/トン
 上記以外その他銘柄は日本:140円以上/kg、ヨーロッパ:1,000EUR以上/トン
 アジアパシフィック、北中南米、中東・アフリカ:1,000US$以上/トン
・タキロンシーアイがFRP製品を10月3日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、FRP波板・平板・折板:15%以上、FRPドーム:20%以上

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