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2022年11月4日号

2022.11.04 発行

HEADLINE

◆電子材料:SUMCOが三菱マテリアルの半導体用多結晶シリコン事業を取得(10月28日)
◆グリーン水素:三菱ガス化学がグリーン水素・CO2を使用した環境循環型メタノール事業について共同検討を開始
 (10月28日)
◆リサイクル:日本製紙が富士工場における食品・飲料用紙容器リサイクル設備の稼働を開始(10月28日)
◆ガラス:日本板硝子がアルゼンチンで2基目の新フロート窯の稼働を開始(10月28日)
◆樹脂原料:三菱ガス化学と田岡化学工業が、原料モノマーの生産事業を行う合弁会社を設立(10月27日)
◆電子材料:東洋炭素が高純度黒鉛製品及びSiCコーティング黒鉛製品の生産能力増強に向けた設備投資の実施を決定
 (10月27日)
◆リサイクル:プライムポリマーがマテリアルリサイクル事業でのDXを推進(10月26日)
◆水素:千代田化工がSPERA水素を活用した水素サプライチェーン事業開発の概念設計実施について覚書締結を発表
 (10月26日)
◆ゴム:住友ゴム工業が東京工業大学、理化学研究所と協業し、硫黄と天然ゴムの結合点を解明(10月26日)
◆ゴム:日本ゼオンのグループ会社がShell社との「S-SBR 生産向けサステナブルブタジエン」調達に関するMOUを締結
 (10月25日)
◆繊維:帝人フロンティアがタイで機能性ポリエステル長繊維の製造設備を導入(10月25日)
◆セメント:デンカがセメント事業からの撤退及びカーバイドチェーン再構築によるポートフォリオの変革を発表
 (10月25日)
◆3Dプリンタ:DICが抗ウィルス・抗菌機能を有した3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料の販売を開始(10月24日)
◆価格改定
・東ソーが高度さらし粉を11月21日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:SUMCOが三菱マテリアルの半導体用多結晶シリコン事業を取得(10月28日)
 SUMCOは、三菱マテリアルの半導体用多結晶シリコン事業を継承する新会社の株式を取得すると発表した。
 本取得により、シリコンウェーハ事業にとって重要な原材料である半導体用多結晶シリコン及びトリクロロシランの製造を、自社事業として原材料から最終製品まで一貫して推進することが出来るようになる。
 SUMCOは、三菱マテリアルが新設する新会社・高純度シリコンに、三菱マテリアルの半導体用多結晶シリコン事業と、米国三菱ポリシリコン及び日本アエロジルの株式を継承させた上で、株式を取得するとしている。

◆グリーン水素:三菱ガス化学がグリーン水素・CO2を使用した環境循環型メタノール事業について共同検討を開始
 (10月28日)
 三菱ガス化学は、オーストラリアのCement Australia社(以下、CA)と三菱ガス化学が新たに開発した循環型メタノール製造技術を適用し、CAのグラッドストーン工場から回収するCO2とグリーン水素を原料としたメタノール製造販売の事業化検討を行うことに同意する覚書を締結したと発表した。
 オーストラリアでの「グリーンコンストラクション」への移行を先導するCAは、グリーン建材の大規模展開やCO2分離回収・有効利用(CCU)などの次世代技術の推進によって、同国の2050年までのネットゼロ目標に取り組んでいる。
 今回の提携により、CAと三菱ガス化学はネットゼロの未来への移行を加速するCCU手法の確立を目指す。メタノールはさまざまな製品に利用することができ、CO2より製造できることから、CCUの導入を通じたカーボンニュートラル社会構築の上で強力な資源となると期待されている。この計画で製造されるグリーンメタノールは、循環型の環境にやさしい化学製品を必要とする幅広い顧客に販売する予定としている。

◆リサイクル:日本製紙が富士工場における食品・飲料用紙容器リサイクル設備の稼働を開始(10月28日)
 日本製紙は、富士工場内で紙コップや紙パック等の食品・飲料用紙容器リサイクル設備の稼働を開始したことを発表した。
 使用済みの紙容器は、技術的観点、衛生上の観点などからリサイクルに不適とされ、その大半が一般ごみとして焼却されている。その中で、近年の食品・飲料用紙容器のリサイクルに対する市場ニーズに応えるため、同社では2021年9月から本設備の導入に取り組んできた。
 今回富士工場に設置した設備により、高品質・高白色のパルプを生産することが可能となるため、今後は紙・板紙・家庭紙など幅広い分野での製紙原料としての利用を目指す。
 また、使用済み紙容器の回収スキームの構築においては、消費者への告知・啓発活動や、回収拠点および洗浄拠点の確保のため、リサイクルチェーンを構築するビジネスパートナーとの協働を活発化させるとしている。

◆ガラス:日本板硝子がアルゼンチンで2基目の新フロート窯の稼働を開始(10月28日)
 日本板硝子は、アルゼンチンで2番目となるフロートガラス工場の建設が完了し、稼働を開始したと発表した。
 新工場は、同国ブエノスアイレス州に建設され、同社グループ子会社であるVidrieria Argentina(VASA)が運営する。
 今回の投資は、増大が見込まれるアルゼンチンの建築用と自動車用ガラス需要に加え、同じく市場の拡大が続く南米市場への供給に対応すべく、2018年に決定されたものである。当初の計画では2020年初めの稼働開始を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延による世界経済情勢の混乱があり、稼働開始時期が延期されていた。延期された工事は無事完了し、ガラスの生産が開始されたとしている。

◆樹脂原料:三菱ガス化学と田岡化学工業が、原料モノマーの生産事業を行う合弁会社を設立(10月27日)
 三菱ガス化学と田岡化学工業は、三菱ガス化学の新潟工場内に新設する光学樹脂ポリマー「ユピゼータEP」用原料モノマー製造プラントを活用した原料モノマーの生産事業の運営をおこなう合弁会社MTオプティクス株式会社を設立したと発表した。
 光学樹脂ポリマー「ユピゼータEP」は、高屈折率と低複屈折性を高次元で両立させた特長が評価され、スマートフォンをはじめとする高機能小型カメラレンズ材料として広く採用されている。また、ICT・モビリティの分野において肉眼では捉えられないものを可視化するセンシングデバイスなどの登場で、市場拡大が期待されている。
 田岡化学工業が生産・供給する原料モノマーの一部を、田岡化学工業の技術を用いて三菱ガス化学が受託生産することにより、原料も含めた生産体制の最適化を進め、多様化する市場のニーズに対応していくとしている。

◆電子材料:東洋炭素が高純度黒鉛製品及びSiCコーティング黒鉛製品の生産能力増強に向けた設備投資の実施を決定
 (10月27日)
 東洋炭素は、Si(シリコン)半導体およびSiC(炭化ケイ素)半導体等の化合物半導体用途における旺盛な需要に対応するため、 高純度黒鉛製品ならびにSiCコーティング黒鉛製品の生産能力増強に向けた設備投資の実施を決定したことを発表した。
 Si半導体およびSiC半導体を始めとした化合物半導体のウエハー製造工程は、1,000度以上の超高温度となることに加え、半導体プロセスの微細化進展により、構造部材である黒鉛にも高い純度が求めらている。また、SiCコーティング黒鉛製品は、黒鉛基材からのパーティクルやガスの発生を抑制することから、Si半導体やSiC半導体のエピタキシャル工程の部材として使用されている。
 高純度黒鉛製品の生産能力増強に関しては、詫間事業所(香川県)の高純度化処理炉の建屋増築を行い、生産能力を2022年度比で約1.5倍とする。投資金額は約50億円、稼働時期は2025年を予定している。
 また、SiCコーティング黒鉛製品の生産能力増強の関しては、大野原生産技術センター(香川県)で行われ、生産能力を2022年度比で約1.5倍とする。投資金額は約20億円、稼働時期は2024年の予定としている。

◆リサイクル:プライムポリマーがマテリアルリサイクル事業でのDXを推進(10月26日)
 プライムポリマー(以下、PRM)は、親会社である三井化学と連携し、マテリアルリサイクル事業におけるDXを推進すると発表した。
 両社は、資源循環型経済の実現に向けた取り組みの一環として、プラスチックのマテリアルリサイクルを進めている。今回、PRMはマテリアルリサイクルの課題の一つである品質管理体制の強化のため、三井化学が提供する資源循環プラットフォームを活用して「リサイクル品のトレーサビリティ(追跡可能性)およびトランスペアレンシー(透明性)を担保できる仕組み」を構築する。
 今後、その第一歩として、PRMのリサイクル樹脂袋への実装に向け、三井化学および石塚化学産業と連携し、2023年1月よりプラットフォーム上で実証実験を開始するとしている。

◆水素:千代田化工がSPERA水素を活用した水素サプライチェーン事業開発の概念設計実施について覚書締結を発表
 (10月26日)
 千代田化工は、Sembcorp社および三菱商事と、同社の水素貯蔵・輸送技術術(SPERA水素)を活用した、シンガポールにおける水素サプライチェーン事業化に向けた詳細検討に関わる覚書を締結したと発表した。
 現在までの初期の検討を踏まえて、上記3社はクリーン水素サプライチェーン事業の技術面・商務面の更なる検討、協議を行い、サプライチェーン事業の最終投資決定にむけ詳細検討を加速する。同事業は、同社独自の「SPERA 水素」技術を利用して、クリーン水素をオーストラリアや中東などの再生可能エネルギーの生産国からシンガポールに輸送するものである。
 なお、同事業にて2026年に商業運転が開始された場合、年間約6万トンの生産量を誇るアジアで最大のクリーン水素供給事業になる。これは、約100万メガワット時の再生可能エネルギーを生成することに相当し、シンガポールの既存の再生可能エネルギー生産量の2倍に当たるとしている。

◆ゴム:住友ゴム工業が東京工業大学、理化学研究所と協業し、硫黄と天然ゴムの結合点を解明(10月26日)
 住友ゴム工業は、東京工業大学、理化学研究所と共同で、タイヤ製造における、生ゴムに高温・高圧を加え硫黄と化学反応させるゴム加硫法の謎を解明したことを発表した。
 ゴムの弾性を生み出す硫黄の架橋構造は加硫工程で形成され、タイヤの基本性能および性能持続性に影響する。硫黄はタイヤゴムを構成する原材料のうち1%程度しか含まないため、硫黄とゴムの結合点の構造はこれまで十分に解明されていなかった。そのような中、同研究グループは、わずか1%で性能が変わる唯一かつ重要な原材料である硫黄に注目して研究を進めてきた。
 今回の研究により、初めて硫黄と天然ゴムの結合点の構造を解明するとともに、タイヤの基本性能に影響を及ぼし得る環状構造の検出に成功した。天然ゴム分子の間をつなぐ架橋構造と環状構造を高度にコントロールする技術を確立してタイヤの性能向上につなげていくとしている。

◆ゴム:日本ゼオンのグループ会社がShell社との「S-SBR 生産向けサステナブルブタジエン」調達に関するMOUを締結
 (10月25日)
 日本ゼオンのS-SBR製造販売会社であるZeon Chemicals Singapore(以下「ZCS」)は、Shell Eastern Petroleum(以下「Shell社」)と、バイオマス由来のブタジエン(以下「サステナブルブタジエン」)の調達に関する Memorandum Of   Understanding (MOU)を締結したと発表した。
 ZCSは、サステナブルブタジエンを用いたS-SBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)の生産販売に向けた検討を進めていく。S-SBR は主に低燃費タイヤに用いられ、低燃費による走行時のCO2 排出量低減に寄与する。
 同社は、バイオマス由来原材料に関する国際的な認証取得を目指して準備を進めており、サステナブルブタジエンを用いた S-SBR は認証された製品としての販売を検討するとしている。

◆繊維:帝人フロンティアがタイで機能性ポリエステル長繊維の製造設備を導入(10月25日)
 帝人フロンティアは、タイでポリエステル繊維の製造・販売を展開するグループ会社のテイジン・ポリエステル(タイランド)社(以下、TPL)において、自動制御が可能で高効率な最新鋭の機能性ポリエステル長繊維の製造設備を導入し、10 月から生産を開始したと発表した。
 同製造設備は、紡糸工程の効率化を図るとともにマルチフィラメントの均一乾燥工程の自動化を可能にしている。特殊異形断面糸や吸水速乾糸などの衣料・インテリア用途の独自の機能性ポリエステル長繊維や、同社のマテリアルリサイクルチップ生産設備と連動した一貫生産によるリサイクル繊維など、TPLの取り扱い銘柄のさらなる拡大・高付加価値化を図る。また、多様な特殊ポリマーおよびリサイクル原料に対応可能な設計と原糸に機能剤を付与できる設備も備えているため、新たな機能性ポリエステル長繊維の生産にも対応可能となっている。
 同設備は本年10月から生産を開始し、2023年度には1,500トンのポリエステル長繊維を生産する予定としている。

◆セメント:デンカがセメント事業からの撤退及びカーバイドチェーン再構築によるポートフォリオの変革を発表
 (10月25日)
 デンカは、セメント販売事業等を、同社が新たに新設する100%子会社への吸収分割により承継させた上で、当該子会社の全株式を太平洋セメントに譲渡することを双方で合意したことを発表した。
 デンカは1954年よりセメント事業に参入し、新潟県の青海工場にてセメントの製造・販売を行ってきた。しかし、近年、同社のセメント事業は主要販売先の北信越地区をはじめ国内セメント需要が低調に推移しているとともに、老朽化した設備の更新やカーボンニュートラルに向けた大型投資が不可避という厳しい局面に立たされている。
 そのため、同社単独運営による今後の事業の維持・成長は困難との結論に至り、業界最大手である太平洋セメントに同社のセメント販売事業を承継することを判断した。
 今後、同社は2023年3月31日を目途に、新会社の全株式を太平洋セメントに譲渡し、4月1日以降は青海工場で生産されたセメントは新会社が太平洋セメントのブランド名で販売する。2025年上期を目途にセメント生産および石灰石の自社採掘を停止し、太平洋セメントは明星セメントをはじめ全国で生産したセメントを当社需要家様向けに販売する。
 また、石灰石の自社採掘停止後はカーバイド生産用の石灰石を太平洋セメントから購入する。カーバイドチェーンで発生する副産物は明星セメントが受け入れ、セメントの原燃料として有効活用するとしている。

◆3Dプリンタ:DICが抗ウィルス・抗菌機能を有した3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料の販売を開始(10月24日)
 DICは、抗ウイルス・抗菌機能を有した3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料「TrinDy TPU(90A)AV(抗ウイルス)」・「TrinDy TPU(90A)AB(抗菌)」を開発し、販売を開始したことを発表した。
 本製品は、国内で初めて「抗菌製品技術協議会」の定める「SIAA認証」を取得した熱可塑性プラスチック材料である。抗ウイルス・抗菌機能を有した熱可塑性ポリウレタン樹脂(以下、TPU樹脂)を採用しており、ウイルス感染対策が求められ、かつ顧客のニーズに応じてカスタマイズが必要な造形品への展開が可能である。
 今後は、電子・電気、スポーツ、日用品、住宅・建材、自動車、介護・医療現場など幅広い業界への展開を進めていくとしている。

◆価格改定
・東ソーが高度さらし粉を11月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、200円/kg以上

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