メールマガジン

2022年3月10日号

2022.03.10 発行

HEADLINE

◆樹脂:プライムポリマーが日本で初めてバイオマスPPを商業生産・出荷(3月3日)
◆フィルム:住友ベークライトがバイオマス原料使用の食品包装用フィルムを開発(3月4日)
◆CO2関連:日本海水がNEDOの研究開発委託事業「海水と生体アミンを用いたCO2鉱物化法の研究開発」に採択(3月3日)
◆繊維:東レが低摩擦・高摺動耐久テキスタイルを開発(3月2日)
◆LNG:新居浜LNGが供給を開始(3月2日)
◆無機:東ソーのグループ会社がフィリピンにおける電解設備の生産能力を増強(3月1日)
◆樹脂:プライムポリマーがポリプロピレン製造設備を停止(2月28日)
◆電子材料:王子エフテックスがコンデンサ用ポリプロピレンフィルムの生産設備を増設(2月28日)
◆リサイクル:凸版印刷が共同で複合プラスチックのケミカルリサイクル技術の実用化を目指した研究開発を開始(2月28日)
◆バイオ関連:エア・ウォーターがGreen Earth Instituteと「バイオコハク酸」の商用生産に向けた研究開発を開始(2月28日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・デンカがABS樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを3月10日納入分より値上げ
・DICがフェノール樹脂、尿素メラミン樹脂を3月15日納入分より値上げ
・トクヤマがイソプロピルアルコールを3月21日出荷分より値上げ
・プライムポリマーがポリエチレン及びポリプロピレンを3月22日納入分より値上げ
・DICがポリスチレン製品及びスチレン系製品を4月1日納入分より値上げ
・ダイセル・エボニックが高機能樹脂を4月1日より値上げ
・石原産業が酸化チタンのアジアパシフィック地域向け輸出価格を値上げ
・ブリヂストンが油圧ホースやゴムクローラなど産業資材商品を4月1日より値上げ
・積水フーラーが接着剤製品を4月1日出荷分より値上げ
・カネカが太陽電池製品を4月1日の見積りより値上げ
 
 

WEEKLY NEWS

◆樹脂:プライムポリマーが日本で初めてバイオマスPPを商業生産・出荷(3月3日)
 三井化学の子会社であるプライムポリマーは、バイオマスポリプロピレンを日本で初めて商業生産・出荷したと発表した。
 当該製品は、2021年12月に同社の大阪工場に到着したNESTE社のバイオマスナフサを利用した誘導品であり、ISCC PLUS 認証に基づいたマスバランス方式で各種プラスチック・化学品に割り当てバイオマス認証を付与したバイオマスポリプロピレンである。
 三井化学グループは、循環経済の実現に向け、化学品・プラスチックのリサイクルとバイオマス化の両輪を進めていくとしている。

◆フィルム:住友ベークライトがバイオマス原料使用の食品包装用フィルムを開発(3月4日)
 住友ベークライトは、バイオマス原料を基材とする構成で、用途に応じて各層の処方を変更した食品包装用フィルムをラインナップしたと発表した。
 プラスチック系の包装用フィルムは、異種原料の積層により高機能を発現する一方で、各原料の分離が困難でリサイクルされずに焼却されるプラスチックであることから、バイオマス原料を最大限使用することが求められている。
 住友ベークライトは、バイオマス原料を積層することにより包装材としての機能を損なわず、フィルム1kgあたりに発生するCO2を0.5~1.4kg削減するフィルムを開発した。冷凍・チルド食品の包装用フィルムとしての活用が想定されている。
 住友ベークライトでは、今回開発したバイオマス原料使用のフィルムを多層フィルム・シート「スミライト」CELのラインナップに加え、バイオマスマークの取得も進め、2024年度に5億円/年の売上を目指すとしている。

◆CO2関連:日本海水がNEDOの研究開発委託事業「海水と生体アミンを用いたCO2鉱物化法の研究開発」に採択(3月3日)
 エア・ウォーターグループの日本海水は、NEDOの「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電技術推進事業/カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発」の研究開発委託事業の公募に対し、「海水と生体アミンを用いたCO2鉱物化法の研究開発」を提案し採択されたことを発表した。本事業は、北里大学、東京大学、出光興産と共同で実施する。
 本事業は、同社の水酸化マグネシウム製造プロセスから排出される廃海水中のカルシウムを原料として利用し、生体アミンの作用を活用して、排ガス中のCO2と反応させ、炭酸カルシウムとして固定するプロセスの実用化と普及を目指した技術開発を行う。また、現在ラボレベルで確認している当該技術をスケールアップするための要素技術を確立するとともに、各プロセス開発とプロセス全体の最適化を図りながら、CO2削減効果とコスト評価のための基礎研究を行うとしている。

◆繊維:東レが低摩擦・高摺動耐久テキスタイルを開発(3月2日)
 東レは、低摩擦素材であるフッ素繊維トヨフロンと高強度繊維を組み合わせることで、優れた摺動耐久性を持つ低摩擦・高摺動耐久テキスタイルを開発したと発表した。
 今回開発したテキスタイルは、摩擦時において、トヨフロンの摩耗粉が均一に高強度繊維に移着することで低摩擦界面を形成するとともに、骨格となる高強度繊維がトヨフロンの過度な摩耗を抑制する。その結果、東レの従来品に比べて、25倍以上の摺動耐久性の向上に加え、50%以上の低摩擦化を実現した。
 このテキスタイルを用いることで、従来品の持つ小型化・軽量化の利点に加え、高面圧化による摺動部の面積削減が見込まれる。また、摺動耐久性が向上したことで、より過酷な条件下での長時間使用が可能となり、メンテナンスコストの軽減や長寿命化による省資源や環境負荷低減にも貢献する。
 今後、これらの特徴を活かして、各種産業用機械や工場設備、自動車関連部材、ベアリング等に用途展開を拡大するとしている。

◆LNG:新居浜LNGが供給を開始(3月2日)
 東京ガスエンジニアリングソリューションズ、四国電力、住友化学、住友共同電力、四国ガスが共同出資する新居浜LNGは、住友化学愛媛工場構内において建設を進めていた「新居浜LNG基地」の工事及び試運転を完了し、同工場構内にガス供給を開始したことを発表した。また、近隣地区の産業向けガス供給についても今年3月の開始を予定している。
 住友化学は愛媛工場で使用する原燃料を順次LNGへ転換する計画である。また、住友共同電力が建設中の新居浜北火力発電所もLNGを燃料として利用する。これらにより将来的に年間65万トンのCO2排出量削減を見込んでいる。
 新居浜LNGは、同基地におけるLNGの受入れやガス化等の基地の操業を行い、エネルギーの安定供給を担うとともに、近隣地区の産業向けにLNGの普及を推進するとしている。

◆無機:東ソーのグループ会社がフィリピンにおける電解設備の生産能力を増強(3月1日)
 東ソーグループの Mabuhay Vinyl Corporation(MVC社、本社:フィリピン)は、電解設備の生産能力増強と、塩素誘導品である塩酸と液体塩素の生産能力増強を実施することを発表した。
 フィリピンの苛性ソーダ市場は、食品工業洗浄用途を中心に幅広い産業で需要が拡大しており、今後も堅調な成長が見込まれている。塩素需要も、インフラ整備が進む上下水道の殺菌用途や、漂白剤用途等で需要が伸長している。こうした環境をうけ、MVCは、電解設備の生産能力を増強することで、同国における苛性ソーダおよび塩素誘導品の需要の拡大に対応し、安定供給体制の確立を図る。また本計画では、電力および蒸気の消費量削減や、更なるエネルギー有効活用を併せて実施し、二酸化炭素の排出量を増強前よりも削減する。
 生産能力は、苛性ソーダ換算で年産13千DMT増の32千DMTとなる。投資額は14億円で2023年11月の商業運転開始を目指すとしている。

◆樹脂:プライムポリマーがポリプロピレン製造設備を停止(2月28日)
 プライムポリマーは、姉崎工場(千葉県)のポリプロピレン製造設備1系列を2023年3月に停止することを決定したと発表した。
 同社は、2021年5月にポリプロピレン製造設備の新設を発表し、生産体制再構築を進めており、再構築の一環として姉崎工場のポリプロピレン製造設備1系列を停止することとした。
 同社のポリプロピレン生産能力は現状117万トン/年であり、設備停止後は106万トン/年となる。
 今後、需給環境に見合った生産体制と徹底した合理化により事業基盤を強化していくとしている。

◆電子材料:王子エフテックスがコンデンサ用ポリプロピレンフィルムの生産設備を増設(2月28日)
 王子ホールディングスは、グループ会社の王子エフテックスが、滋賀工場において、主に電動車のモーター駆動制御用インバーターユニットのコンデンサに使われる二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPP)の生産設備を新設すると発表した。
 王子エフテックスは、40年以上にわたってコンデンサ用OPPを生産しており、2019年には当時世界最薄レベルである2.0μmのOPPを生産するなど、薄膜化と絶縁性を高いレベルで両立する技術と安定供給能力を有している。
 新設する設備は2024年に稼働開始を予定しており、増設後の生産能力は現行比2.3倍になるとしている。

◆リサイクル:凸版印刷が共同で複合プラスチックのケミカルリサイクル技術の実用化を目指した研究開発を開始(2月28日)
 凸版印刷は、東北大学、産業技術総合研究、東ソー、東西化学産業、恵和興業と共同で複合プラスチックのケミカルリサイクル技術の実用化を目指した研究開発「複合プラスチックからのモノマー回収液相プロセスの開発」を2021年11月から開始したと発表した。
 本研究開発は、NEDOの「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発/石油化学原料化プロセス開発」委託事業の追加公募で採択され実施する。
 一般に使用されているプラスチックの多くは、性質が異なる複数種のプラスチックを複合して使用されているが、このような複合プラスチックのリサイクルでは燃焼によるサーマルリサイクルに依存していることが課題である。
 この課題に対し、本研究開発では複合プラスチックからモノマーを回収する液相プロセスを開発する。複合プラスチックは、PET、PA等の加水分解性プラスチックと、PE、PP、PS等の非加水分解性プラスチックから構成されている。複合プラスチックを高温高圧水中で処理することで、加水分解性プラスチックは再び同種のプラスチックとなるモノマー類へ、非加水分解性プラスチックは石油化学の原料に分解し回収する。連続の液相プロセスによるケミカルリサイクル技術を確立することで、リサイクル率向上に大きく寄与するとしている。

◆バイオ関連:エア・ウォーターがGreen Earth Instituteと「バイオコハク酸」の商用生産に向けた研究開発を開始(2月28日)
 エア・ウォーターは「バイオコハク酸」の事業創出に向けて、地球環境産業技術研究機構(RITE)発のバイオベンチャー Green Earth Institute(以下、GEI)と研究開発契約を締結し、商用生産に向けた研究開発を本格的に開始すると発表した。
 コハク酸は食品添加物の他、工業用途でも幅広く使用され、全世界の市場規模は約1.5億ドル、2027年にかけての年平均予想成長率は約6~7%と年々需要量が増加している。
 エア・ウォーターは、GEIが有するバイオリファイナリー技術に着目して2021年6月に出資しており、バイオコハク酸の商用生産に向けてGEIと協議を重ね、商用生産に必要となる菌体改良・製造プロセスの開発について研究開発契約を締結した。
 今後、同社らは高生産性を有する菌体と、最適な発酵プロセスの開発を進め、量産化検討によりバイオコハク酸の商用生産にかかるコスト低減を目指すとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 3月契約価格は、1,100$/t(前月比+65$/t)、国内価格換算想定値は132.7円/kg
・デンカがABS樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを3月10日納入分より値上げ
 値上げ幅は、20円/kg以上
・DICがフェノール樹脂、尿素メラミン樹脂を3月15日納入分より値上げ
 値上げ幅は、フェノール樹脂(固形、溶液):20~50円/kg、尿素メラミン樹脂(溶液):15~30円/kg
・トクヤマがイソプロピルアルコールを3月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、35円/kg以上
・プライムポリマーがポリエチレン及びポリプロピレンを3月22日納入分より値上げ
 値上げ幅は、35円/kg以上
・DICがポリスチレン製品及びスチレン系製品を4月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、17円/kg以上
・ダイセル・エボニックが高機能樹脂を4月1日より値上げ
 値上げ幅は、平均13~25%
・石原産業が酸化チタンのアジアパシフィック地域向け輸出価格を値上げ
 値上げ幅は、US$300/トン
・ブリヂストンが油圧ホースやゴムクローラなど産業資材商品を4月1日より値上げ
 値上げ幅は、油圧ホース:平均12%、油圧ホース金属商品:平均15%、ゴムクローラ:平均15%、MTパッド:15~30%
・積水フーラーが接着剤製品を4月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・カネカが太陽電池製品を4月1日の見積りより値上げ
 値上げ幅は、20%以上

TOPへ戻る