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2019年7月25日号

2019.07.25 発行

HEADLINE

 

◆サスティナブル:住友化学がSDGSに貢献する「スミカ・サステナブル・ソ リューション」に4製品・技術を新たに認定(7月22日)

◆リサイクル:古河電工が使い捨てプラスチックを使った製品の販売を開始(7月22日)

◆接着剤:東亞合成が高岡工場に高岡創造ラボを建設(7月18日)

◆人工皮革:旭化成が人工皮革「ラムース」の生産設備の増設を決定(7月17日)

◆バイオマス材料:三菱ケミカルが米国でバイオマス原料由来の脂肪族ジオール及び誘導品に関する特許を成立(7月17日)

◆自動車部品:帝人が豪州・AEV社とLS-EVの軽量化に向けた共同開発を推進(7月16日)

◆ウレタン原料:宇部興産がタイにおけるPCD製造設備を増強(7月16日)

◆電子材料:関西学院大とJNC石油化学が超高色純度の有機ELディスプレイ用青色発光材料を開発(7月16日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆サスティナブル:住友化学がSDGSに貢献する「スミカ・サステナブル・ソリューション」に4製品・技術を新たに認定(7月22日)

 住友化学は、今回で4年目となる持続可能な社会の実現に向けた取り組み「スミカ・サステナブル・ソリューション」において、新たに4つの製品・技術を認定したことを発表した。これにより、認定製品・技術数は48、売上収益は約3,800億円(2018年度)となった。

 今回認定されたのは、高出力なニッケル水素電池の設計を可能とし、環境対応車の普及に貢献する「コバルトコート水酸化ニッケル正極材」や、軽量で丈夫、かつリサイクルやリユース性に優れることから食品容器や電子部品の搬送資材などに使用される「ポリプロピレン多目的シート」、火力発電所の排出ガスから炭酸ガス(CO2)を分離回収し、再利用する「炭酸ガス分離回収技術」など、主に住友化学のグループ会社による製品・技術である。

 「スミカ・サステナブル・ソリューション」は、温暖化対策や環境負荷低減などに貢献する同社グループの製品・技術を認定し、その開発や普及を促進する取り組みで、マテリアリティに通じるものである。同社では2021年度までに、認定製品・技術により、5,600億円の売上収益を目指すとしている。

 

◆リサイクル:古河電工が使い捨てプラスチックを使った製品の販売を開始(7月22日)

 古河電工は、使い捨てプラスチックをリサイクルしたケーブル関連製品の販売を開始したことを発表した。

 今回用いた使い捨てプラスチックは、使用済みの飲料用紙パックであり、同社独自の技術で繊維強化プラスチックに変性し、ケーブル関連製品「ベルマウス」に再生させた。「ベルマウス」は、ケーブルの地中埋設用防護管「エフレックス」の部品で、今回販売開始したものは、使用済み飲料用紙パックを使っているが、同社独自の技術により紙の主成分セルロース繊維にてプラスチックの強度をアップしているため、従来品と同等の性能を有している。

 なお、更に強度が高いガラス繊維強化プラスチック製のケーブル関連製品「ハイジョイントアクア」についても、年内に使い捨てプラスチックを再生したものに変更する予定である。また、自社製品への利用に留まらず、本技術の世界に向けた発信を開始している。

 今後は、国内外の行政機関や、プラスチック業界、リサイクル業界と連携して、本技術の普及を進め、地球環境の改善に貢献するとしている。

 

◆接着剤:東亞合成が高岡工場に高岡創造ラボを建設(7月18日)

 東亞合成は、高岡工場に高岡創造ラボを建設すると発表した。2020年秋に竣工を予定している。

 高岡工場は、1918年に設立された北海曹達伏木工場においてカセイソーダをはじめとした電解製品の生産を開始し、1944年東亞合成化学工業高岡工場に改称した。その後、1963年に瞬間接着剤「アロンアルフア」の生産を開始したのを皮切りに、2012年には関東地区にあった工業用途の接着剤工場を移設し、高岡工場に瞬間接着剤から工業用の機能性接着剤にまでわたる接着剤製品の製造機能を集約した。また、新たな事業分野である植物工場への取り組みを行うなど、同社高付加価値製品の製造や新事業創造を担う重要な拠点となっている。

 今回、高岡工場に高岡創造ラボを設置することで、多岐にわたる接着剤製品の開発機能の強化とスピードアップを図るとしている。

 

◆人工皮革:旭化成が人工皮革「ラムース」の生産設備の増設を決定(7月17日)

 旭化成は、宮崎県延岡市において人工皮革「ラムース」の生産設備を増設することを決定したと発表した。

 現有能力は600万m2/年であるが、現在実施している増強工事が19年度上期中に完了する予定であり、増設分400m2/年と合わせ、生産能力は1,000万m2/年となる。増設分の稼働は、2021年度下期を見込んでいる。

 「ラムース」は、3層構造の高級人工皮革で、自動車内装材、家具、ITアクセサリー、衣料、産業用資材等の様々な用途に向け、国内外で積極的な事業展開を行っている。

 近年、自動車内装材やITアクセサリー用途向けを中心に販売量が増加しており、今後もさらなる需要の拡大が見込まれることから、今回の増設を決定した。同社では、今後もグローバルなマーケットの拡大に応じて、供給体制の強化を図っていくとしている。

 

◆バイオマス材料:三菱ケミカルが米国でバイオマス原料由来の脂肪族ジオール及び誘導品に関する特許を成立(7月17日)

 三菱ケミカルは、同社が所有するバイオマス原料由来の脂肪族ジオール及び誘導品(以下「本製品」)に関する物質特許が米国で成立したと発表した。

 本特許は、本製品の製造販売など事業を行う上で必要な基本特許となる。脂肪族ジオールとしては、ブタンジオール、ポリエーテルグリコール等が挙げられ、誘導品としては、テトラヒドロフラン等の環状化合物等が一例として挙げられる。

 同社は、本特許以外にもバイオマス原料由来の製品に関する特許を多数保有しており、これらの特許を活用して、外部との協業やライセンス供与を積極的に推進させることで、自社事業の拡大だけではなく、積極的にバイオマス原料由来の製品の普及及び市場のさらなる拡大を促進するとしている。

 

◆自動車部品:帝人が豪州・AEV社とLS-EVの軽量化に向けた共同開発を推進(7月16日)

 帝人は、LS-EV(低速EV)に特化したオーストラリアのスタートアップ企業であるAEV Robotics社と、LS-EVの軽量化に向けた共同開発を実施することで合意したことを発表した。

 今回の共同開発では、帝人は、ポリカーボネート樹脂、炭素繊維、アラミド繊維といった高機能素材や、複合化技術を駆使し、軽量化と強度の最適化に向けて、素材から設計に至るまでの技術開発を進めていく。また、軽量化と断熱性の最適化を図る熱マネジメントのノウハウや、EVの仕様に合わせた吸音性の快適性などについても、実車ベースで技術開発を進めていく。AEV社は、交通手段としてのみならず、医療・運送・工業など幅広い分野において高効率EVプラットフォームや自動運転技術の開発を進めており、これらも活かして高効率LS-EVの開発を推進していく。

 両社は、今後約2年間かけて要素技術の開発・確立を進めていくとしている。

 

◆ウレタン原料:宇部興産がタイにおけるPCD製造設備を増強(7月16日)

 宇部興産は、アジア圏の需要拡大に対応するため、タイにある子会社のウベファインケミカルズアジアの工場において、ポリウレタン原料のPCD(ポリカーボネートジオール)II期製造設備の増強に着手したと発表した。

 稼働は2020年7月に予定されており、生産能力は、従来から倍増の年産8,000トン規模となる。

 PCDは、主に高級ポリウレタンの主原料(ポリオール成分)として使用されており、自動車、家具、建材などのコーティングや人工皮革、接着剤などに採用が広がっている。PCDを使用したポリウレタンは、耐熱性・耐加水分解性・耐油性・耐候性等の機能が大幅に向上するだけでなく、肌触り等の素材としての高級感も含めて多くの面で優れているため、需要が急拡大している。また、VOC規制強化等への対応のため、溶剤を含まない環境対応型水性塗料(PUD:水系ポリウレタンディスパージョン)の原料としてのニーズも高まっている。

 宇部興産は、日本・スペイン・タイでのグローバルな技術連携を強化することにより、ユーザーニーズに対応した新規グレード開発及びユーザーサポートに注力するとしている。

 

◆電子材料:関西学院大とJNC石油化学が超高色純度の有機ELディスプレイ用青色発光材料を開発(7月16日)

 関西学院大学とJNCの子会社であるJNC石油化学の共同研究チームは、量子ドットやLEDを超える色純度を持つ有機ELディスプレイ用青色発光材料の開発に成功したことを発表した。

 近年、有機ELディスプレイの実用化が進んでいるが、有機系発光材料は、発光の色純度が低いという欠点がある。色純度が低いと、ディスプレイに使用する際に、光学フィルターにより発光スペクトルから不必要な色を除去して色純度を向上させる必要があり、結果としてディスプレイの輝度や電力効率が大きく低下してしまう。また、フィルターによる色純度の向上には限界があるため、ディスプレイの広色域化が難しいという問題もあり、色純度が高い発光材料の開発が望まれていた。

 今回、発光分子の適切な位置に2つのホウ素と4つの窒素を導入し、共鳴効果を重ね合わせることで、発光スペクトルの広幅化の原因である伸縮振動の抑制に成功し、窒化ガリウム系LEDやカドミウム系量子ドットを超える色純度を持つ有機系青色発光材料(ν-DABNA)の開発に成功した。

 今回開発したν-DABNAにより、有機ELディスプレイの高色域化、高輝度化、低消費電力化、ブルーライトの低減などが期待できるとしている。

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