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2019年9月26日号

2019.09.26 発行

HEADLINE

 

◆包材:凸版印刷がPP・PE包材を高機能モノマテリアル化(9月20日)
◆メディカル関連:旭化成メディカルがウイルス除去フィルターの紡糸工場の竣工式を開催(9月20日)
◆抗菌・防カビ:三井化学とシクロケムバイオが水溶性抗菌・防カビ剤「ヨートルDP-CD」を開発(9月18日)
◆天然ガス:三菱ガス化学の子会社が水溶性天然ガスおよびヨウ素増産計画に着手(9月17日)
◆電子材料:三菱ガス化学が屈折率1.68の特殊ポリカーボネートの販売を開始(9月17日)
◆電子材料:日本触媒が紙より薄い光源(iOLEDフィルム光源)を長寿命化させる電子注入技術を開発(9月17日)
◆ガラス:AGCが大型3D・複雑形状の車載ディスプレイ用カバーガラス生産拠点を中国に新設(9月12日)
◆フィルム:三菱ケミカルがインドネシアにおけるポリエステルフィルムの生産設備を増強(9月10日)
◆樹脂関連:帝人がタイのコンパウンド工場とテクニカルセンターの稼働を開始(9月10日)
◆樹脂:デンカがシンガポールにおけるポリスチレン生産設備転用による MS樹脂増産を決定(9月9日)
◆石油化学:Kuraray GC Advanced Materials社とKuraray Advanced Chemical社がタイで定礎式を開催(9月6日)
◆合成ゴム:JSRが強度・耐摩耗性・耐久性に優れる新規SBRを開発し販売を開始(9月13日)
◆価格改定・堺化学工業が亜鉛製品を10月15日納入分より値上げ
 値上げ幅は、酸化亜鉛、亜鉛末ともに25円/㎏

WEEKLY NEWS

 

◆包材:凸版印刷がPP・PE包材を高機能モノマテリアル化(9月20日)
 凸版印刷は、透明蒸着バリアフィルムブランド「GL BARRIER」シリーズの新しいラインアップとして、共に世界初となる、ボイル殺菌・ホット充填が可能なPP(ポリプロピレン)基材の透明バリアフィルム「GL-X-BP」と、PE(ポリエチレン)基材の透明バリアフィルム「GL-X-LE」を開発したと発表した。
 近年、プラスチックごみ問題が注目される中、環境配慮型包材の需要が高まっており、世界的にもモノマテリアルを前提とするリサイクルへの取り組みが加速しつつある。
 「GL-X-BP」は、耐熱、耐水性に優れ、PP素材としてはこれまで実現が難しかったボイル殺菌・ホット充填に対応しており、ベビーフード、フルーツコンポートといった液体内容物を含む食品など、より広い用途の高機能包材に利用可能である。
 「GL-X-LE」は、本来は蒸着加工が困難なPE素材に対し、凸版印刷の高度な加工技術によりバリア性を付与することで実現した、透明蒸着においては世界初であるPE基材のバリアフィルムである。
 「GL-X-LE」は単層フィルムとして2019年10月より、「GL-X-BP」は積層させたラミネーションフィルムとして2020年前半頃に、それぞれ海外を中心にサンプル出荷・販売を開始し、2025年にモノマテリアル包材関連受注全体で約200億円の売上を目指すとしている。

◆メディカル関連:旭化成メディカルがウイルス除去フィルターの紡糸工場の竣工式を開催(9月20日)
 旭化成メディカルは、ウイルス除去フィルター「プラノバ」の紡糸工場の建設が完工し、竣工式を行ったことを発表した。
 近年、世界では生物学的製剤のウイルス安全性に対する要求が高まっていることに加え、モノクローナル抗体を中心としたバイオ医薬品の開発が盛んになってきたことから、年々ウイルス除去フィルターの需要が増加している。今後もこの動きは世界的に続くことが予想されることから、旭化成メディカルでは今後の安定供給を目指すため、新紡糸工場を建設した。
 今回の増強(増設能力:40,000m2/年)により、2016年に竣工した「プラノバBioEX」の紡糸工場と合わせた同社のウイルス除去フィルター向け中空糸生産能力は130,000m2/年になるとしている。

◆抗菌・防カビ:三井化学とシクロケムバイオが水溶性抗菌・防カビ剤「ヨートルDP-CD」を開発(9月18日)
 三井化学は、シクロケムバイオと共同で、三井化学が製造販売するヨウ素系防カビ剤ヨートルDP95に新機能を付与した新製品「ヨートルDP-CD」を開発したことを発表した。
 ヨートルDP-CDは、三井化学のヨウ素系防カビ剤ヨートルDP95とシクロケムバイオのシクロデキストリンを組み合わせることで、水溶性、耐光性、耐熱性、抗菌性を付与することに成功した新規抗菌・防カビ剤の水溶液である。
 ヨートルDP-CDの最小発育阻止濃度は防カビ性評価・抗菌性評価ともヨートルDP95よりも低濃度で生育を阻止することが可能である。これにより、様々な用途で用いられているヨートルDP95の高い防カビ性能を生かした新たな用途での使用が期待される。今後、樹脂・繊維・水系塗料・接着剤などへ展開し、さらなる生活環境の改善に貢献していくとしている。

◆天然ガス:三菱ガス化学の子会社が水溶性天然ガスおよびヨウ素増産計画に着手(9月17日)
 三菱ガス化学の連結子会社である東邦アーステックは、新潟市において、水溶性天然ガスおよびヨウ素増産計画に着手し、10月より建設工事を本格化すると発表した。
 三菱ガス化学と東邦アーステックは、1957年より新潟県において水溶性天然ガスの生産を行い、また、東邦アーステックは1988年よりヨウ素を製造している。今回の新規開発計画では、①天然ガスとヨウ素を含む地下水(かん水)を汲み上げる生産設備(3基地)、②天然ガスとヨウ素を分離した後のかん水を地下に戻す還元設備(3基地)、③かん水からヨウ素を分離・濃縮するヨウ素濃縮プラント(1基地)等の建設および各設備を結ぶパイプラインを設置する。
 三菱ガス化学は、2026年4月にはすべての工事が完了し、全面操業する予定である。生産見込みは天然ガスが約2,000万m3/年、ヨウ素が約400トン/年としている。

◆電子材料:三菱ガス化学が屈折率1.68の特殊ポリカーボネートの販売を開始(9月17日)
 三菱ガス化学は、小型カメラレンズ用樹脂としてスマートフォンのカメラレンズ等に使用されている特殊ポリカーボネート「ユピゼータEP」シリーズの最新グレードとして、世界最高の屈折率1.68を有する「ユピゼータEP-10000」の販売を開始したことを発表した。
 スマートフォンやタブレット等のカメラレンズ素材には、高屈折率(レンズの薄型化に寄与)と低複屈折性(画像の鮮明化に寄与)を兼ね備えた特性が求められる。同社の特殊ポリカーボネート「ユピゼータEP」はこれらを高い次元で両立し、さらに成形性も兼ね備えた光学材料である。スマートフォンのカメラ性能の高度化がますます求められる中、マーケットニーズに応えるカメラレンズに欠かせない材料となっている。
 「ユピゼータEP-10000」は世界最高の屈折率を有し、薄さを維持しながらカメラ性能のさらなる高機能化を可能としている。

◆電子材料:日本触媒が紙より薄い光源(iOLEDフィルム光源)を長寿命化させる電子注入技術を開発(9月17日)
 日本触媒は、NHKと共同で「紙より薄いフィルム光源(iOLEDフィルム光源)」をさらに長寿命化させる新しい電子注入技術を開発したと発表した。
 紙より薄く、柔軟性の高いiOLEDフィルム光源は、NHKと共同で開発している大気中の酸素や水分に強く安定性の高い有機ELの材料および素子技術(iOLED技術)により実現している。
 しかし、更なる長寿命化には、一定の酸素や水分の存在下で高効率な電子注入を長期間維持することが課題となっていた。今回、2種類の有機材料間の水素結合を利用した新規有機EL用電子注入技術の開発により、課題を克服した。これにより、iOLEDフィルム光源は、素子寿命と大気安定性を従来よりも高水準で両立できるようになり、使用用途の拡大が期待されるとしている。

◆ガラス:AGCが大型3D・複雑形状の車載ディスプレイ用カバーガラス生産拠点を中国に新設(9月12日)
 AGCは、中国江蘇省に、大型3D・複雑形状の車載ディスプレイ用カバーガラス生産拠点を建設することを決定したと発表した。
 自動運転・電動化・コネクテッドなど自動車業界を取り巻く大きな変化により、今後、クルマのコックピットは革新的でダイナミックなデザインが採用され、デジタルラウンジ化していくと予想される。このトレンドの中、車載ディスプレイ用カバーガラスも大型化・複雑形状化・高機能化していくことが見込まれ、同時に大型化に伴う安全設計も求められる。
 今回の新拠点は、各種光学薄膜コーティングから、装飾印刷、複雑曲面の一体成形に至るまで、最先端技術を導入した一貫生産ラインを備え、既に受注が決定している複数の車種向けに、2022年に販売開始を予定している。
 今回の新拠点設置によって、同社は既存の国内2拠点(米沢市と横浜市)に加え、第3の生産拠点を保有することとなり、高品質な製品をグローバルに提供する体制が整うことになる。更に、国内の京浜工場内には、新デザイン・高機能に特化した開発センターを設置し、コックピットデザインの変化に柔軟に対応可能な体制を整えるとしている。

◆フィルム:三菱ケミカルがインドネシアにおけるポリエステルフィルムの生産設備を増強(9月10日)
 三菱ケミカルは、子会社のPT. MC PET Film Indonesia において、ポリエステルフィルムの生産能力増強を行うことを決定したと発表した。
 ポリエステルフィルムの市場は、従来からの同社主用途であるディスプレイ等に使用される光学用途分野が今後とも成長を継続することが予想されることに加え、自動車の電子化、5G対応のための基地局増加や通信機器の高度化などを背景とした積層セラミックコンデンサを始めとする電子部品の急増に伴い、それらの製造工程向けの需要の成長も著しいものがある。
 同社は、今後さらなる需要拡大が予測されることから、今回、既存設備に加え、25,000t/年規模の製造ラインを新設することを決定した。投資額は約130百万USドルで、完成は2021年末の予定としている。

◆樹脂関連:帝人がタイのコンパウンド工場とテクニカルセンターの稼働を開始(9月10日)
 帝人は、ASEAN地域における樹脂製品への多様なニーズに応えるため、テイジン・コーポレーション(タイランド)社の敷地内にアセアンコンパウンド工場およびテクニカルセンターを新設し、稼働を開始したと発表した。
 ASEAN地域では、近年の人口増加や経済成長を背景に高機能樹脂製品の消費が拡大しており、これに伴い、樹脂コンパウンドの需要も高まっている。
 帝人はこの新設した生産・開発機能を駆使することにより、日本および中国とのアジア3極体制を構築し、今後、各拠点の相互連携を促進することで、さらなる軽量化・高機能化が求められる自動車や通信用途の分野を中心とした多様なグローバル需要に対応していくとしている。

◆樹脂:デンカがシンガポールにおけるポリスチレン生産設備転用による MS樹脂増産を決定(9月9日)
 デンカは、シンガポールの連結子会社におけるポリスチレンの生産を停止し、生産設備の改造により、より付加価値が高いMS樹脂の能力増強を行うと発表した。
 MS樹脂は液晶TV及びモニターの大画面化・狭額縁化により需要が急増しているバックライト用導光板をはじめとした光学用途、及びアジア太平洋地域において成長著しい化粧品用容器等の非光学用途の拡大もあり、現在供給能力が不足している。
 同社では既存ポリスチレン生産設備の改造によりMS樹脂の生産能力を倍増(増強能力+7万トン、合計14万トン)し、将来の需要拡大に対応するとともに、現在の1基生産体制を2基体制としBCP対応を強化する。本設備改造に伴う投資額は約27億円、稼動時期は2021年上半期としている。

◆石油化学:Kuraray GC Advanced Materials社とKuraray Advanced Chemical社がタイで定礎式を開催(9月6日)
 クラレは、Kuraray GC Advanced Materials社とKuraray Advanced Chemical社がタイで定礎式を実施したと発表した。
 Kuraray GC Advanced Materials社は、タイのラヨン県の工業団地に、高耐熱性ポリアミド樹脂PA9T、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの生産プラントを建設し、販売を行う。
 一方、Kuraray Advanced Chemicals社は同工業団地に、イソブチレン誘導品MPD(3-メチル-1,5-ペンタンジオール)の生産プラントを建設し、販売を行うとしている。

◆合成ゴム:JSRが強度・耐摩耗性・耐久性に優れる新規SBRを開発し販売を開始(9月13日)
 JSRは、乗用車タイヤ用に強度・耐摩耗性・耐久性を大幅に改善した新規なスチレン・ブタジエンゴム (SBR) を開発し、販売を開始したと発表した。
 同材料は、JSR独自の分子設計技術と水素添加技術を組み合わせ、不飽和結合数を最適化させている。その結果、ゴム分子同士の絡み合い数の増加、および架橋した際の応力集中の分散が可能となり、従来の低燃費タイヤ用溶液重合SBR (SSBR) 対比の強度を約2倍に向上することができる。
 同材料をトレッドコンパウンドに使用したタイヤは、従来のSSBR搭載タイヤに比べて、低燃費性能・グリップ性能を維持したまま耐摩耗性を50%以上も改善するという評価結果も出ている。また、同材料は水素添加技術により不飽和結合を低減しているため、熱や光などによる経時的な性能低下を防ぎ、大幅な耐久性の向上に寄与するとしている。

◆価格改定
・堺化学工業が亜鉛製品を10月15日納入分より値上げ
 値上げ幅は、酸化亜鉛、亜鉛末ともに25円/㎏

 

 

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