2025.07.17 発行
◆研究開発:大日本印刷が海外初となる研究開発拠点をオランダに開設(7月11日)
◆バイオマス:日本ゼオンが植物由来などのエタノールから高効率でブタジエンを生成するベンチ設備の建設を開始
(7月10日)
◆バイオマス:デンカが植物を用いた有用タンパク質生産のための研究開発拠点を設置(7月9日)
◆電子材料:四国化成工業が半導体材料の生産拠点を新設(7月9日)
◆電子材料:トクヤマが半導体用多結晶シリコン半製品のマレーシアにおける製造販売合弁会社を設立(7月9日)
◆リサイクル:レゾナックと東北大学が廃棄シリコンとCO2からSiCパワー半導体材料を作る技術を共同研究(7月8日)
◆リサイクル:ZACROSが使用済み剥離PETフィルムのリサイクル技術を開発(7月8日)
◆PFASフリー:積水化学工業が先端半導体向け超純水配管でPFASフリー技術にめど(7月8日)
◆バイオマス:千代田化工建設が植物による有用タンパク質の大量生産技術を開発(7月7日)
◆カーボンブラック:ブリヂストンがタイのカーボンブラック事業を東海カーボンに譲渡(7月7日)
◆価格改定
・旭有機材がバルブ、パッキンを10月1日出荷分より値上げ
・日本製紙グループの日本東海インダストリアルペーパーサプライが段ボール原紙・特殊板紙(チップ・色板、紙管原紙、石膏
ボード原紙、シクラ原紙)を10月1日出荷分より値上げ
◆研究開発:大日本印刷が海外初となる研究開発拠点をオランダに開設(7月11日)
大日本印刷(以下、DNP)は、グローバルな研究開発の推進とイノベーションを加速させることを目的に、海外初となる研究開発拠点をオランダのハイテクキャンパス アイントホーフェンに2025年9月に開設すると発表した。
ハイテクキャンパス アイントホーフェンは、約300の企業や研究機関、12,500人以上の研究者・技術者・起業家が集まり、革新的な技術や製品の開発に取り組むヨーロッパのイノベーション拠点である。
DNPは同拠点で、最初のテーマとして、次世代半導体の技術の一つとして注目される光電融合(Co-Packaged Optics)の研究開発を推進する。7月3日にオランダ応用科学研究機構と光電融合の共同研究開発に関する契約を締結しており、同キャンパス内にある、フォトニックチップ(光ICチップ)の基礎研究から量産にまでつなげる研究組織PITC(Photonic Integration Technology Centre)とともに研究開発を推進する。
DNPは、オランダに新設する研究開発拠点を通じて、光電融合に関する技術や研究開発のネットワークを獲得することで、光電融合向けパッケージ部材の開発を加速させるとしている。
◆バイオマス:日本ゼオンが植物由来などのエタノールから高効率でブタジエンを生成するベンチ設備の建設を開始(7月10日)
日本ゼオンは、徳山工場(山口県) において、植物原料由来などのエタノールからブタジエンを高効率で生成する技術を実証するためのベンチ設備の建設に着手したことを発表した。
同設備は2026年の稼働を予定し、ベンチ設備で生成されたブタジエンからポリブタジエンゴム(ブタジエンゴム)を試作し、社会実装に向けた取り組みを加速する
本取り組みは、2030年代に植物原料などからブタジエン、イソプレンを高効率で生成する技術の社会実装を目指し、ゼオンと横浜ゴムが提案する2つの研究開発テーマの内のひとつある。ゼオンはベンチ設備で生成されたブタジエンからポリブタジエンゴムを試作し、横浜ゴムはそのブタジエンゴムを使用したタイヤの試作および走行テストを実施し、大規模実証に向けたデータ収集を行う。
今後は、2030年までにパイロット設備(商業化に向けた連続実証設備)を用いて社会実装のための技術を確立し、 2034年の事業化を目指すとしている。
◆バイオマス:デンカが植物を用いた有用タンパク質生産のための研究開発拠点を設置(7月9日)
デンカは、横浜国立大学、産業技術総合研究所、鹿島建設、東京大学大学院農学生命科学研究科、北海道大学と共同で、NEDOの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」において、「遺伝子組換え植物を利用した大規模有用物質生産システムの実証開発」プロジェクトに取り組んでおり、今回、本プロジェクトの成果を活用し、物質生産用に開発した植物を用いて、栽培から遺伝子発現、目的物質の抽出精製までを一気通貫型に実施可能な世界初の植物バイオものづくり研究開発拠点を横浜国立大学内に設置したことを発表した。
本拠点では、宿主植物の育種、栽培、生成物の分離・精製などの研究開発のみならず、実証・製造への取り組み、技術情報の発信、人材育成までを包括的に連携させた運用体制により、国内における植物を用いた有用タンパク質生産などの新産業の創出を推進することで、次世代の植物バイオものづくりの中核拠点としての役割を果たすとしてる。
◆電子材料:四国化成工業が半導体材料の生産拠点を新設(7月9日)
四国化成工業は、香川県坂出市に先端半導体向け材料の生産を行う新拠点として、坂出工場を新設することを発表した。
建設予定地の香川県坂出市は、同社の研究開発施設であるR&Dセンターからのアクセスも良く、新設する坂出工場では、最先端の生産設備を導入し、高水準の品質管理体制を確立する。
坂出工場の敷地面積は2.6万㎡、投資総額は150~200億円、雇用見込みは30~40名、操業開始は2027年頃の予定としている。
◆電子材料:トクヤマが半導体用多結晶シリコン半製品のマレーシアにおける製造販売合弁会社を設立(7月9日)
トクヤマは、半導体用多結晶シリコン半製品のマレーシアにおける製造販売合弁会社OCI Tokuyama Semiconductor Materials(以下、OTSM社)を設立したと発表した。
OTSM社は、韓国OCIグループのマレーシア現地法人であるOCI TerraSus社との合弁で設立している。同社では半導体用多結晶シリコンの半製品の製造販売を担い、GHG排出量の増加を抑えつつ、先端半導体市場の拡大に貢献していくとしている。
◆リサイクル:レゾナックと東北大学が廃棄シリコンとCO2からSiCパワー半導体材料を作る技術を共同研究(7月8日)
レゾナックと東北大学は、シリコンウェハーの製造過程で発生する廃棄物(シリコンスラッジ)とCO2から炭化ケイ素(SiC)を作る技術を、SiCパワー半導体材料の結晶成長に応用するための本格検討を開始したことを発表した。
同技術は、「鉱物化」という、CO2を固体と反応させるカーボンリサイクル技術により、シリコンスラッジとCO2を再資源化し、有価なSiC原料を創出するものである。レゾナックはそのSiC粉末をSiC単結晶基板へと応用展開する。
半導体や太陽光発電パネルに不可欠なシリコンウェハーは、切り出しの際に生じるシリコンスラッジが産業廃棄物として大量に廃棄され、その再資源化が求められている。それに加えて、SiCの合成には、高温・高電力を要し、製造工程における環境負荷の低減が課題となっている。
本技術が実用化すれば、SiCパワー半導体は製品として省エネルギー化に貢献するだけでなく、製造工程においてもCO2排出量削減、シリコンスラッジおよびCO2の再資源化が同時に実現し、ライフサイクル全体で環境負荷を低減することが可能になるとしている。
◆リサイクル:ZACROSが使用済み剥離PETフィルムのリサイクル技術を開発(7月8日)
ZACROSは、電子機器の製造工程などで使用されたポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(以下剥離PETフィルム)から表面の機能層を除去する独自技術を開発したことを発表した。
剥離PETフィルムは、最適な剥離強度で製品からフィルムを剥離できるようシリコーンなどの機能層が塗付されている。同フィルムをリサイクルする場合には、この機能層の存在がリサイクル材の品質を大幅に低下させる問題があり、従来は焼却処理されることが一般的であった。
今回、同社は剥離PETフィルムを高品質にリサイクルするため、懸案の機能層を除去する独自のフィルム研磨洗浄技術を開発した。さらに、素材の性能劣化を抑える特殊なペレタイズ方式を用いている。
同社は剥離PETフィルムの回収からリサイクル材の活用まで、様々な企業等と連携しながら資源循環のスキームづくりを進めており、当該工程で得られた再生ペレットから再度フィルムを製膜し、自社製品への採用を検討していく。本技術については、2026年度の社会実装を目指すとしている。
◆PFASフリー:積水化学工業が先端半導体向け超純水配管でPFASフリー技術にめど(7月8日)
積水化学工業は、世界的なPFAS規制の強化と環境負荷低減ニーズの高まりを受け、先端半導体製造に用いられる超純水用配管材に有機フッ素化合物を含まないPFASフリー化の技術確立にめどが立ったことを発表した。
PFASは自然界で分解されにくく、人体や生態系への影響が懸念されている有機フッ素化合物の総称である。現時点ではフッ素樹脂材料の超純水用パイプ・継手等に使用されているPVDF、PTFEなどは国内では規制対象外であるが、世界的にPFASに対する規制が強化される傾向にある。
同社の環境・ライフラインカンパニーでは、超純水を輸送する硬質塩化ビニル製の『エスロンクリーンパイプ』を販売している。昨今、超微細化が進む先端半導体産業では、無機物および有機物の溶出ができるだけ少ない配管資材が求められている。今回、PFASの観点でフッ素樹脂に替わる低溶出な新素材として特殊オレフィン樹脂配管材を開発し、2022年より栗田工業と共同で、実際の超純水製造装置を用いた実証を進めてきた。さらに、世界的なPFAS規制の流れを受け、超純水用パイプ・継手のPFASフリー化に取り組んできた。
今後は、2026年度中の上市を計画するとともに、バルブやガスケットなどの超純水分野の配管資材のオールPFASフリー化を進めるとしている。
◆バイオマス:千代田化工建設が植物による有用タンパク質の大量生産技術を開発(7月7日)
千代田化工建設は、NEDOの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」で、植物を用いた有用物質を生産する新規基盤技術の実証設備を建設し、有用物質として世界初となるヒトII型コラーゲンを実証モデルタンパク質に選定して生産実証に成功したことを発表した。
本開発では、実証モデルタンパク質としてヒトⅡ型コラーゲンを実証モデルタンパク質に設定し、植物を用いて、Ⅱ型コラーゲンおよび翻訳後修飾酵素の発現制御と、生成したヒトⅡ型コラーゲンに関する技術をニッピ、産総研などと共同で開発した。植物を用いることで、ワクチンなどの医薬品や、再生医療等製品、化粧品、機能性食品など多様な製品をアニマルフリーで安価に生産できる技術であり、温室効果ガスの排出抑制効果も期待できる。
また、同社は今回建設した実証設備を、植物バイオものづくりの実用化開発を受託する、国内初の「植物バイオファウンドリ」として立ち上げ、さまざまな機関や企業が開発する有用物質製品について、プロセス開発やサンプル製造の受託を行い、実用化に向けた支援サービスを提供するとしている。
◆カーボンブラック:ブリヂストンがタイのカーボンブラック事業を東海カーボンに譲渡(7月7日)
ブリヂストンは、カーボンブラックの製造・販売を行うタイのグループ会社であるBridgestone Carbon Black (Thailand)(以下、BSCB)を、東海カーボン及びThai Tokai Carbon Product(以下、東海カーボン)に譲渡する契約を締結したことを発表した。
東海カーボンは、カーボンブラック事業を基盤とする同社のグローバルパートナーであり、カーボンブラックの調達に加え、使用済タイヤ等からカーボンブラックを生成するリサイクル事業においても協業している。今回の事業譲渡により、東海カーボンの供給体制やカーボンブラックに関する技術力を活用し、リサイクル事業においても、持続可能なサプライチェーンの構築を目指す。
なお、ブリヂストンは、、独自のノウハウや技術が不可欠な領域、特にプレミアムタイヤ、モータースポーツタイヤ、サステナビリティ分野においては、自社で戦略的カーボンブラックの開発・生産を継続する。この役割は、グループ会社である旭カーボンが担うとしている。
◆価格改定
・旭有機材がバルブ、パッキンを10月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、手動バルブ:10%以上、自動バルブ:5%以上、パッキン(一部材質は除く): 10%以上
・日本製紙グループの日本東海インダストリアルペーパーサプライが段ボール原紙・特殊板紙(チップ・色板、紙管原紙、石膏ボード原紙、シクラ原紙)を10月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、段ボール原紙全般:10円/kg以上、特殊板紙:10円/kg以上