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2022年5月19日号

2022.05.19 発行

HEADLINE

◆冷媒:AGCが地球温暖化係数の低い次世代冷媒AMOLEA1123の新組成を開発(5月13日)
◆CO2分離:住友化学とOOYOOの分離膜を用いた工場排ガスからのCO2分離回収システムの開発・実証がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(5月13日)
◆CO2分離:昭和電工と日本製鉄の「革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発」計画がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(5月13日)
◆CO2分離:千代田化工建設、JERA、RITEがCO2を分離・回収する固体吸収材の開発を開始(5月13日)
◆石油化学:コスモ石油と丸善石油化学がプロピレン精留設備の運転を開始(5月12日)
◆樹脂:三菱ガス化学が中国におけるポリアセタール製造会社への出資を発表(5月12日)
◆無機:デンカが球状アルミナのシンガポール新生産設備の本格稼働を開始(5月11日)
◆無機:デンカがシンガポールにおける球状シリカの製造設備の増強を決定(5月11日)
◆フィルム:クラレが光学用ポバールフィルムの生産設備を増設(5月9日)
◆炭素繊維:三井化学とマイクロ波化学がマイクロ波を活用した環境負荷の低い炭素繊維製造に関する基盤技術を確立(5月9日)
◆価格改定
・昭和電工がアンモニアおよび関連製品を5月20日納入分より値上げ
・デンカがABS 樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを5月23日納入分より値上げ
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を6月1日納入分より値上げ
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を6月1日納入分より値上げ
・クラレがポリエステル短繊維を6月1日出荷分より値上げ
・クラレが人工皮革を6月1日出荷分より値上げ
・タキロンシーアイがアルミ複合板(タキメタル)を6月1日出荷分より値上げ
・大日精化工業がオフセットインキを6月1日出荷分より値上げ
・堺化学工業が樹脂添加剤製品を6月1日納入分より値上げ
・ニチバンが粘着テープを6月1日より値上げ
・旭有機材がパイプ類、継手類を6月21日出荷分より値上げ
・東ソーが重金属処理剤を7月1日出荷分より値上げ
・カネカがイースト製品を7月1日出荷分より値上げ
 
 

WEEKLY NEWS

◆冷媒:AGCが地球温暖化係数の低い次世代冷媒AMOLEA1123の新組成を開発(5月13日)
 AGCは、東京大学と協力し、地球温暖化係数が低く、エアコン向け冷媒の次世代スタンダードと期待される低GWP冷媒AMOLEA 1123(HFO-1123)の新たな組成開発に成功したと発表した。
 AMOLEA 1123は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の一環として2014年にAGCが開発したハイドロフルオロオレフィン(HFO)で、現在使用されているHFC R410A(GWP2090/CO2比2090倍の温室効果)と同等の性能を維持したまま、GWP1以下という、並外れた高い環境性能を兼ね備えた冷媒である。今回、東京大学が受託しているNEDOの事業で見いだされた知見を基に、プロパンの添加によりAMOLEA 1123の分解による急激な圧力上昇を一定レベルに抑える、安全な組成を開発することに成功した。
 AGCは今回の開発成果を活かし、家庭用・業務用エアコンを始め、様々な機器で使用される超低GWPかつ安全性の高い新冷媒を順次上市していくとしている。

◆CO2分離:住友化学とOOYOOの分離膜を用いた工場排ガスからのCO2分離回収システムの開発・実証がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(5月13日)
 住友化学とOOYOO(ウーユー)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」にて、両社が共同で取り組む「分離膜を用いた工場排ガス等からのCO2分離回収システムの開発」を応募し、研究開発項目「低圧・低濃度CO2分離回収の低コスト化技術開発・実証」の一つに採択されたことを発表た。
 本事業では、高性能なCO2分離膜を用いて、工場のボイラー等から排出される燃焼排ガスから、安価にCO2を分離回収するシステムの開発・実証を目指す。OOYOOは、高性能な分離膜および製膜プロセスの開発を行い、住友化学は、ルネッサンス・エナジー・リサーチの協力も得ながら、工業化に向けた膜モジュールの開発や分離プロセスの設計および実証試験を行う。
 なお、事業期間は2022年度から2030年度の9年間としている。

◆CO2分離:昭和電工と日本製鉄の「革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発」計画がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(5月13日)
 昭和電工および日本製鉄は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業(GI基金事業)/CO2の分離回収等技術開発プロジェクト」に対し、「革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発」(本プロジェクト)を提案し、採択されたことを発表した。
 本プロジェクトでは、工場排ガスなどに含まれている低圧・低濃度のCO2を低コストで分離回収するための技術開発および、回収したCO2を原料に使用した化学品を製造する技術検証に取り組む。これにより、CO2分離回収プラント事業および分離剤事業の創出・拡大に加え、化石由来資源に依存しない、CO2を活用した化学品事業のビジネスモデルを創出する。
 なお、事業期間は2022年度から2030年度の9年間、事業規模は約84.4億円としている。

◆CO2分離:千代田化工建設、JERA、RITEがCO2を分離・回収する固体吸収材の開発を開始(5月13日)
 千代田化工建設、JERA、地球環境産業技術研究機構(RITE)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、グリーンイノベーション基金事業の採択を受け、「天然ガス火力発電排ガスからの大規模CO2分離・回収技術開発・実証」を開始すると発表した。
 本開発・技術実証は、天然ガス火力発電のガスタービンから排出されるCO2の分離・回収を低コストで実現するための固体吸収材をコアとする国産技術を開発するものである。
 本技術開発・実証のスケジュールは2022年から30年までを三段階のフェーズで予定しており、総事業費は約100億円(支援規模約87億円)規模となる。本技術開発・実証で得られた成果を国内外で幅広く展開するとしている。

◆石油化学:コスモ石油と丸善石油化学がプロピレン精留設備の運転を開始(5月12日)
 コスモ石油と丸善石油化学は、丸善石化千葉工場において共同事業として建設を進めていたプロピレン精留設備の運転を開始したと発表した。本精留設備の年産能力は264千トンである。
 プロピレン精留設備は、コスモ石油の流動接触分解装置から生産されるリファイナリーグレードプロピレン(以下「RGP」)と、丸善石化のエチレン製造装置から生産されるケミカルグレードプロピレン(以下「CGP」)を、付加価値の高いポリマーグレードプロピレン(以下「PGP」)へ高純度化する精留設備である。
 PGPはポリプロピレンの原料として使用され、その用途は包装材・繊維・容器・自動車部品など広範囲にわたるため、PGPを生産・販売することで新たなビジネスの創出が期待されるとしている。

◆樹脂:三菱ガス化学が中国におけるポリアセタール製造会社への出資を発表(5月12日)
 三菱ガス化学は、取締役会において、中国で新たに設立されるポリアセタール (POM)製造会社に間接出資することを決議したと発表した。
 POMは、耐摩擦性・耐クリープ性・耐疲労性・耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックスであり、自動車、電気・電子、精密機器等の部品の材料として広く使用され、GDP成長に準じ安定した市場成長が見込まれている。
 今回、ポリプラスチックスが年間15万トンのPOM中国製造拠点を新たに設立する計画に対して、同社は100%子会社であるグローバルポリアセタールを介して、中国POM製造会社の事業管理会社であるピー・ホールディングスに30%の出資を行うことを決定した。
 同社グループは今後、中国でPOMの製造拠点を新たに設けることで、世界的に旺盛なPOM需要を持つ中国において、中国内の新規製造拠点から自社の持つ中国国内需要をカバーする体制を整えるとしている。

◆無機:デンカが球状アルミナのシンガポール新生産設備の本格稼働を開始(5月11日)
 デンカは、シンガポール連結子会社Denka Advantechのトアス工場で建設を進めてきた球状アルミナの新製造設備の本格稼働を開始したと発表した。
 デンカの球状アルミナは、高熱伝導/放熱材料としてリチウムイオンバッテリーをはじめ、車載、通信などxEV・5G通信関連のメガトレンド用途で広く使用されており、近年需要が急拡大している。今回の新製造設備の本格稼働により、球状アルミナの生産能力を従来比約5倍(2018年度比)に増強し、世界シェア約6割を占める圧倒的なトップメーカーとなる。
 今回の能力増強により、今後の自動車の電動化や5G通信に必要不可欠な放熱材料の世界的需要拡大に迅速に対応し、これまでの生産拠点である大牟田工場(福岡県)に加えてシンガポールとの2拠点生産体制を確立することで、BCP対応を強化するとしている。

◆無機:デンカがシンガポールにおける球状シリカの製造設備の増強を決定(5月11日)
 デンカは、シンガポールの連結子会社である Denka Advantechのトアス工場に球状シリカの戦略投資を行い、グループ全体での生産能力を約3割増強することを決定したと発表した。
 同社の球状シリカは高絶縁性、低熱膨張性を活かして半導体封止材料や半導体パッケージ基板、各種樹脂への充填材として使用されており、高速・大容量データ通信(5G)・自動車の電動化(xEV)により、近年需要が増加している。
 同社はこの球状シリカで世界シェア約3割を占めるトップメーカーであり、大牟田工場(福岡県)およびシンガポールの2拠点体制で生産しているが、今後の旺盛な需要に対応するため、シンガポールの製造設備を増強し中長期的な安定供給体制を構築していく。竣工時期は2024年の予定としている。

◆フィルム:クラレが光学用ポバールフィルムの生産設備を増設(5月9日)
 クラレは、倉敷事業所(岡山県)の光学用ポバールフィルムの生産設備を増設することを発表した。
 光学用ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)の基幹部材である偏光フィルムのベースとなる素材であり、テレビサイズの大型化によるLCDパネル面積の拡大を背景に、光学用ポバールフィルムの需要は拡大基調にある。
 今回増設する新系列は、大型偏光フィルムの生産効率向上に貢献する広幅タイプのフィルムの生産が可能な設備であり、2024年央の稼働を予定している。この増設により、生産能力は年産3,200万㎡増強し、現状の年産2億6,400万㎡から同2億9,600万㎡に拡大するとしている。

◆炭素繊維:三井化学とマイクロ波化学がマイクロ波を活用した環境負荷の低い炭素繊維製造に関する基盤技術を確立(5月9日)
 三井化学とマイクロ波化学は、環境負荷の低い革新的な炭素繊維(以下、CF)製造に関する基盤技術を確立したと発表した。
 本技術では、CF製造工程中で最もエネルギー消費の大きい耐炎化プロセスに加え、炭化プロセスの両工程を一貫してマイクロ波により焼成する。従来法と比較し、エネルギー消費量が50%削減され、処理時間も大幅に短縮し、装置をコンパクトにすることが可能となる。また、再生可能エネルギーを使用することで、より大幅なCO2の排出削減が期待される。
 両社は今後、その技術検証をさらに進めるために、実証設備の導入についても検討を進めるとしている。

◆価格改定
・昭和電工がアンモニアおよび関連製品を5月20日納入分より値上げ
 値上げ幅は、液化アンモニア(タンクローリー):48円/kg以上
 液化アンモニア(ボンベ):48円/kg以上
 アンモニア水(25%濃度):12円/kg以上
・デンカがABS 樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを5月23日納入分
 より値上げ
 値上げ幅は、30円/kg以上
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を6月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、45円/kg以上
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を6月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、不飽和ポリエステル樹脂:47円/kg以上
 ビニルエステル樹脂:28円/kg以上
・クラレがポリエステル短繊維を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%~15%
・クラレが人工皮革を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、6~10%
・タキロンシーアイがアルミ複合板(タキメタル)を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、20%以上
・大日精化工業がオフセットインキを6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、オフセット輪転プロセスインキ:50円/kg以上
 オフセット枚葉プロセスインキ:60円/kg以上
 ※UVインキ、メタリックインキ、特色、中間色、OPニス、その他特殊品については、個別に案内
・堺化学工業が樹脂添加剤製品を6月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、金属石鹸:5%以上、複合安定剤:5~20%
・ニチバンが粘着テープを6月1日より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・旭有機材がパイプ類、継手類を6月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅はパイプ類:20%以上、継手類:10%以上、PVC+FRP類:20%以上
・東ソーが重金属処理剤を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、100円/kg以上
・カネカがイースト製品を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、34円/kg
 

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