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2020年3月26日号

2020.03.26 発行

HEADLINE

 

◆電池材料:昭和電工の子会社がリチウムイオン電池用包材の大型製品向け量産設備の導入を決定(3月18日)

◆樹脂:デンカがポリビニルアルコール樹脂の製造合弁会社を100%子会社化(3月19日)

◆二次電池:住友化学が京都大学と固体型電池の実用化に向けた研究開発を推進(3月18日)

◆無機:堺化学工業が大阪市立大学と共同で黒リンの安全で高収率な溶液合成法を開発(3月17日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆電池材料:昭和電工の子会社がリチウムイオン電池用包材の大型製品向け量産設備の導入を決定(3月18日)

昭和電工の子会社である昭和電工パッケージングは、リチウムイオン電池(以下、LIB)の包材であるアルミラミネートフィルム「SPALF」について、車載向けなど大型用途向けに特化した新製品を開発し、量産化設備を導入することを決定したと発表した。

SPALFは樹脂とアルミ箔をラミネートしたフィルムで、パウチ型LIBの包材として使用されている。パウチ型LIBはスマートフォンやタブレットなどの小型用途で広く採用されているが、近年、品質の高さが認められ安全性の評価が進んでいることから、電気自動車(EV)向けをはじめとする大型用途でも採用が拡大している。中国に続き欧州でもEV開発が進み、パウチ型LIB包材の需要が高まっていることから、大型用途向け新製品を開発し、その量産設備の導入を決定した。

新設備は2021年3月に稼働開始する予定としている。

 

◆樹脂:デンカがポリビニルアルコール樹脂の製造合弁会社を100%子会社化(3月19日)

デンカは、2010年に積水化学工業との共同出資により設立したポリビニルアルコール(PVA 樹脂)の製造会社DSポバールの積水化学保有の全株式を買い取り、積水化学との合弁を解消すると発表した。

PVA樹脂は水溶性、ガスバリア性、乳化性、生分解性、生体適合性など様々な特長を持つことから幅広い用途に使用でき、環境負荷低減をはじめとする社会的な課題に対応できる素材である。

デンカは、これまで培ってきた高分子樹脂の精密重合・合成技術等の基盤技術を活かし、塩ビ分散剤や油井セメント用逸水防止剤用途等の高付加価値品の開発に注力し、外部環境の影響を受けにくいスペシャリティーグレードの比率拡大を進めるとしている。

 

◆二次電池:住友化学が京都大学と固体型電池の実用化に向けた研究開発を推進(3月18日)

住友化学は、京都大学と次世代二次電池として注目されている固体型電池の実用化に向けた材料および要素技術の開発を共同で行うことに合意したと発表した。

本合意に基づき、2020年4月に京都大学桂キャンパス内に、ラボスケールの製造設備、電池性能評価装置などを新たに設置し、京都大学大学院工学研究科の研究グループと住友化学による産学共同講座を開設する。

固体型電池は、従来型のリチウムイオン二次電池に用いられている電解質を液体から固体にしたもの。可燃性の電解液を使わないため、現在主流のリチウムイオン二次電池に比べて高い安全性を持つとともに、電池そのものの高容量化や長寿命化、さらには、急速充電が可能になると見込まれている。これらの特長を生かし、情報機器、医療用途などの民生用小型電池や、EV用の次世代電池など、幅広い分野への応用が見込まれるとしている。

 

◆無機:堺化学工業が大阪市立大学と共同で黒リンの安全で高収率な溶液合成法を開発(3月17日)

堺化学工業は、大阪市立大学人工光合成研究センターと共同で太陽光エネルギーを利用し、水から水素を生成する際の触媒として機能する黒リンを溶液法で高収率かつ簡便に合成する手法を開発したと発表した。

黒リンの合成方法は、高温高圧法や化学蒸着法などの合成手法が一般的で、安価に大量に合成することが難しい手法であった。

本研究では、エチレンジアミンを溶媒に用いて、ソルボサーマル法(溶媒の加熱反応により材料を合成する手法)で赤リンから黒リンを高収率で合成する手法を見出した。得られた試料では黒リンの含有率が非常に高く、従来の10%程度から約90%と収率を大きく改善することに成功した。

黒リンは層状化合物で、層の厚みによって吸収できる光の波長を変えることができるため、可視光から近赤外光まで利用できる二次元材料として期待が高まっている。本研究により黒リンを利用した光触媒研究がさらに加速することが期待される。

今後は、黒リンの層状面積を大きくする手法の開発や、安定性が向上するような処方の開発に取り組んでいく予定としている。

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