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2025年6月19日

2025.06.19 発行

HEADLINE

◆合成ゴム:東ソーがクロロプレンゴムの生産能力の増強を発表(6月12日)
◆バイオマス:住友化学がバイオマス原料を使用したスーパーエンプラの量産技術を確立(6月12日)
◆医薬品原料: 日本触媒がGMP準拠の核酸医薬品原薬製造能力を10倍に増強(6月12日)
◆化粧品原料:富士フイルムがヒト型セラミドを配合した「セラミド配合単層リポソーム」を開発(6月11日)
◆レアメタル: JX金属が豪州ミネラルサンド鉱床開発の参画に向けた契約を締結(6月9日)
◆水処理関連:東レがサウジアラビアに中東水処理技術センターを新設(6月9日)
◆バイオマス:日本ゼオンが植物原料由来の原料製造プロセス開発を行う研究棟を新設(6月9日)
◆価格改定
・ブリヂストンが免震ゴムの国内向けメーカー出荷価格を6月より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆合成ゴム:東ソーがクロロプレンゴムの生産能力の増強を発表(6月12日)
 東ソーは、南陽事業所(山口県)において、クロロプレンゴム(商品名:スカイプレン、以下CR)の生産能力の増強を決定したことを発表した。
 CRは、東ソーのチェーン事業である付加価値素材を構成する機能性ポリマー製品である。優れた耐油性、耐候性や難燃性を併せ持つバランスの取れた特殊合成ゴム品として、主に自動車のホースやベルト、各種工業部品の他、接着剤や医療用手袋等、多種多様な用途に使用されている。
 本件の投資額は約750億円であり、生産能力は年間2.2万トン増強される。商業運転は2030年春の予定としている。

◆バイオマス:住友化学がバイオマス原料を使用したスーパーエンプラの量産技術を確立(6月12日)
 住友化学は、バイオマス原料由来のモノマーを使用した液晶ポリマー(LCP)の量産技術の確立に成功したことを発表した。
 LCPは、耐熱性と難燃性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックの一種であり、スマートフォンなどの電子機器、自動車、OA機器など幅広い分野で用いられている。従来、その原料の多くは化石資源に由来してきたが、持続可能な社会の実現に向けて、あらゆる工業製品材料についてバイオマス原料への転換が待望されている。
 今回、住友化学が技術確立に成功したバイオマス原料を使用したLCPの製造プロセスでは、製品中のバイオマス含有量が明確となる「セグリゲーション」方式を採用している。本方式は、バイオマス原料とそれ以外を完全に分離して管理するもので、バイオマス含有量を明示することが可能となる。
 今後、本技術に基づくバイオLCPの量産体制構築を加速し、2026年度中の顧客認定、27年度からの供給開始を目指すとしている。

◆医薬品原料: 日本触媒がGMP準拠の核酸医薬品原薬製造能力を10倍に増強(6月12日)
 日本触媒は、世界的に需要が急拡大している核酸医薬品市場に対応するため、GMP準拠の核酸医薬品原薬製造能力を10倍に増強することを発表した。
 核酸医薬品は低分子医薬品・抗体医薬品に続くモダリティとして、希少疾患、神経疾患やがんなど、従来の治療法では対応が難しかった領域への適用が期待されている。
 世界の核酸医薬品の市場規模は、2030年には1.4兆円を超えると見込まれている。それに伴い、世界の核酸医薬品CDMO市場は、2021年から2030年にかけて年平均成長率14%で拡大し、2030年には2,000億円に達すると予測されている。これらの市場拡大を背景に、国内外の製薬企業から、日本触媒のGMP準拠製造設備の増強に対する期待が高まっている。
 今回の設備増強では、従来の製造ラインの10倍の製造能力(数kg/バッチ)を持つ大規模製造ラインを導入する。新設備の稼働は2027年を予定しており、これによって、大量供給が求められる一般疾患向け核酸医薬原薬の製造にも対応可能となる。日本触媒は、非臨床ステージから大量商用生産まで、さまざまなニーズに対応可能な製造体制を強化するとしている。

◆化粧品原料:富士フイルムがヒト型セラミドを配合した「セラミド配合単層リポソーム」を開発(6月11日)
 富士フイルムは、独自の浸透型単層リポソームに「ヒト型セラミド」を配合した「セラミド配合単層リポソーム」を開発したことを発表した。
 同社は、スキンケア化粧品分野の研究開発において、皮膚への浸透性や皮膚のバリア機能を高める技術の開発などに注力しており、2022年には皮膚を構成する表皮・真皮それぞれへの浸透性を高める独自設計の「単層リポソーム」2種を開発した。
 「ヒト型セラミド」は、水にも油にも溶けにくく、結晶性が高いため、単層リポソームに配合する際に、粒子サイズの増大化や、単層構造が安定しないという課題があった。今回、リポソームを構成する膜に新たな独自処方を施すことで、「単層リポソーム」に「ヒト型セラミド」を安定的に配合することに成功した。
 また、従来の「セラミド非配合単層リポソーム」を添加した同モデルと比較して、「セラミド配合単層リポソーム」を添加した3次元皮膚モデルでは、水分の蒸散抑制能が約3倍向上したことを確認し、セラミド配合単層リポソームが肌内部の水分蒸散抑制機能を向上させることを明らかにした。今後、スキンケア化粧品の開発に応用していくとしている。

◆レアメタル: JX金属が豪州ミネラルサンド鉱床開発の参画に向けた契約を締結(6月9日)
 JX金属は、オーストラリアのRZ Resources(以下:RZ社)が100%権益を所有して現在フィージビリティスタディを実施しているミネラルサンド鉱床のCopi PJ(以下、本プロジェクト)に、段階的に合計2,000万豪ドル(約18.5億円)を拠出して権益を5%取得する契約を締結したことを発表した。
 JX金属グループでは、半導体材料セグメント及び情報通信材料セグメントからなるフォーカス事業を成長戦略のコアとする一方、基礎材料セグメントからなるベース事業は、銅・レアメタルの安定供給を通じてフォーカス事業を支える基盤として位置づけている。特にレアメタルは先端半導体に不可欠な原料であり、世界的な争奪競争が激化しているため、安定確保が喫緊の課題となっている。
 こうした中で、RZ社が2017年から進めてきた本プロジェクトの調査の結果、ジルコン、モナザイト、イルメナイト、ルチルなどを含む多様な鉱物を長期に亘り確保できる有望な鉱山となる可能性が判明した。また、オーストラリア南東部沿岸の安定した地政学的環境や輸送インフラも整っており、比較的少ない投資規模でサプライチェーンの強化が可能と判断し参画を決定した。
 なお今後、追加拠出500万豪ドル(約4.6億円)および権益転換付ローンとして500万豪ドル(約4.6億円)拠出する可能性があるとしている。

◆水処理関連:東レがサウジアラビアに中東水処理技術センターを新設(6月9日)
 東レは、サウジアラビアのダンマームで、水処理膜から水処理プロセスまで一貫した水処理技術サービスを提供する施設である中東水処理技術センター(以下、MEWTEC)を新たに設立したと発表した。
 本施設は、東レの中東拠点であるToray Membrane Middle East LLC(TMME)の敷地内に建設され、2025年4月より稼働開始していた。本拠点は、中東・アフリカ、及びその周辺地域における水需要の急速な拡大を受け、高まる産業や都市インフラにおける廃水再利用・海水淡水化の高度化ニーズを背景に、自社の技術力をよりタイムリーに現地で発揮できる体制を構築するとともに、現地の水問題を解決するソリューション開発をリードしていくことを目的としている。
 MEWTECの設立により、同社が重視している納入後の迅速かつ専門的な技術サポートをより一層充実させ、当該地域の顧客との信頼関係の強化と長期的なパートナーシップの構築を促進するとしている。

◆バイオマス:日本ゼオンが植物原料由来の原料製造プロセス開発を行う研究棟を新設(6月9日)
 日本ゼオンは、ゼオンケミカルズ米沢の敷地内に植物原料由来の原料製造プロセス開発を行う研究棟を新設したことを発表した。
 化学反応やバイオ発酵のプロセス開発をまとめて行える研究設備を整備し、原料転換に主眼を置いたものづくりを進めることで循環型社会の実現を目標としている。本設備では、合成ゴムの主原料であるブタジエンやイソプレンを植物原料から直接生産するバイオ技術の開発を推進し、資源循環型社会の実現を目指す。
 日本ゼオンは、本施設で研究開発を加速させることにより、2034年に植物原料からブタジエンとイソプレンを直接生産するバイオ技術の事業化を目指すとしている。

◆価格改定
・ブリヂストンが免震ゴムの国内向けメーカー出荷価格を6月より値上げ
 値上げ幅は、平均14%

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