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2021年9月2日号

2021.09.02 発行

HEADLINE

◆樹脂:旭化成がスチレン系特殊透明樹脂「アサフレックス」事業から撤退(8月27日)

◆電子材料:住友ベークライトがリールtoリール連続基板生産に対応したロールコア材の量産を開始(8月26日)

◆非鉄金属:UACJが豪サンライズ社とアルミニウム-スカンジウム合金の共同研究に関する契約を締結(8月26日)

◆サスティナブル:三菱ケミカル、大日本印刷、リファインバースがブロックチェーンによるトレーサビリティの信頼性を高めたサプライチェーン構築に向けた実証を実施(8月25日)

◆有機:ダウがアクリル酸メチルの生産能力を増強(8月24日)

◆電子材料:住友化学が半導体用高純度ケミカルの生産能力を増強(8月24日)

◆リサイクル:住友化学がアクリル樹脂のケミカルリサイクル実証設備の建設を決定(8月23日)

◆水素:ENEOSが豪州におけるオリジン社との日豪間CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた協業検討を開始(8月23日)

◆価格改定

・住友化学が液体アンモニアとアンモニア水を9月1日出荷分より値上げ

・クラレがEVOH製品(エチレン・ビニルアルコール共重合体)を9月1日出荷分より値上げ

・東ソーが塩酸を年9月16日出荷分より値上げ

・ユニチカがスパンボンド不織布を10月1日出荷分より値上げ

・クラレが水添スチレン系エラストマー(セプトン、ハイブラー)関連製品を10月1日出荷分より値上げ

・サカタインクスがオフセットインキを10月1日出荷分より値上げ

・DICがオフセット用印刷インキを10月18日出荷分より値上げ

・ニッタがベルト、ゴム成形品、ホース、チューブ、継手製品を10月1日受注分より値上げ

・信越化学工業がシリコーンを10月出荷分より値上げ

・日本触媒が高吸水性樹脂の海外向け価格を次回契約分より値上げ

 

WEEKLY NEWS

◆樹脂:旭化成がスチレン系特殊透明樹脂「アサフレックス」事業から撤退(8月27日)

旭化成は、スチレン系特殊透明樹脂(製品名:「アサフレックス」)事業からの撤退を決定したことを発表した。

本事業は、1982年に川崎工場において生産を開始し、国内外の顧客へ製品を提供してきた。しかし、近年は主要市場の不透明性の高まりといった外部環境による事業損益の悪化を受け、将来的に拡大戦略を描くことが難しいとの判断から、事業撤退を決定した。

今後、2023年3月に製造を終了し、2023年9月に販売終了の予定としている。

 

◆電子材料:住友ベークライトがリールtoリール連続基板生産に対応したロールコア材の量産を開始(8月26日)

住友ベークライトは、リールtoリールの連続基板生産に対応したロールタイプのコア材料の量産を宇都宮工場で開始したと発表した。

一般にコア材料は、プリプレグの両面に銅箔をセットし枚葉でプレス成型・硬化させて生産される。一方、デバイスの薄化基板、高集積化により、基板のさらなる薄化が求められており、使用されるコア材も薄化が進んでいる。

同社のリールtoリールのロールタイプの生産方式は、工程中はロール搬送されるためほとんど人の手が介在することなく連続で基板生産ができる。それによりハンドリングロスが低減でき、さらに連続的に製品面付け可能となり、高い面積歩留まりが期待できる。この方式は品質安定性(厚み、物性、寸法)にも優れ、さらに従来のプレス生産方式では製造が困難な20㎛以下のコア材の提供もできるため、将来のさらなる薄化要求にも対応でき、かつ、コスト競争力の高い生産方式で極薄リジット基板の提供が可能になるとしている。

 

◆非鉄金属:UACJが豪サンライズ社とアルミニウム-スカンジウム合金の共同研究に関する契約を締結(8月26日)

UACJは、オーストラリアの鉱山開発会社サンライズ・エナジー・メタルズとアルミニウム-スカンジウム合金の共同研究に関する契約を締結したと発表した。

サンライズ社は、自社の鉱山で産出する予定のスカンジウムの用途開発を進めている。

一方、UACJは以前から、アルミニウム-スカンジウム合金について情報収集および研究を行っていたが、スカンジウムの供給が少なく、実用化が見込めなかった。しかし、今後スカンジウムの生産量が増加すると期待されるため、アルミニウム-スカンジウム合金の開発を本格的に開始した。アルミニウムにスカンジウムを添加することで、材料の強度や耐熱性をさらに高めることが可能になり、特に軽量化と強度が求められる輸送機器分野において、高温下で使用される部材などでの活用を見込んでいる。

今後は、開発した合金を、迅速に輸送機器分野を中心に実用化を目指していくとしている。

 

◆サスティナブル:三菱ケミカル、大日本印刷、リファインバースがブロックチェーンによるトレーサビリティの信頼性を高めたサプライチェーン構築に向けた実証を実施(8月25日)

三菱ケミカル、大日本印刷、リファインバースの3社は、オランダのサーキュライズ社の情報管理システムを活用して、バイオマスやリサイクル原料の管理・追跡 (トレーサビリティ)、ライフサイクルアセスメント(LCA)等の環境負荷の評価指標への対応を含めた、透明性・信頼性の高いサプライチェーン構築に向けて、9月末までにかけて共同で実証実験を行うことを発表した。

サーキュライズは、パブリックブロックチェーンを利用し、原料から最終製品まで追跡するサプライチェーン・トレーサビリティシステムを開発している。この機密性の高い独自の暗号化技術により、サプライチェーン内の各企業の機密情報や公開情報を管理・共有することができる。

3社は、本実証を通じて、バイオマスやリサイクル原料を使用した製品のさらなる高付加価値化やマスバランス方式(石油由来原料と廃プラスチック由来原料を混合して製品が製造される際に、第三者認証を取得し、使用したリサイクル原料の割合を任意の製品へ割当てる流通管理方式)による原料管理の高度化に寄与するべく、高いトレーサビリティ精度を有するサプライチェーン構築の有用性を検証するとしている。

 

◆有機:ダウがアクリル酸メチルの生産能力を増強(8月24日)

ダウは、大規模かつ集約された生産設備を通じて、供給安定性および原材料へのアクセス向上を図るため、メキシコ湾岸地域におけるアクリル酸メチル生産設備への投資を発表した。

アクリル酸メチルは、水処理や熱可塑性プラスチック製品からインキ、樹脂、包装材料に至るまで、市場の需要が高まっている幅広い用途で活用されている。

米国ルイジアナ州セント・チャールズ工場において新規に増強される年産5万トンの生産設備は、2022年前半に操業予定である。主に北米での需要に対応するとともに、世界的な需要増にも対応することが可能になる。

新規生産設備が稼働すると同時に、セント・チャールズ工場では、主にアクリル酸メチルとアクリル酸2-エチルヘキシルの生産に注力する。アクリル酸エチルの生産は、既存需要に対応する生産能力を持つテキサス州ディアパーク工場が担うとしている。

 

◆電子材料:住友化学が半導体用高純度ケミカルの生産能力を増強(8月24日)

住友化学は、半導体用高純度ケミカルの製造ラインを増設し、生産能力を強化すると発表した。

愛媛工場の高純度硫酸の生産能力を2024年度上期までに約2倍に引き上げる。また、100%子会社である東友ファインケムの益山工場(韓国)の高純度アンモニア水の生産能力を2023年度下期までに約4割増強する。

高純度ケミカルは、半導体製造で精密洗浄などに用いられる。住友化学は、長年の納入実績と微小不純物分析技術に基づく品質保証体制を確立していることを強みとしている。

韓国では東友ファインケムが平澤工場と益山工場の2拠点で事業を展開している。中国では住化電子材料科技(西安)と住化電子材料科技(常州)が製造販売を行っており、グローバルな供給体制を構築している。

半導体デバイス市場は、5G対応スマートフォンの普及や、コロナ禍におけるライフスタイルの変化でIT関連機器の需要増加を理由に成長を続けている。そのため、製品の製造に必要な高純度ケミカルの需要も堅調に拡大するとしている。住友化学は、半導体用高純度ケミカルの生産能力増強により、安定供給を実現させるとしている。

 

◆リサイクル:住友化学がアクリル樹脂のケミカルリサイクル実証設備の建設を決定(8月23日)

住友化学は、アクリル樹脂(PMMA、ポリメチルメタクリレート)のケミカルリサイクル実証設備を愛媛工場に建設すると発表した。

同社は、ケミカルリサイクルの技術開発を推進しており、アクリル樹脂を熱分解し、原料となるMMAモノマーとして再生する独自の基本技術を確立したため、実証設備の建設を決定した。この技術により得られたMMAモノマーを再重合してできるアクリル樹脂は、化石資源から製造したバージン材料と比較して、透明性や強度などの基本物性は同水準を維持した上で、製品ライフサイクル全体の温室効果ガス(GHG)排出量を60%以上削減できる見込みである。今後、2022年秋に実証試験に着手し、23年にサンプル提供を開始する予定である。

また、事業化に向けて廃棄される自動車や家電、飛沫防止板などからの回収を含め、安定的な原料調達システムの構築も併せて検討を始める。再生されたMMAモノマーおよびそれを原料とするアクリル樹脂は、環境規制の強化が進む自動車や、公共施設である高速道路の遮音板など、リサイクル材料としての付加価値が認められる分野・製品での採用を想定するとしている。

 

◆水素:ENEOSが豪州におけるオリジン社との日豪間CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた協業検討を開始(8月23日)

ENEOSは、豪州企業オリジン社と日豪間のCO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた協業検討を実施することとし、両社で覚書を締結したと発表した。

オリジン社は、天然ガス田の開発から電力・ガスの販売まで豊富な実績を持つ豪州の大手総合エネルギー企業である。

今回の協業検討は豪州のクイーンズランド州で実施し、両社は安価で安定的な再エネ電力由来の水素の供給可能性について検証を進めていく。具体的には、オリジン社は再エネ電力の安定供給および水素を製造する水電解槽について、同社は水素の貯蔵・輸送形態の一つであるMCH (メチルシクロヘキサン)の効率的な製造および日本への海上輸送についての検討を行うとしている。

 

◆価格改定

・住友化学が液体アンモニアとアンモニア水を9月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、液体アンモニア:24円/kg、アンモニア水:7円/kg

・クラレがEVOH製品(エチレン・ビニルアルコール共重合体)を9月1日出荷分より値上げ

標準銘柄の値上げ幅は、日本:50円/kg、欧州:0.42ユーロ/kg、アジアパシフィック、北米・南米、中東・アフリカ:0.50US$/kg

特殊銘柄の値上げ幅は、日本:70円/kg、欧州:0.60ユーロ/kg、アジアパシフィック、北米・南米、中東・アフリカ:0.70US$/kg

・東ソーが塩酸を年9月16日出荷分より値上げ

値上げ幅は5円/kg以上

・ユニチカがスパンボンド不織布を10月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、ポリエステル長繊維不織布:11円/kg、ポリエステル/ポリエチレン長繊維不織布:21円/kg

・クラレが水添スチレン系エラストマー(セプトン、ハイブラー)関連製品を10月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、0.44 US$/kg

・サカタインクスがオフセットインキを10月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、オフ輪インキ/枚葉インキ:50~120 円/kg、新聞インキ:40~100円/kg、UVインキ:100~170円/kg

※中間色・特色インキおよびその他製品については、個別に案内

・DICがオフセット用印刷インキを10月18日出荷分より値上げ

値上げ幅は、商業オフ輪インキ:50~100円/kg、油性枚葉インキ:50~100円/kg、UVインキ:100~150円/kg、新聞インキ:30~100円/kg

※金銀特殊品など一部製品については上記改定幅と異なる

・ニッタがベルト、ゴム成形品、ホース、チューブ、継手製品を10月1日受注分より値上げ

値上げ幅は、ベルト類・ゴム成形品:5~8%、ホース・チューブ・継手製品:10~20%

・信越化学工業がシリコーンを10月出荷分より値上げ

値上げ幅は、10~20%(※一部製品は20%以上の値上げ)

・日本触媒が高吸水性樹脂の海外向け価格を次回契約分より値上げ

値上げ幅は、400USD/MT以上

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