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2022年10月6日号

2022.10.06 発行

HEADLINE

◆CO2対策:千代田化工建設がインドネシアのプルタミナ社とCCS事業に関する共同検討業務を開始(9月30日)
◆メディカル:富士フイルム三洋化成ヘルスケアが体外診断用医薬品の製造を開始(9月29日)
◆不織布:東レが長時間の親水性が継続する肌にやさしいスパンボンド不織布を開発(9月29日)
◆再生可能エネルギー:BASF、SABIC、Lindeがドイツで大規模電気加熱式スチームクラッカー実証プラントの建設を開始
 (9月28日)
◆非鉄金属:出光興産が豪州のバナジウム探鉱プロジェクトに参画(9月27日)
◆樹脂:荒川ヨーロッパ社が水素化石油樹脂の製造終了(9月27日)
◆DX:東レがAIを活用した最適な樹脂選定を支援するDXサービスを開始(9月26日)
◆リサイクル:ダウとミュラテクノロジーがドイツにアドバンスドリサイクル施設の設置を計画(9月22日)
◆価格改定
・積水化学工業がポリビニルアセタール樹脂製品を10月1日より値上げ
・日本ゼオンが合成ゴムを10月15日納入分より値上げ
・日本ゼオンが石油樹脂、熱可塑性エラストマー等などの化成品を10月21日納入分より値上げ
 
 

WEEKLY NEWS

◆CO2対策:千代田化工建設がインドネシアのプルタミナ社とCCS事業に関する共同検討業務を開始(9月30日)
 千代田化工建設は、「インドネシアにおける化学品製造プラントから副生されるCO2 の大規模輸送・貯留の実現可能性調査」事業(以下、タンジュンエニムCCS事業)について、インドネシア国営石油会社 PT Pertamina(Persero)(以下、プルタミナ社)と共同検討業務を開始したと発表した。
 タンジュンエニムCCS事業は、インドネシアのエネルギー鉱物資源省とプルタミナ社との協議に基づき、同国で計画されているDME(ジメチルエーテル)製造プラントから排出される年間100万トン、20年間で計2,000万トンのCO2削減量を想定し、経済性や費用対効果などを考慮しながら、CO2の回収・輸送及び貯留設備の建設・運転に関する技術的課題に対応し、プルタミナ社と共同で実現可能性検討を行うとしている。

◆メディカル:富士フイルム三洋化成ヘルスケアが体外診断用医薬品の製造を開始(9月29日)
 富士フイルムと三洋化成は、両社が設立した富士フイルム三洋化成ヘルスケアにて、体外診断用医薬品の製造を開始すると発表した。
 富士フイルム三洋化成ヘルスケアが製造する医薬品は、富士フイルム和光純薬の自動化学発光酵素免疫分析装置「Accuraseed(アキュラシード)」の専用試薬である。2015年に発売した「Accuraseed」は、甲状腺疾患や感染症など30項目以上を、約10分の迅速測定を可能としており、病院等で高い評価を得ている。
 富士フイルムと三洋化成は、「Accuraseed」専用試薬の生産基盤のさらなる強化を図るため、2022年6月に富士フイルム三洋化成ヘルスケアを設立しており、製造を集約することにより、高い生産性を実現するとしている。

◆不織布:東レが長時間の親水性が継続する肌にやさしいスパンボンド不織布を開発(9月29日)
 東レは、親水性が長時間継続する、肌にやさしいスパンボンド不織布を開発したと発表した。
 衛生材料用のスパンボンド不織布には柔軟性が必要であるため、ポリエステルよりも柔軟なポリプロピレンが用いられている。ただし、ポリプロピレンは疎水性ポリマーであり、紙オムツなど親水性が必要な用途では、不織布に親水剤を塗布する親水加工が行われるが、通水時には水とともに親水剤が流出し親水性が低下しやすいという課題があった。
 この課題に対して、東レは、不織布の表面処理ではなく、不織布に用いるポリマーを親水化する研究を進めてきた。これまで、ポリマー改質が容易なポリエステルに着目してきたが、今回、共重合成分の構造と分子量を制御することにより、繰り返し通水を行っても、親水性が半永久的に持続する、新しいスパンボンド不織布の開発に成功した。今後、量産体制を構築した上で、本格的な生産を開始するとしている。

◆再生可能エネルギー:BASF、SABIC、Lindeがドイツで大規模電気加熱式スチームクラッカー実証プラントの建設を開始
 (9月28日)
 BASF(ドイツ)、SABIC社(サウジアラビア)、Linde社(イギリス)の3社は、世界初の大規模な電気加熱式スチームクラッカーの実証プラントの建設を開始したと発表した。
 同技術は、天然ガスの代わりに再生可能エネルギーを使用することで、化学業界で最もエネルギー集約的な生産プロセスの一つであるスチームクラッキングから排出されるCO2を、現在使用されている技術に比べて、少なくとも90%削減できる可能性があるとしている。
 同実証プラントは、BASFのドイツのフェアブント拠点(統合生産拠点)にある既存のスチーム クラッカーの1つに統合され、1時間あたり約4トンの炭化水素を処理し、6メガワットの再生可能エネルギーを消費する予定である。実証プラントの稼働は2023年の予定としている。

◆非鉄金属:出光興産が豪州のバナジウム探鉱プロジェクトに参画(9月27日)
 出光興産は、豪州でのバナジウム探鉱プロジェクト「リンドフィールドプロジェクト」に参画すると発表した。
 本プロジェクトへの参画に向け、豪州クイーンズランド州にバナジウム探鉱鉱区を保有するクリティカルミネラルズグループ(以下「CMG」)のIPO株式32.22%を取得した。
 豪州の再生可能エネルギーの導入拡大における電力系統の安定化の課題解決に寄与する技術として、大容量の蓄電技術が注目されており、バナジウムを電解液に使用するバナジウム・レドックスフロー電池(以下「VRFB」)もそのひとつである。
 同社は今後、CMGとともに、探鉱・技術コンセプトスタディーを進め、VRFB向けの利用を想定したバナジウム生産の事業化可能性を検討する予定としている。

◆樹脂:荒川ヨーロッパ社が水素化石油樹脂の製造終了(9月27日)
 荒川化学工業は、連結子会社である荒川ヨーロッパ社の水素化石油樹脂「アルコン」(粘着・接着剤用樹脂、プラスチック用 添加剤等)の製造を終了することを決議したと発表した。
 同社は、1965年に水素化石油樹脂「アルコン」を開発し、2010年にダウ・ケミカルから一貫製造設備を譲り受け、日本とドイツの2拠点体制とした。さらに2018年にはコスモエネルギーおよび丸善石油化学の3社で千葉アルコン製造を設立し、グローバル3拠点体制で事業の拡大を目指してきた。
 しかし、水素価格の高騰や原材料事情の悪化により、製造コストは上昇しており、今後についても欧州でのエネルギー事情を鑑みると、現在の状況が改善する可能性は低いと判断し、水素化石油樹脂の製造を2023年3月に終了することとした。
 同社での製造終了後は、水島工場と千葉アルコン製造の2拠点からの供給体制とし、荒川ヨーロッパ社は欧州を中心とした販売拠点としての事業活動を継続するとしている。

◆DX:東レがAIを活用した最適な樹脂選定を支援するDXサービスを開始(9月26日)
 東レは、AIを活用し、樹脂製品に関して、これまで培ってきた各種データをもとにマテリアルズ・インフォマティクス(MI)技術で物性データを予測する樹脂選定を支援するDXサービスを2022年度下期から開始すると発表した。
 同社は、AIを活用し、過去の蓄積データから最適な配合処方を予測することで予測モデルの精度を向上させ、加えて膨大なデータから効率的に物性を予測する独自の物性予測システムを構築している。
 今回、この物性予測システムを社外向けのデータベースに組み入れ、顧客が要求特性をシステム上で入力するだけで、同社製品、開発品および予測品の特性、提供可能性を知ることができる樹脂材料データベースを開発した。これにより、顧客自身が樹脂材料を選定する際、最適な樹脂選定をアシストすると共に、顧客が要求する樹脂材料を短期間で提供することにより、顧客の製品開発のスピードアップだけでなく、コスト削減、品質向上に貢献するとしている。

◆リサイクル:ダウとミュラテクノロジーがドイツにアドバンスドリサイクル施設の設置を計画(9月22日)
 ダウとミュラテクノロジーは、世界のプラスチック廃棄物問題の解決と循環型経済の推進の支援に向けた継続的な協力関係において、ドイツ・ベーレンのダウの拠点に欧州最大規模のアドバンスドリサイクル施設の設置計画を発表した。
 同計画において、プラスチック廃棄物の処理能力を大幅に拡大し、完全循環型原料の供給を大幅に増加させる見込みである。特に食品や医療用途などハイエンドで環境意識が高い市場向けに、グローバルブランドから高い需要があるリサイクルプラチックをダウが供給できるようになることが見込まれる。
 新しいベーレン施設は2025年までに操業開始予定であり、フル稼働時には年間約12万トンのアドバンスドリサイクル能力を提供することになる。この施設と、欧州と米国で建設予定の他の施設を合わせると、2030年までに60万トンのアドバンスドリサイクル能力が追加される見込みである。このプロジェクトは、2023年末までに最終的な投資判断がなされる予定としている。

◆価格改定
・積水化学工業がポリビニルアセタール樹脂製品を10月1日より値上げ
 値上げ幅は、10~30%
・日本ゼオンが合成ゴムを10月15日納入分より値上げ
 値上げ幅は、ESBR:25円/kg、BR:40円/kg、IR:45円/㎏、NBR:20円/kg、PB:20円/kg、HNBR:150~250円/kg
 CM:ポリマー価格改定幅及び副資材の価格改定幅に従って改定
・日本ゼオンが石油樹脂、熱可塑性エラストマー等などの化成品を10月21日納入分より値上げ
 値上げ幅は、石油樹脂(クイントン):20円/kg 、熱可塑性エラストマーSIS(クインタック):50円/kg、
 CPDIMER(シーピーダイマー):20円/kg、イソプレンモノマー:30円/kg
 

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