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2020年2月27日号

2020.02.27 発行

HEADLINE

 

◆メディカル:東ソーがTRC 法を用いた新型コロナウイルス検査キットの開発に着手(2月21日)

◆水処理関連:DICが水処理などに用いられる大型脱気モジュールの生産能力を増強(2月21日)

◆二次電池:日本触媒が炭から生まれたハイブリッド亜鉛蓄電池を開発(2月19日)

◆塗料原料:三洋化成工業がタイで自動車向け電着塗料用原料の本格生産開始(2月18日)

◆化粧品原料:長瀬産業が柑橘由来のエイジングケア化粧品素材を3月に新発売(2月18日)

◆二次電池:出光興産が千葉事業所に次世代電池向け固体電解質の小型量産設備を新設(2月18日)

◆燃料電池関連:日本触媒がガスバリア性に優れた・高効率のアルカリ水電解用セパレータを開発(2月17日)

◆メディカル:住友ベークライトがリボン型脳波測定用樹脂製ドライ電極を開発(2月17日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆メディカル:東ソーがTRC 法を用いた新型コロナウイルス検査キットの開発に着手(2月21日)

東ソーは、核酸(RNA)を増幅検出するTRC法を用いた新型コロナウイルス検出試薬の開発を開始したと発表した。

TRC法(Transcription Reverse-transcription Concerted reaction)は、一定温度でRNA を複写増幅する転写逆転写協奏法と、検出対象の核酸と結合することで蛍光が増強する発蛍光プローブ(INAF プローブ)を組み合わせた方法である。

TRC法による検出試薬を用いて、同社既存製品である自動遺伝子検査装置TRCReady-80で検査することで、新型コロナウイルスを簡便かつ約50分以内に検出することを目指すとしている。

 

◆水処理関連:DICが水処理などに用いられる大型脱気モジュールの生産能力を増強(2月21日)

DICは、液体の脱気・給気をコントロールする中空糸膜モジュールSEPARELシリーズにおいて、水処理などに用いられる大型脱気モジュールの生産能力強化を目的に、同社グループのDIC化工市原工場の生産設備を増強したことを発表した。

大型脱気モジュールは、中心部が空洞の繊維である中空糸を束にした膜に液体を通すことで、液中に溶け込んでいる窒素や酸素などの不純物を取り除き、液体の純度を高める機能を有している。主な販売先は、半導体や液晶ディスプレイ(LCD)、電子部品の製造工程で用いられる超純水を製造する水処理装置メーカーである。

今回の投資額は約16億円で、新工場稼働で中空糸膜モジュールの生産能力は従来の1.5倍に拡大する。生産能力増強により、中空糸膜モジュール事業の売上高を2021年には2019年比で約1.7倍を目指すとしている。

 

◆二次電池:日本触媒が炭から生まれたハイブリッド亜鉛蓄電池を開発(2月19日)

日本触媒は、自社独自技術により開発した「亜鉛電池用セパレータ」と「亜鉛負極」に、活性炭を組み合わせることにより新しい亜鉛蓄電池「カーボン-亜鉛ハイブリッド蓄電池」を開発したと発表した。

亜鉛蓄電池は、安全性、環境調和性、レアメタル等を用いない元素戦略的利点を有しているが、寿命が最大の弱点とされてきた。今回開発した亜鉛蓄電池は、主な構成要素が水・炭・亜鉛と資源的に豊富でかつ毒性のない材料で作れることが特徴であり、水系電池であるために燃える心配がなく、かつ出力性能・低温性能に優れた電池である。また、亜鉛蓄電池で課題とされてきた寿命については、同社が開発したセパレータと亜鉛負極技術により10,000サイクル以上の長寿命性能を実現した。

日本触媒では、鉛蓄電池が使用されている車載バッテリーなどへの展開の他に、活発化する自然エネルギーの電力貯蔵などの新しい用途展開が期待されるとしている。

 

◆塗料原料:三洋化成工業がタイで自動車向け電着塗料用原料の本格生産開始(2月18日)

三洋化成工業は、タイの関係会社サンヨーカセイ(タイランド)リミテッドのラヨーン工場(以下SKT)で、自動車向け電着塗料用原料『グリシエール』の本格的な商業生産を開始したことを発表した。

本製品はアセアン、中国、インドでの今後の市場拡大が見込まれており、生産能力の増強が課題の一つであった。これまで本製品は日本と中国で製造していたが、自動車産業のタイへの集積が進んでいることや、今後SKTをグローバル戦略の中核としたいという方針から、製造を中国(南通)工場からSKTに移管することとした。

2019年5月にSKTに製造設備を新設し、量産試作を行っていたが、今回SKT内での製造・販売体制が整い、ユーザーでの品質・性能評価も問題ないことが確認できたため、本格的に商業生産を開始した。移管にあたっては、製造能力を増強させており、今後の需要増に応えるとしている。

 

◆化粧品原料:長瀬産業が柑橘由来のエイジングケア化粧品素材を3月に新発売(2月18日)

長瀬産業は、肌の弾力性維持に深く関与するエラスチンの産生と線維形成を促進するエイジングケア化粧品素材『グルコシルナリンギン』を、3月31日より販売を開始すると発表した。

同製品は、NAGASEグループの林原社の酵素技術により開発されたものであり、製造は林原が行う。林原では、独自の酵素技術により柑橘由来のフラボノイドの一種である「ナリンギン」にグルコースを結合させたグルコシルナリンギンを開発し、その結果、水溶性が大きく改善されたことにより、植物由来の新しい機能性化粧品素材として幅広い利用が可能となった。

グルコシルナリンギンは、エラスチンの産生促進とともに、これまで他の素材ではほとんど確認されていなかったエラスチンの線維形成を促進する効果があることを発見した。エラスチンは、肌の弾力性維持に関与していることからシワ、たるみの改善につながる効果が期待される。

長瀬産業は、『グルコシルナリンギン』をエイジングケア効果が期待されるスキンケア製品向けの化粧品素材として、国内外の化粧品メーカーを中心に販売するとしている。

 

◆二次電池:出光興産が千葉事業所に次世代電池向け固体電解質の小型量産設備を新設(2月18日)

出光興産は、次世代電池として有望な全固体リチウムイオン電池向け固体電解質の商業生産にむけた実証設備を千葉事業所内に新たに建設すると発表した。

近年、全固体リチウムイオン電池はエネルギー密度向上、充電時間の短縮、安全性向上などにより、現行の液系リチウムイオン電池の課題を克服できる次世代電池として急速に開発が進められている。同社は、これまでに高純度の硫化リチウム製造法を確立しており、硫化リチウムを原料とする硫化物系固体電解質について開発をリードし、現在数多くの特許を保有している。

本設備の完工・稼働開始は2021年度第一四半期を予定している。今後固体電解質の量産および更なる品質向上、コスト削減を図り、原料からの一貫生産と安定供給体制の構築を目指すとしている。

 

◆燃料電池関連:日本触媒がガスバリア性に優れた・高効率のアルカリ水電解用セパレータを開発(2月17日)

日本触媒は、独自の有機無機複合技術とシート成形技術により、再生可能エネルギー由来の水素製造に好適な、ハンドリング性が良く、ガスバリア性に優れた、高効率のアルカリ水電解用セパレータを開発したと発表した。

現在、燃料電池に使用される水素の代表的な製法はメタン水蒸気改質法であるが、水素製造時にCO2が排出される欠点がある。製造時にCO2を排出ない製法として、再生可能エネルギーを用いたアルカリ水電解が、近未来の水素供給法として世界各国で大規模実証プロジェクトが推進されている。

アルカリ水電解用のセパレータは、生成した水素と酸素を透過しないこと(高ガスバリア性)、および低い膜抵抗(高イオン伝導性)が要求される。高温・高濃度のアルカリ水という過酷な条件下で耐久性のある実用的なセパレータは限られてきたが、有機無機複合技術とシート成形技術により、これらの性能を両立したアルカリ水電解用セパレータを開発することに成功した。このセパレータを用いることにより、消費電力の抑制や、生成水素の純度向上といったメリットが期待されるとしている。

 

◆メディカル:住友ベークライトがリボン型脳波測定用樹脂製ドライ電極を開発(2月17日)

住友ベークライトは、金属並みの低接触抵抗(導電性ジェル不要)で痛みや違和感がなく長時間使用可能な樹脂製脳波測定用柔軟ドライ電極の開発(特許出願中)に成功したと発表した。

近年、脳科学の発展とともにその知見を活用するBrain Machine/Computer Interface(BMI/BCI)技術が注目されている。BMI/BCIで脳波を測定する際には一般的にキャップやヘッドギアを装着して、被験者の頭部に電極を固定させる必要があるが、頭部形状は個人差が大きいことから電極が頭部に接触せず、計測に不具合が生じることが多々ある。開発品は柔軟性を有していることから、頭部に追従して変形することで頭部形状の個人差に対応が可能である。

今後は、今回開発したリボン型脳波測定用樹脂製ドライ電極の更なる構造改良により接触抵抗の安定化、および更なる接触抵抗低減を目指す。また、実用化に向け安全性、耐久性の確認および外部との連携も含めより多くの被験者での脳波取得検証を進めていくとしている。

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