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2020年11月26日号

2020.11.26 発行

HEADLINE

 

◆電池材料:東レがリチウムイオン二次電池用無孔セパレータを創出(11月19日)

◆メディカル:カネカがルーヴァン・カトリック大学(ベルギー)とバイオ医薬品生産技術の共同研究を開始(11月19日)

◆電子材料:カネカが5Gミリ波帯対応の超耐熱ポリイミドフィルムを開発(11月18日)

◆ゴム:信越化学工業がゴム成形品の軽量化を実現する成形用シリコーンゴムを開発(11月18日)

◆3Dプリンタ:三井化学が3Dプリンターを活用した歯科材料事業を拡充(11月17日)

◆メディカル:AGCが米国のバイオ医薬品CDMOの培養能力を増強(11月17日)

◆インキ:東洋インキがエタノール消毒液耐性に優れるパッケージ用インキを開発(11月17日)

◆フィルム:日本カーバイド工業が早月工場での再帰反射シートおよび次世代機能性フィルムの生産増強を決定(11月17日)

◆リサイクル:DICとエフピコがケミカルリサイクルによるポリスチレンの完全循環型リサイクルの社会実装に向けて協業の検討を開始(11月16日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆電池材料:東レがリチウムイオン二次電池用無孔セパレータを創出(11月19日)

東レは、リチウムイオン二次電池(LiB)用無孔セパレータの創出に成功したことを発表した。

LiBは用途の拡大に伴い、更なる高容量化・高エネルギー密度化が求められている。最も理論容量が高く、酸化還元電位が低い金属リチウム負極が注目されているが、金属リチウム負極は充電時に金属リチウム表面からリチウムデンドライトが成長し、セパレータを突き破り、正負極がショートすることで電池の安全性の低下が起こるため、実用化されていない。

今回、東レは、高いイオン伝導性と高耐熱性を有する新規イオン伝導性ポリマーを創出した。これをポリマー無孔層として微多孔セパレータ上に積層したリチウムイオン二次電池用無孔セパレータとすることで、金属リチウム負極使用電池におけるデンドライト抑制とイオン伝導性の両立を実現した。

今後はウェアラブルデバイスやドローン、電気自動車(EV)向けなどの次世代超高容量・高安全LiBへの適用を目指すとしている。

 

◆メディカル:カネカがルーヴァン・カトリック大学(ベルギー)とバイオ医薬品生産技術の共同研究を開始(11月19日)

カネカおよびグループ会社のKaneka Eurogentec社は、ルーヴァン・カトリック大学の生物医学研究機関de Duve Institute(ベルギー)と、ウイルス感染症向けワクチンやバイオ医薬品のCDMO事業を強化・拡大するため、革新的な生産技術開発に関する共同研究契約を締結したことを発表した。

本共同研究ではde Duve Instituteの微生物関連の基盤技術と、カネカグループがこれまで蓄積してきたタンパク質やプラスミドDNAなど微生物による医薬品生産の知見と技術を融合させ、新たな生産技術開発を目指す。この技術を活用した生産性の飛躍的な向上により高価な医薬品のコスト低減などの社会的課題を解決し、ウイルス感染症向けワクチンやバイオ医薬品の普及に貢献するとしている。

 

◆電子材料:カネカが5Gミリ波帯対応の超耐熱ポリイミドフィルムを開発(11月18日)

カネカは、5G高速高周波対応の超耐熱ポリイミドフィルム「ピクシオ IB」を開発したと発表した。

世界のスマートフォン市場では5G対応機種が急速に拡大する見通しとなっているが、5Gは「sub6帯(3.6GHz~6GHz)」と「ミリ波帯(28GHz~300GHz)」の2つの周波数帯に分かれ、今後はより高周波数で通信速度が速いミリ波帯の普及が進むと見込まれる。

カネカは、高速情報通信を支える素材として、Sub6帯に対応可能な超耐熱ポリイミドフィルム「ピクシオ SR」に加えて、今回、ミリ波帯対応の「ピクシオ IB」を開発した。同製品は高周波帯における誘電正接(材料内部の電気エネルギー損失の度合い)をポリイミドフィルムで世界最高レベルの0.0025まで低減させており、これにより高速通信を実現できる5Gのミリ波帯への対応が可能となった。

カネカでは、10月からサンプル提供を開始しており、2021年から本格販売を開始する予定としている。

 

◆ゴム:信越化学工業がゴム成形品の軽量化を実現する成形用シリコーンゴムを開発(11月18日)

信越化学工業は、LIMS(Liquid Injection Molding System=液状シリコーンゴム射出成形システム)材料では、業界初となるゴム成形品の軽量化を実現する低密度タイプの成形用シリコーンゴムを開発したことを発表した。

これまでシリコーンゴムを軽量化させるためには、ミラブル型シリコーンゴムに発泡剤を添加してスポンジ状に成形していた。新製品は発泡剤の添加が不要で、しかもLIMSにより成形できるため、成形メーカーからの高品質と生産性の向上に対する要求に応えることができるとしている。

 

◆3Dプリンタ:三井化学が3Dプリンターを活用した歯科材料事業を拡充(11月17日)

三井化学のグループ会社であるクルツァージャパンは、11月より歯科用3Dプリンターで作製するデンチャー(入れ歯)をデザインするクラウドデザインプラットフォームサービス(DENTCA, Inc.(米国)製)の提供を、日本で開始したことを発表した。また10月から、三井化学の高分子、合成技術を活かした3Dプリンター用ソフトスプリント向けの新しいレジンインクを販売したことを併せて発表した。

クラウドベースの3Dプリンター用デザインプラットフォームサービスでは、これまで歯科技工士が長時間かけて作成していたデンチャーを従来の作業時間の1/10程度の短時間で作製できるようになる。

また、三井化学は、既に2000種類以上のレジンインクのレシピを所有しており、今年5製品目となるソフトスプリント(噛み合わせによる顎などの障害を回復するために装着するマウスピース)造形用レジンインクの販売を開始した。今後、さらなるラインナップの拡充を図っていく。

三井化学では、グループ会社を含めてポリマーテクノロジーを組み合わせ、顧客に最適なソリューションを提供することで、事業の拡大を図っていくとしている。

 

◆メディカル:AGCが米国のバイオ医薬品CDMOの培養能力を増強(11月17日)

AGCは、CDMO事業子会社である米国のAGC Biologicsのバイオ医薬品CDMOの培養能力を増強することを決定したと発表した。

同社デンマーク拠点の現施設の隣接地を購入し、工場棟とオフィス棟からなる新社屋を建設するとともに、シングルユース仕様の2,000リットル動物細胞培養槽を増設する。今回の増強の総投資額は約200億円を見込んでおり、稼働開始は2023年を予定している。今回の増強により、デンマーク拠点のシングルユース仕様の培養能力は従来の倍以上となる。

AGCグループは、合成医農薬や動物細胞と微生物を用いたバイオ医薬品のCDMOで積極的な買収・設備投資を行い、事業を拡大させてきた。さらに、2020年7月には遺伝子・細胞治療領域までCDMO事業の幅を広げ、2025年の目標である売上高1,000億円以上を2~3年前倒しで達成する見込みとしている。

 

◆インキ:東洋インキがエタノール消毒液耐性に優れるパッケージ用インキを開発(11月17日)

東洋インキは、エタノール消毒液耐性に優れる表刷り用グラビアインキ「レアルNEX BO S3シリーズ」の販売を開始したと発表した。

フィルム包装材の多くは複層フィルムの間に印刷する方式が採用されているが、パンの包装材料などではフィルムの外側に印刷する「表刷り」が主流である。通常、包装材のインキが落ちることはほとんどないが、エタノールで消毒した手でパッケージを触ったり、消毒液を直接噴霧した包装材をテーブルに置いた際に、消毒液によってインキ塗膜が溶解し、手やテーブルクロスにインキが付着するケースが確認されている。

今回開発した製品は、樹脂設計技術による強固な塗膜形成により、消毒液使用時にインキが落ちるリスクを著しく低減することに成功した。その他性能も従来品同等以上の耐性を保持し、かつバイオマス原材料を10%以上配合した、高い性能と環境への配慮を両立した製品としている

 

◆フィルム:日本カーバイド工業が早月工場での再帰反射シートおよび次世代機能性フィルムの生産増強を決定(11月17日)

日本カーバイド工業は、富山県滑川市にある早月工場において、再帰反射シートおよび次世代機能性フィルムの生産設備増強を決定したことを発表した。

設備の稼働開始は2022年下期を予定しており、本設備増強に伴う投資額は35億円になる。

早月工場の設備増強により、新たに新規素材フィルムや次世代機能性フィルムを上市し、建材分野、家電分野、自動車分野などの新市場へ参入を目指していく。

これまで再帰反射シートについては中国の恩希愛(杭州)薄膜において製造してきたが、サプライチェーンの見直しを行い、グループ全体における生産体制の最適化を目指す。なお、恩希愛(杭州)薄膜では、既存のフィルム事業に加え、新たに樹脂事業を展開し、今後中国での需要が拡大すると見込まれる、光学フィルム用粘着剤の製造、販売を来年度より開始する予定としている。

 

◆リサイクル:DICとエフピコがケミカルリサイクルによるポリスチレンの完全循環型リサイクルの社会実装に向けて協業の検討を開始(11月16日)

DICとエフピコは、プラスチック食品包装容器などの素材であるポリスチレン(以下「PS」)の完全循環型リサイクルの社会実装に向けた検討を本格化したことを発表した。

両社は、ケミカルリサイクルに関する合弁会社を含めた共同事業体設立などの協業を視野に、従来食品包装容器として再生利用していなかった色柄付きの発泡PS容器の再生を実現し、PS製品の完全循環型リサイクルを目指す。なお、DIC四日市工場での実証実験プラントの建設も検討している。

ケミカルリサイクルによるPS製品の完全循環型リサイクルでは、エフピコが既に運用している一般家庭から排出される使用済み発泡PS食品容器をマテリアルリサイクルによって再生利用する「エフピコ方式のリサイクル」に加え、色柄付きの発泡PS容器を両社の共同事業体などでリサイクルスチレンモノマーに再生したものからDICでポリスチレンを生産し、エフピコでエコトレーなどへの製品利用を目指すとしている。

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