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2022年1月27日号

2022.01.27 発行

HEADLINE

◆バイオマス原料:旭化成がバイオマス由来原料によるアクリロニトリルを生産(1月21日)
◆電子材料:東レが厚膜・高解像度ネガ型感光性ポリイミド材料を開発(1月20日)
◆リサイクル:住友金属鉱山と関東電化工業が使用済みLiBからリチウムを電池材料として再資源化するリサイクル技術を確立(1月19日)
◆フィルター:東レが高効率で水素分離可能な高分子分離膜モジュールを創出(1月19日)
◆産業用ガス:昭和電工が液化炭酸ガス事業に関するサプライチェーン強靭化投資実施を決定(1月19日)
◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングがタイで混合廃プラ油化技術の共同検討を開始(1月19日)
◆電子材料:住友ベークライトがめっきとの密着性に優れたフェノール樹脂成形材料を開発(1月18日)
◆フィルム:三菱ケミカルが高周波特性を向上させた超低誘電損失フィルムを開発(1月18日)
◆電子材料:東レが完全塗布法によりフィルム上に半導体回路を実現(1月17日)
◆価格改定
・セメダインがシーリング材及び関連商品、タイル用接着剤を2月1日出荷分より値上げ
・大日精化工業が有機・無機顔料及びその加工品を2月1日出荷分より値上げ
・日本製紙クレシアが家庭紙製品を4月1日出荷分より値上げ
 
 

WEEKLY NEWS

◆バイオマス原料:旭化成がバイオマス由来原料によるアクリロニトリルを生産(1月21日)
旭化成は、100%子会社である韓国の東西石油化学が生産するアクリロニトリル(以下「AN」)について、昨年10月に、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証を取得し、本年2月以降、バイオマスプロピレンを用いたANの生産を開始する予定であることを発表した。
ANは、ABS樹脂やアクリルアマイド、アクリル繊維の原料として用いられるほか、各種化学品合成原料として使用されている。近年は、風力発電のブレード用途など最終製品の軽量化に貢献する炭素繊維や、衛生管理意識の高まりにより引き合いが旺盛な医療用手袋向けNBラテックスの原料として需要が増加している。
また、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、化石燃料由来の製品チェーン全体のCO2削減の取り組みが活発化していることから、CO2排出量が少ないANの生産を開始することになったとしている。

◆電子材料:東レが厚膜・高解像度ネガ型感光性ポリイミド材料を開発(1月20日)
東レは、ポリイミドの特徴である耐熱性や機械特性、接着性を維持しながら、解像度を高め、100μm等厚膜で高精細なパターン加工を可能としたネガ型感光性ポリイミド材料を開発したと発表した。
これまでは、ネガ型の感光性ポリイミド材料が絶縁層に多く採用されてきたが、光透過性が低いことから、厚みが50μmより増すと感光性が低下し、微細な加工ができなかった。また、硬化後の熱応力が高く、反り量が大きくなることで、加工時の信頼性低下も課題となっていた。
東レは、機能性ポリイミドの設計技術を駆使し、光透過率を高め、光反応性を制御することで、100μm厚みで直径10μmのビアを加工できるネガ型感光性ポリイミド材料の開発に成功した。また、露光時の光反応によるポリイミド樹脂の架橋密度を制御し、硬化収縮を低くすることで、一般的なポリイミド材料に比べ、熱応力を半分以下に抑え、反りを軽減することを可能とした。
同材料の適用により、電子部品の小型化や半導体パッケージの配線微細化、信頼性の向上が可能となる。開発品は、ワニス・シート両方での製品展開を目指し、現在試作品の出荷を進めているとしている。

◆リサイクル:住友金属鉱山と関東電化工業が使用済みLiBからリチウムを電池材料として再資源化するリサイクル技術を確立(1月19日)
住友金属鉱山は、関東電化工業との共同開発により、使用済みのリチウムイオン二次電池(LIB)から、リチウム化合物を高純度で再資源化し、電池材料へと水平リサイクルする技術を世界で初めて確立したことを発表した。
共同開発した技術は、住友金属鉱山の二次電池リサイクルプロセスのなかで発生するリチウム含有スラグを、関東電化工業の湿式精錬法を用いてLIBに再利用可能な高純度リチウム化合物として再資源化するものである。
リサイクルされた高純度リチウム化合物は、関東電化工業で生産しているLIB用の電解質「六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)」用途に加えて、住友金属鉱山が生産するLIB用正極材の原料となる炭酸リチウム、水酸化リチウムに使用すべく、今後実用性評価を進めていく。また、2022年度には、さらにスケールアップしたパイロット実証設備を設置するとしている。

◆フィルター:東レが高効率で水素分離可能な高分子分離膜モジュールを創出(1月19日)
東レは、水素を含む混合ガスから、水素を選択的かつ高効率に透過可能な高分子分離膜モジュールを創出したことを発表した。
水素精製技術の一つである膜分離法は、水素製造・利用時に不純物を除き、高純度の水素を得るために、圧力差を利用して分離する技術であり、省エネ・省スペース化を実現するプロセスとして期待されているが、分離膜のうち高分子分離膜モジュールは、透過水素純度や水素透過量に課題があった。
今回、同社は水素親和性材料を導入することで、細孔構造を高度に制御した分離膜を新たに開発し、同分離膜を用いた水素精製において、世界最高レベルの透過水素純度98%を実現している。これにより1回の分離で純度を高めることができ、従来の分離膜モジュールと比べ初期投資が削減できる。また、モジュール化に際し、主要構成部材の流路材を最適設計にし、流動抵抗を低減することで、無機分離膜モジュールと比べ、2倍以上の高膜面積化を実現している。これにより、モジュール1本あたりの水素透過性が向上し水素精製プロセスに必要なモジュール本数を50%以下に削減できる。また、今回開発した分離膜を組み合わせることで、モジュール本数を75%以上削減でき、大幅な省スペース化につながる。
同社は今後、国内外の各エンジニアリング会社との協力関係の構築を図り、量産技術を確立するとしている。

◆産業用ガス:昭和電工が液化炭酸ガス事業に関するサプライチェーン強靭化投資実施を決定(1月19日)
昭和電工(以下、SDK)の連結子会社である昭和電工ガスプロダクツ(以下、SGP)は、SGP川崎工場の液化炭酸ガスおよびドライアイス(以下、炭酸製品)の生産能力と貯蔵能力を増強し、サプライチェーンを強靭化することを決定したことを発表した。
炭酸製品の需要は堅調に推移しているが、炭酸製品の原料に使用できる炭酸ガスは、製油所の統廃合や閉鎖、アンモニア製造拠点の減少等により供給減少が継続している。そのため原料用炭酸ガスの安定的な確保は炭酸製品の安定生産・安定供給に向けた重要な課題となっている。
SGP川崎工場では、炭酸製品の原料にSDK川崎事業所で行っている使用済みプラスチックのケミカルリサイクル事業(以下、KPR)においてプラスチックから水素を取り出す際に発生する炭酸ガスを利用している。KPRを今後の炭酸
ガスの安定供給源として一層活用し、液化炭酸ガス生産設備の新設および貯槽タンクの増設により顧客への安定供給体制を強化することを決定した。
本計画への投資総額は約30億円の予定で、これによりSGPの液化炭酸ガスの生産能力は約30,000t/年、貯蔵能力は約2,000t増加する。2022年4月から着工し、2023年末からの稼働開始を目指すとしている。

◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングがタイで混合廃プラ油化技術の共同検討を開始(1月19日)
東洋エンジニアリングとタイのSCGケミカルズは、SCGケミカルズが60%出資しているCircular Plas(CirPlas)が保有する混合廃プラスチックの油化技術の商業化に向けた共同検討に関する基本合意書を締結したと発表した。
CirPlasは既にタイ・ラヨン県で混合廃プラスチック油化実証プラントを稼働させている。SCGケミカルズとCirPlasは実証プラントの生産能力の増強を計画しており、SCGケミカルズと東洋エンジニアリングは商業化に向けたスケールアップの検討を実施している。
CirPlasが保有するプラスチックのリサイクル技術は、触媒を使用することでプロセス温度を下げる省エネルギー・環境配慮型の油化プロセスである。またプラスチック廃棄物を再度プラスチック原料にリサイクルすることから、タイ国内だけではなく、他の国々のプラスチック廃棄物問題の低減にも寄与することができるとしている。

◆電子材料:住友ベークライトがめっきとの密着性に優れたフェノール樹脂成形材料を開発(1月18日)
住友ベークライトは、金属めっきとの密着性に優れたフェノール樹脂成形材料「SUMIKON PM-Plamecシリーズ」を開発したと発表した。
樹脂めっきではエッチング工程中に成形品表面へアンカーを形成させ、物理的に接合することでめっきとの密着性を確保するが、開発品はアンカー形成に適した処方設計を実施することで、従来のフェノール樹脂成形材料に比べて約5倍もの初期のめっき密着性を有することができる。更に金属めっきと線膨張係数を近づけたことなどにより、めっきクラックや剥離が生じない長期信頼性の確保も可能とした。
開発したシリーズは、自動車部品に要求される強度・剛性を備える高強度タイプ、高寸法精度を追求した等方性タイプ、低比重を狙う事での低コストタイプを備え、さらに、より高強度で耐衝撃性の高い長繊維熱硬化性樹脂成形材料にもめっき技術の適用を検討している。
同社では、これまで電磁波シールド性が課題となり樹脂化の適用が難しかった耐電磁波性や耐ガス透過性を求められる部品の金属代替用の素材として展開を進め、将来的に年間10億円以上の売り上げを見込んでいるとしている。

◆フィルム:三菱ケミカルが高周波特性を向上させた超低誘電損失フィルムを開発(1月18日)
三菱ケミカルは、高周波領域における誘電損失を低減した、高周波通信向けの超低誘電損失フィルムを新たに開発したと発表した。
次世代通信規格として普及が見込まれている5GやBeyond5Gなどは、波長が短い高周波帯を利用する。一方で、高周波帯は送信過程で電波が減衰する誘電損失が大きいため、通信機器に適用されている変性ポリイミド(MPI)や液晶ポリマー(LCP)などの素材では、電波を損失させ通信に支障をきたすおそれがあった。
この課題に対し、三菱ケミカルは誘電正接を0.001以下まで抑え、高い誘電特性を持ったフィルムを新たに開発した。本開発品は、ミリ波帯5G(28GHz)における伝送ロスを、従来品と比べ約50%低減することが可能で、透明性や耐熱性が高く、銅密着性にも優れていることから、電子回路基板やアンテナ基板・外装材などへの活用が期待される。
三菱ケミカルでは、幅広い材料ラインナップと成型技術を融合して開発を行い、超低誘電損失フィルムの普及を目指すとしている。

◆電子材料:東レが完全塗布法によりフィルム上に半導体回路を実現(1月17日)
東レは、高性能半導体カーボンナノチューブ(半導体CNT)複合体を用いてフレキシブルなフィルム上に半導体回路を塗布形成する技術を確立し、汎用のフィルム上にRFIDやセンサーを作製して無線動作することを実証したと発表した。
今回、同社は各材料改良によるフィルムの伸縮を抑制するとともに、東レエンジニアリングが開発した形状追従型高精度インクジェット技術を適用することにより、半導体回路などのフィルム上に精度よく塗布形成する技術を確立した。本技術はフィルム上に半導体回路を直接塗布形成できるため、設計自由度が高く、小ロットのニーズから対応できる。
今回の成果は、レジの自動化や在庫管理の省力化など、小売・物流の効率化が期待されているUHF帯RFIDへの適用に加え、偽造防止などのセキュリティー分野や医療・介護現場で活用できるセンサーなど幅広い用途への展開が見込まれている。
今後同社は社外パートナーと連携してシステムやアプリケーションの開発を進め、早期の製品化を目指すとしている。

◆価格改定
・セメダインがシーリング材及び関連商品、タイル用接着剤を2月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、シーリング材各種及び関連商品:15%以上、タイル用接着剤全般 (タイルエースシリーズなど):10%以上
・大日精化工業が有機・無機顔料及びその加工品を2月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料:100~400円/kg、中高級顔料、無機顔料、加工顔料:個別設定
・日本製紙クレシアが家庭紙製品を4月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
 
 

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