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2019年8月8日号

2019.08.08 発行

HEADLINE

 

◆電子材料:日本ゼオンが次世代電子部品向け電子線レジストを上市(8月2日)

◆有機:BASFが中国・南京のターシャリーブチルアミン工場に投資(8月2日)

◆複合材料:帝人が米国レネゲード社の買収を完了(8月2日)

◆ゴム:東ソーがクロロプレンゴムの生産能力を増強(8月1日)

◆電子材料:昭和電工が第2世代高品質パワー半導体用SiCエピウェハーを開発(8月1日)

◆新エネルギー:JNCが熊本で水力発電所の営業運転を開始(8月 1日)

◆海外展開:旭化成がタイで「旭化成アジアパシフィック」の営業を開始(7月31日)

◆樹脂:東洋紡が室内光発電に適した有機薄膜太陽電池材料の開発を加速(7月31日)

◆樹脂:日本ポリプロが鹿島工場のポリプロピレン製造設備を停止(7月31日)

◆3Dプリンター:豊田合成が3Dプリンターのベンチャー企業への出資を決定(7月29日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆電子材料:日本ゼオンが次世代電子部品向け電子線レジストを上市(8月2日)

 日本ゼオンは、次世代電子部品向けポジ型電子線レジストの新グレード「ZEP530A」シリーズを上市したと発表した。また、「ZEP530A」の高解像度を引き出すため、新規現像液「ZED-N60」も併せて開発・上市した。

 日本ゼオンは、半導体デバイスの回路パターンをウェハー上に転写する際に使用される保護膜として、かねてより主鎖切断型のポジ型電子線レジストZEPシリーズを展開し、国内外の顧客に広く採用されている。

 今回、既存グレード「ZEP520A」で培ってきた技術をベースに、更なる高解像度を実現した「ZEP530A」シリーズを開発、上市した。「ZEP530A」シリーズは、優れたドライエッチング耐性を保持しつつ、解像度とプロセスウィンドウを向上させた製品で、レジストの薄膜化により、ハーフピッチ17nmのライン&スペースパターンの解像も確認している。

 主な使用用途として次世代電子部品の製造を想定しており、商用化が見込まれる第5世代移動通信システムへも活用の場が広がることが期待されるとしている。

 

◆有機:BASFが中国・南京のターシャリーブチルアミン工場に投資(8月2日)

 BASFは、中国・南京のBASF Specialty Chemicals Co. Ltdによる、ターシャリーブチルアミン(tBA)の2つ目の製造工場への投資を発表した。

 tBAは、ゴムおよびタイヤ産業用の加硫促進剤を製造するための中間体として使用される脂肪族第1級アミンで、農薬および製薬産業においても欠かせない原料として用いられている。アジアはtBAの主要成長地域であり続けており、その中で中国は世界最大の化学品市場であり、世界の化学品生産の成長の原動力であると同時に、タイヤ製造業の世界的ハブとなっている。BASFは中国・南京の新しいtBA工場への投資を通じて、tBAを安定的に供給できる生産体制を強化する。

 BASFは、同工場は2022年の操業開始を予定しており、この拡大によりBASFのtBAの世界生産能力は30%以上増加するとしている。

 

◆複合材料:帝人が米国レネゲード社の買収を完了(8月2日)

 帝人は、今年2月に発表した米国Renegade Materials Corporation(以下「レネゲード社」)の買収について、株式譲渡に関する諸手続きを完了し、完全子会社としたことを発表した。

 レネゲード社が他社に先駆けて展開してきた、優れた耐熱性と熱サイクル耐性とを両立する熱硬化プリプレグの生産技術と、同社が蓄積してきた、炭素繊維や熱硬化性・熱可塑性の中間材料のノウハウやラインナップ、評価設備、販売チャネルなどとのシナジーを追求し、未来の最新鋭航空機向けのエンジン部材などに適応し、幅広い潜在ニーズに応える製品のグローバル展開をより一層強化する。

 同社では、航空・宇宙用途向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとしての地位を確固たるものとし、2030年近傍までにこの用途で年間900百万米ドル超の売上を目指すとしている。

 

◆ゴム:東ソーがクロロプレンゴムの生産能力を増強(8月1日)

 東ソーは、南陽事業所(山口県)において、スペシャリティ事業を構成する機能性ポリマー製品であるクロロプレンゴム(商品名:スカイプレン、以下CR)の生産能力増強を決定したと発表した。

 本増強の投資額は50億円で、2021年10月の完工を目指しており、デボトル増強後の生産能力は年間3.7万トンとなる。

 CRは自動車のホースやベルト、各種工業部品の他、接着剤や医療用手袋の用途に使用されており、特に近年は、医療用手袋用途の需要拡大により、タイトな需給環境が継続している。

 同社は本計画により、生産能力増強に合わせ老朽化対策を行い、安定供給を図ると共に伸長する需要拡大に対応し、今後も更なる事業規模の拡大と収益力の強化を図るとしている。

 

◆電子材料:昭和電工が第2世代高品質パワー半導体用SiCエピウェハーを開発(8月1日)

 昭和電工は、パワー半導体の材料である炭化ケイ素(以下、SiC)エピタキシャルウェハー(以下、エピウェハー)の6インチ(150mm)品において、現在量産中の低欠陥グレード「ハイグレードエピ(以下、HGE)」を、さらに高品質化した第2世代製品(HGE-2G)を開発したと発表した。

 SiCパワー半導体は、現在主流のシリコン製に比べ耐高温・高電圧特性や、大電流特性に優れ、電力損失も大幅に削減できることから、データセンターのサーバー電源や太陽光発電等の分散型電源、電気自動車に搭載される充電器及び高速充電スタンド、鉄道車両への採用が進んでいるほか、2020年代前半には電気自動車のパワーコントロールユニット(PCU)への本格搭載が見込まれ、今後さらなる需要拡大が期待されている。

 今回開発したHGE-2Gでは、エピタキシャル成長プロセスの高度化等により、デバイス初期歩留りに影響する表面欠陥密度を従来の同社HGEの1/2以下に、デバイスの信頼性(通電劣化)に影響する基底面転位の基板からの伝播における変換効率を従来の10倍以上にまで高めた。これにより、従来のHGEに比べて更なる高品質グレードのエピウェハーHGE-2Gを市場に提供していくとしている。

 

◆新エネルギー:JNCが熊本で水力発電所の営業運転を開始(8月 1日)

 JNCは、熊本県上益城郡山都町に所有する目丸水力発電所の改修工事を完成させ、新たに営業運転を開始したことを発表した。

 改修工事の投資金額は約22億円であり、水車・発電機を高効率の機器へ更新することで、認可取水量を変えずに出力を200kW(約4%)増強し、改修後の最大出力は5,900kW(一般家庭 約8,600戸分の年間発電量)となる。

 JNCでは、これまで培ってきた発電技術を生かし、周辺環境に配慮しながら、将来にわたり安定したエネルギーの供給で持続可能な社会に貢献するとしている。

 

◆海外展開:旭化成がタイで「旭化成アジアパシフィック」の営業を開始(7月31日)

 旭化成は、ASEAN地域における地域代表会社として、タイ・バンコクに旭化成アジアパシフィック(AKAP)を設立し、本年8月より営業を開始すると発表した。

 旭化成グループは現在、ASEAN地域の5カ国・16社において、自動車用途素材や衣料・衛生用途素材などの高付加価値型事業を展開している。

 ASEAN地域は、安定的な人口増加、継続的な経済成長を背景に、製造拠点としての位置づけのみならず、マーケットとしての存在感が高まっている。しかし、言語・商習慣・法律等や事業環境が多様であることに加えて、経済活動の活発化に伴う様々な法整備、法改正等のスピードが増しており、事業活動を行う上でのリスクが複雑化・多様化している。当該地域において、これらに効率的に対応するため、グループの拠点数が最も多く、地理的利便性に優れるタイ・バンコクに、地域代表会社であるAKAP社を設立した。

 旭化成は、今後、AKAP社を起点として、マーケティング活動、経営管理機能の強化を図るとともに、グループ会社の事業支援、人財育成、グループ内の連携、事業効率化を推進するとしている。

 

◆樹脂:東洋紡が室内光発電に適した有機薄膜太陽電池材料の開発を加速(7月31日)

 東洋紡は、次世代の太陽電池として注目を集める有機薄膜太陽電池(以下、OPV)用発電材料の開発を加速すると発表した。

 OPVは、シリコンなどの無機物を材料とする一般的な太陽電池に対して、炭素、硫黄、窒素原子などを含む有機物を発電材料に用いる。発電材料は、壁や窓、衣服など、従来は使用が困難だった場所にも設置できるため、無線通信を行うセンサーデバイス用のワイヤレス電源などに適しており、次世代の太陽電池として普及が期待される。

 同社は、LEDなど低照度の室内用光源でも高い出力が得られるOPV向けの新しい発電材料の開発を進めてきた。

 今回、本材料を使用したOPVモジュールの室内環境での高い出力性能や、製造工程における高いハンドリング性能などが評価され、フランスの政府機関であるCEAとの共同研究を開始した。普及がいち早く見込まれる欧州での展開を視野に、本材料を用いたOPV の早期実用化に向け、開発に努めていくとしている。

 

◆樹脂:日本ポリプロが鹿島工場のポリプロピレン製造設備を停止(7月31日)

 日本ポリプロは、鹿島工場(茨城県)のポリプロピレン製造設備1系列の停止を決定したと発表した。

 ポリプロピレン樹脂の事業環境は、今後も中東・アジア地域での新増設が計画され、汎用品を中心とした海外品の流入による国産品需要の低迷によって、非常に厳しい状況の到来が予想されている。

 日本ポリプロは、プラントの競争力強化と機能性ポリプロピレンの拡充により、収益力の強化を進めている。現在、五井工場(千葉県)にポリプロピレン製造設備1系列の建設を進めているが、更なる事業基盤の強化、合理化を進める施策として、鹿島工場のポリプロピレン製造設備 1系列の停止を決定した。

 停止する設備の生産能力は10.6万トン/年で、2020年4月に停止の予定としている。

 

◆3Dプリンター:豊田合成が3Dプリンターのベンチャー企業への出資を決定(7月29日)

 豊田合成は、製品開発のスピードアップや少量・多品種生産の高効率化に向けて、樹脂3Dプリンターを開発・生産するエス.ラボ株式会社への出資を決定したと発表した。出資額は4,500万円、出資後の出資比率は6.3%となる。

 現在、自動車業界では新技術の開発競争が激化するなど加速度的に環境が変化しており、開発・生産現場においても技術革新が求められている。その1つの手段として、樹脂3Dプリンターの活用が始まっているが、製品品質や成形時間の制約などもあり限定的な用途に留まっている。

 今回の出資により、両社は樹脂3Dプリンターの高精度化や高速化に取り組み、製品開発のスピードアップを図るとともに、少量・多品種製品を効率よく製造できるフレキシブルな生産技術の開発を進めていくとしている。

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