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2020年11月19日号

2020.11.19 発行

HEADLINE

 

◆ウイルス対策:デンカがインフルエンザワクチン原液製造新棟を竣工(11月16日)

◆環境対策:大日本印刷が液体紙容器について環境に配慮した原料の使用を標準仕様とすることを発表(11月16日)

◆バイオ関連:住友化学が合成生物学を活用した次世代事業の創出加速に向けて米国で新組織を設立(11月16日)

◆Ai技術:NEC、産総研、三井化学、オメガシミュレーションがAIによる化学プラントの運転変更操作を40%効率化(11月16日)

◆フィルム:DNPが斜めから見た時の有機ELディスプレイの青みを改善する光学フィルムを開発(11月13日)

◆合成油:三井化学が炭化水素系合成油の新プラント竣工式を開催(11月12日)

◆太陽電池:日本板硝子が米国の太陽電池パネル用ガラス新工場の稼働を開始(11月12日)

◆メディカル:富士フィルム米国子会社が治療用iPS細胞の提供およびiPS細胞作製技術に関する特許ライセンスの供与を開始(11月12日)

◆メディカル:FUJIFILM Cellular DynamicsがLonzaとiPS細胞関連技術の利用拡大に関する合意を発表(11月12日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆ウイルス対策:デンカがインフルエンザワクチン原液製造新棟を竣工(11月16日)

デンカは、五泉事業所(新潟県)において、インフルエンザワクチンの原液製造用新棟を竣工したことを発表した。

同社はインフルエンザワクチンを製造する国内主要メーカーとして、増加する予防接種の社会的ニーズに応えるため、2018 年7 月にインフルエンザワクチンの生産能力増強を決定していた。設備能力は、現在の原液製造設備(新潟工場36号棟)の2倍、投資規模は約160億円(関連設備を含む)である。

今後は各設備の検証や試運転を行った上で、2022年シーズンから稼働し、生産量の増加を図るとしている。

 

◆環境対策:大日本印刷が液体紙容器について環境に配慮した原料の使用を標準仕様とすることを発表(11月16日)

大日本印刷は、「DNPロングライフ用液体紙容器」(以下:液体紙容器)について、環境負荷の低減を進めるために、バイオマスプラスチック、バイオマスインキ、森林認証紙の使用を標準仕様として販売を開始することを発表した。

今回の液体紙容器は、従来の液体紙容器と物性面で同等の機能を有しており、内容物の充填の際、設備や充填条件を変更することなく使用できる。特にバリア性・保香性が重要となる酒類関連にも対応している。

同社は、供給体制の整備などによって製造コストを抑え、製品価格が上昇しないようにすることで、環境に配慮した液体紙容器の普及を推進するとともに、酒類業界、調味料・トイレタリー業界などに拡販し、「資源の循環」「CO2の削減」「自然環境の保全」という3つの価値を提供する「GREEN PACKAGING」全体で2025年度に年間500億円の売上を目指すとしている。

 

◆バイオ関連:住友化学が合成生物学を活用した次世代事業の創出加速に向けて米国で新組織を設立(11月16日)

住友化学は、米国子会社であるベーラント・バイオサイエンス社(VBC)内に、合成生物学を活用した次世代事業の創出加速に向けた新組織「シンバイオハブ」を設置したと発表した。

近年、バイオテクノロジーとデジタルテクノロジーの融合による技術の急速な進歩により、合成生物学の産業利用が大きく進展している。住友化学では、合成生物学と化学技術を融合させることにより、化学合成だけでは製造が困難な高機能製品や、高収率かつクリーンで省エネルギーなプロセスを開発し、新事業の創出を目指している。

VBC内に新設するシンバイオハブは、オープンイノベーションはもとより、米欧のイノベーション探索拠点であるコーポレート・ベンチャーリング&イノベーションオフィス(CVI)や、バイオサイエンス研究所、工業化技術研究所などの国内拠点とも連携し、住友化学グループ全体で合成生物学を利用した基盤技術の早期構築を図るとしている。

 

◆Ai技術:NEC、産総研、三井化学、オメガシミュレーションがAIによる化学プラントの運転変更操作を40%効率化(11月16日)

NEC、産業技術総合研究所、三井化学、オメガシミュレーションは、化学プラントなどの大規模インフラの運転を支援する論理思考AIとシミュレータ上に再現したミラープラントを組み合わせた運転支援システムを構築し、運転員の手動操作と比較して40%効率的な運転ができることを三井化学のプラントで実証したことを発表した。

本技術は、最適操作を学習する強化学習技術を独自に拡張したもので、プラント状態に合わせて無駄のない最適操作を生成できるため、運転変更にかかる時間が短縮され、原料や使用スチーム量の削減が可能になる。また、化学プラントのような重要施設では、操作の可否を運転員が最終判断する必要があり、従来の強化学習では操作量しか出力されないため、その操作を実施してよいかどうかを運転員が判断することは困難であった。本技術では、マニュアルに紐づいた操作の根拠と想定されるシミュレーション結果を運転員に提示することで、運転員が操作の可否を判断することができる。

本技術により、化学プラント運転の効率化、例えば、運転安定化までの時間短縮による原料やエネルギーの削減が可能になることが期待されるとしている。

 

◆フィルム:DNPが斜めから見た時の有機ELディスプレイの青みを改善する光学フィルムを開発(11月13日)

大日本印刷(DNP)は、スマートフォンやタブレット端末、パソコン等の有機ELディスプレイを斜めから見た際に、画面が青みがかって見える現象「ブルーシフト」を改善する「ブルーシフト改善フィルム」を開発したと発表した。

有機ELパネルは、コントラストが高く応答速度が速いことが利点であるが、斜めから見ることで色が変化し青みを帯びるという課題があった。このフィルムをディスプレイに内蔵することにより、有機ELパネルの構造を高度に調整する必要がなくなる為、低コストでパネルを斜めから見た時の青みを改善できる。

DNPは「ブルーシフト改善フィルム」を主にパネルメーカー等に提供し、2023年度で年間30億円の売上を目指すとしている。

 

◆合成油:三井化学が炭化水素系合成油の新プラント竣工式を開催(11月12日)

三井化学は、市原工場内に炭化水素系合成油ルーカントの新プラントが完成し、竣工式を行ったと発表した。営業運転開始は、2021年4月を予定している。

ルーカントは、三井化学が世界で初めて商品化した高性能炭化水素系合成油である。粘土の温度依存性が小さく剪断安定性・熱化学的安定性に優れている等の特長を有していることから、極めて高品質が求められる自動車ドライブラインのギア油、工業用潤滑油並びにグリースなどの粘土調整剤として採用されており、主要な自動車メーカーや潤滑油メーカーに認証されている。

ルーカントは、低環境負荷ニーズの高まりの中、省燃費や長寿命に貢献するものとして世界的に需要の増大が見込まれる。また、三井化学は、潤滑油添加剤パッケージ最大手のルーブリゾールとの戦略提携を行っており、両社で潤滑油市場におけるルーカント事業の更なる拡大・成長を図っていくとしている。

 

◆太陽電池:日本板硝子が米国の太陽電池パネル用ガラス新工場の稼働を開始(11月12日)

日本板硝子は、米国オハイオ州で建設中の新工場において、太陽電池パネル用透明導電膜 (TCO: transparent conductive oxide) ガラス製造のフロートラインの稼働を開始したことを発表した。

日本板硝子のTCOガラスは、ガラス製造工程で導電性のある膜を成形する独自のオンラインコーティング技術により製造され、耐久性が非常に高く、幅広い用途に使用できるという利点がある。また、オンラインコーティング製法は、コーティングガラスを最も効率よく大量に生産できるため、コスト面で優位性がある。

今後はオハイオ州北西部でアメリカ大陸最大の太陽電池パネルの製造拠点を有する米国ファーストソーラー社との長期供給契約に基づき供給されることとなっている。

日本板硝子は、太陽電池パネル用ガラスや他のVA製品の提供拡大により、成長戦略を推進するとともに、再生可能エネルギーの普及に貢献していくとしている。

 

◆メディカル:富士フィルム米国子会社が治療用iPS細胞の提供およびiPS細胞作製技術に関する特許ライセンスの供与を開始(11月12日)

富士フイルムは同社の米国子会社で、iPS細胞の開発・製造・販売のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics(以下FCDI)が、治療用iPS細胞の提供およびiPS細胞作製技術に関する特許ライセンスの供与を本格的に開始したことを発表した。

その第一弾として今回、再生医療製品の開発を対象に、iPS細胞作製技術に関する特許ライセンスを全世界で非独占的に使用できる権利をLonza Walkersvilleに許諾した。

今後、FCDIは、再生医療製品の研究開発を進める企業に対して、治療用iPS細胞の提供およびiPS細胞作製技術に関する特許ライセンスの供与を幅広く行い、顧客の製品開発を支援する。またあわせて、顧客の再生医療製品の生産プロセス開発・製造受託サービスを本格化させて、iPS細胞を用いた再生医療の産業化を推進していくとしている。

 

◆メディカル:FUJIFILM Cellular DynamicsがLonzaとiPS細胞関連技術の利用拡大に関する合意を発表(11月12日)

FUJIFILM Cellular Dynamics(以下FCDI)は、Lonza Walkersvilleと全世界を対象とするiPS細胞関連技術の利用拡大に関する契約を締結したことを発表した。

FCDIは本契約に基づき、細胞治療用iPS細胞株の開発および治験薬製造を対象に、エピソーマルベクター・初期化因子といったiPS細胞作製技術に関する特許を非独占的に使用できる権利をLonzaに付与する。また、Lonzaは細胞・幹細胞・細胞株への効率的なトランスフェクションを可能にする革新的なNucleofectorテクノロジーの、非独占的ライセンスの拡大利用をFCDIに許諾する。

本契約により、医薬品開発企業は、両社が有する専門知識と技術をiPS細胞の製造に活用することが可能になるとしている。

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