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2025年5月22日

2025.05.22 発行

HEADLINE

◆インキ:artienceグループがトルコに新工場を設立(5月16日)
◆タイヤ原料:ハリマ化成グループがタイヤ用バイオマス軟化剤を開発(5月15日)
◆複合材料:有沢製作所が環境負荷を低減するハロゲン・アンチモンフリーの航空機内装用プリプレグおよびハニカムパネルを
 開発(5月15日)
◆電子材料:BASFがルートヴィッヒスハーフェンで半導体グレードの硫酸を生産する新プラントに投資(5月14日)
◆電池材料:第一工業製薬がリチウムイオン電池負極用水系接着剤の生産能力増強を発表(5月14日)
◆電池材料:千代田化工建設と千代田エクスワンエンジニアリングが出光興産向け固体電解質の小型実証設備の完工を発表
 (5月14日)
◆電池材料:三井金属が全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD」量産試験用設備の第2次生産能力増強投資を発表(5月13日)
◆電子材料:デンカが高信頼性放熱ベース板「アルシンク」生産設備増強を決定(5月13日)
◆電子材料:住友化学が韓国拠点への追加投資で半導体用ケミカル事業の強化を発表(5月13日)
◆リサイクル:三井化学と萩原工業がリサイクルプラスチックの粘度均一化技術を共同開発(5月13日)
◆インキ:DICグラフィックス社が商業印刷用高感度UVインキ「DAICURE HR PINESTER」を新発売(5月22日)
◆化粧品原料:信越化学工業が新規のパーソナルケア用シリコーン製品を開発(5月12日)
◆価格改定
・ユニチカが包装用フィルム製品を6月1日出荷分より値上げ
・アイカ工業が接着剤・建築塗材を7月1日出荷分より値上げ
・日本ペイントが塗料およびシンナー類等を7月22日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆インキ:artienceグループがトルコに新工場を設立(5月16日)
 artienceグループのTOYO PRINTING INKS(トルコ)は、トルコ西部のマニサ工業団地に7,000万米ドルを投じて新工場を設立したことを発表した
 同社はEMEA、中央アジア地域におけるartienceグルーブのハブ拠点として各種印刷インキとその関連製品の製造・販売を行っている。62,500m²の敷地に設立された新工場は、最新鋭の技術インフラが導入されているほか、環境に配慮して設計されており、持続可能な生産方法が採用されている。新工場の設立により、生産能力を大幅に拡大したほか、これまで輸入に頼っていたラミネート接着剤などの製品をトルコ国内で製造することで、近隣諸国への輸出拠点としての役割を強化する。
 また、従来の4倍に拡張した研究開発スペースには最新の評価、分析機器を導入し、ソリューションを提供するイノベーションセンターとして、変化する顧客ニーズに迅速に対応していくとしている。

◆タイヤ原料:ハリマ化成グループがタイヤ用バイオマス軟化剤を開発(5月15日)
 ハリマ化成グループは、再生可能天然資源である松由来の「タイヤ用軟化剤」を開発したことを発表した。
 世界的に環境保全意識が高まるなか、各タイヤメーカーでは2030年までにタイヤ材料の30%~40%をサステナブル材料に置き換え、さらに2050年までに100%サステナブル材料に置き換える目標を掲げている。タイヤ用ゴムは複数の原料から作られており、軟化剤はゴム、充填剤に次いで多い構成要素である。しかし、市販の軟化剤のほとんどは石油系であり、サステナブル材料への置き換えが求められている。一方で、既存のバイオマス系軟化剤は各種性能が不十分であるため、置き換えには至っていない。
 今回開発した製品は、従来品と同等の性能を持つに加え、松から得られるロジンをはじめとしたバイオマス原料を99%以上含んでいる。
 同グループは、新しく開発したタイヤ用軟化剤に加え、その他バイオマス素材を活かした製品の開発を加速させ、サステナブルな製品の事業拡大を通じてSDGsなど社会的課題解決に取り組んでいくとしている。

◆複合材料:有沢製作所が環境負荷を低減するハロゲン・アンチモンフリーの航空機内装用プリプレグおよびハニカムパネルを開発(5月15日)
 有沢製作所は、独自の樹脂配合技術を駆使しハロゲン系化合物およびアンチモン化合物を含まない「ハロゲン・アンチモンフリー」のプリプレグおよび、それを用いたハニカムパネルの開発に成功したことを発表した。
 近年、環境保護意識の高まりから製品に含まれる化学物質に対する管理・規制は世界的に強化されている。特に、航空機内装用パネル向けのプリプレグで高い安全基準を満たすための難燃剤として一般的に活用されるハロゲン系化合物やアンチモン化合物は、環境負荷や人体への影響が懸念されており、使用の制限や他材料への代替が国際的に強く求められている。
 上記の背景のもと、今回、難燃剤としてハロゲン系化合物およびアンチモン化合物を使用しない設計でありながら、航空機内装材に求められる厳しい基準を満たす十分な耐火性と高い機械特性を両立し、国際的に高まる環境規制への対応と安全性の確保に貢献する新製品の開発に成功した。同社は今後も環境負荷低減と高性能化の両立に貢献する製品開発を推進していくとしている。

◆電子材料:BASFがルートヴィッヒスハーフェンで半導体グレードの硫酸を生産する新プラントに投資(5月14日)
 BASFは、先端半導体に不可欠な超高純度化学品である半導体グレードの硫酸(H2SO4)の生産能力を拡大することを発表した。
 ドイツのルートヴィッヒスハーフェン拠点に新設される生産施設は、欧州で高まる先端半導体チップ製造の需要に対応する最先端の純度性能を備える。
 欧州ではチップ製造工場の新設や拡張が相次いでおり、硫酸をはじめとする半導体グレードの高品質かつ高純度化学品に対する需要が高まっている。この需要の高まりは、同社と緊密な協力関係にあるパートナーが欧州で新たなチップ製造工場を建設していることにより、さらに加速している。これらのチップは、自動車、モバイル通信、AIチップの用途で使用されている。
 新プラントの稼働開始は主要顧客の生産能力増強に合わせ2027年を予定しており、投資額は数千万ユーロの規模となる見込みとしている。

◆電池材料:第一工業製薬がリチウムイオン電池負極用水系接着剤の生産能力増強を発表(5月14日)
 第一工業製薬は、リチウムイオン二次電池の需要拡大に対応するため、負極用水系複合接着剤(バインダー)「エレクセル CRシリーズ」の生産能力を滋賀工場において増強したことを発表した。
 リチウムイオン二次電池の負極材料は黒鉛が主流であるが、近年では高容量を追求するために、黒鉛にシリコン系材料が添加されている。シリコン系材料は、充電時に膨張し放電時に収縮するため、電極構造が破壊され、電池の劣化が生じるという課題がある。
 同品は、シリコン系材料100%配合系においても電極構造が安定し長寿命化を図ることが可能で、負極容量をさらに向上できる可能性がある。また、樹脂の弾性率や強度のコントロールを行い、汎用品では難しい負極材の膨張収縮に適応する性質をもち、高い構造復元性を発揮する。
 今回、滋賀工場において中量生産設備が完成し、2025年5月より稼働を開始する。今後、段階的に約30億円の投資を行い、さらなる事業展開に向け、供給体制の構築を積極的に進めていく予定としている。

◆電池材料:千代田化工建設と千代田エクスワンエンジニアリングが出光興産向け固体電解質の小型実証設備の完工を発表(5月14日)
 千代田化工建設と千代田エクスワンエンジニアリングは、出光興産が取り組む固体電解質小型実証設備第1プラント能力増強工事を完工したと発表した。
 固体電解質は、全固体電池のキーとなる材料であり、主に電気自動車(EV)における航続距離拡大・充電時間の短縮・安全性向上を達成するため、自動車・電池メーカー等で開発が進んでいる。
 出光興産は、本工事により増強された固体電解質の小型実証設備第1プラント生産能力を活用し、量産技術確立に向けた技術検証を加速する。また、出光興産は、段階的に固体電解質製造装置をスケールアップし、その先の事業化を計画しており、本小型実証設備の次のステージとなる大型パイロット装置についても、千代田化工建設が基本設計業務を受注し現在遂行中である。
 千代田化工建設は、出光興産の固体電解質事業に貢献し、出光興産が固体電解質の性能の向上および量産技術の開発を加速させ、全固体電池の普及・拡大へ寄与することを支援していくとしている。

◆電池材料:三井金属が全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD」量産試験用設備の第2次生産能力増強投資を発表(5月13日)
 三井金属は、全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD」量産試験用設備の第2次生産能力増強投資について、生産能力の更なる向上を実施すると発表した。
 同社は固体電解質の生産能力の増強投資を2025年中に予定しているが、既報の内容を一部変更した。変更前は、生産能力を設備導入時比較3倍増にする予定であったが、今回、設備導入時比較4倍増に変更した。
 同社はこれまでの電池材料の研究開発の知見を活かし、顧客の全固体電池開発ニーズに積極的に応えてきた。その結果として、固体電解質は複数の顧客において開発標準材料として位置づけられており、足元においても生産能力を上回る需要が見込まれている。
 そのため、既存の量産試験棟の生産能力増強が課題となっていたが、事業創造本部における研究開発成果によりボトルネック工程の改善に一定の目途がついたことから、投資内容の一部を変更し、当初予定の期限内で量産試験棟の生産能力の更なる向上を実施する。
 上述の量産試験棟に加え、2027年には初期量産工場の稼働も計画しており、同社は世界最大規模の固体電解質の生産能力を有することになるとしている。

◆電子材料:デンカが高信頼性放熱ベース板「アルシンク」生産設備増強を決定(5月13日)
 デンカは、高信頼性放熱ベース板「アルシンク」の生産設備増強投資を行うことを発表した。
 大牟田工場(福岡県)、並びに、電化電子材料(大連)での設備増強を行い、現在から2027年後半にかけて約1.3倍に生産能力を拡大する。
 同品は、アルミニウムとセラミックスからなる複合材料であり、セラミックス基板に近い熱膨張率と、窒化アルミニウム(AlN)と同等以上の熱伝導率を併せ持つ高信頼性ヒートシンク材料として、搭載されるハイパワーモジュールの高性能化や長寿命化に寄与する。
 同品は、電鉄向けインバーター用のパワーモジュール用途で広く採用されているが、世界的な高速鉄道網の整備に加え、再生可能エネルギー分野での直流送電向けの需要の急速な拡大が見込まれている。デンカは、同製品のトップサプライヤーとしての供給安定性を確固たるものとすべく、供給体制をさらに強化するとしている。

◆電子材料:住友化学が韓国拠点への追加投資で半導体用ケミカル事業の強化を発表(5月13日)
 住友化学は、100%子会社である韓国の東友ファインケムの益山研究所において、半導体用ケミカルの品質向上と最先端製品の開発加速を目的として、先端素材用クリーンルームの新設およびプロセス検証ラインの拡充に向けた体制整備投資を行うことを発表した。
 東友ファインケムは、住友化学グループのICT関連事業における中核子会社として、東アジアや米国を中心に事業展開を行っている。同社は生産・開発体制を強化するべく、既存工場における能力増強や新工場用地の確保に加え、新研究開発センター(ソウル近郊)を2024年10月から稼働している。
 本設備は、2026年度以降に順次稼働を開始する予定である。住友化学グループは、今回の先端素材用クリーンルームの新設およびプロセス検証ラインの拡充により、先端半導体の超微細化に対応する超高純度ケミカルや先端プロセス・後工程材料の新たなニーズに対応する機能性ケミカル(選択エッチャント、先端フォトレジスト用シンナー、工程内クリーナーなど)の開発を加速させる。
 今回の投資により、高純度ケミカル分野を強化するとともに、機能性ケミカル分野ではラインアップ拡充に取り組むことで、2030年には各分野で売上収益を2024年度比で2倍にすることを目指すとしている。

◆リサイクル:三井化学と萩原工業がリサイクルプラスチックの粘度均一化技術を共同開発(5月13日)
 三井化学と萩原工業は、リサイクルプラスチックの粘度を均一化する技術の共同開発に成功したことを発表した。
 リサイクルプラスチックは、原料となる廃プラスチックの品質にばらつきがあるため、粘度の不均一が歩留まりの低下や品質劣化を招いていた。両社はこの課題を解決すべく、三井化学と長岡技術科学大学が開発したインライン粘度計測技術を活用し、粘度を制御する技術開発に取り組んできた。
 三井化学は、サーキュラーエコノミーの実現を目指し、廃プラスチックの粘度をリアルタイムで計測・制御できる「タンデム押出機による粘度均一化技術」を長岡技術科学大学と共同開発している。一方、萩原工業は、使用済みブルーシートを再資源化して新たなブルーシートの生産を推進しており、異物混入や品質低下への対応として、高度な洗浄・濾過・造粒装置を開発している。
 今回の技術検証では、三井化学の制御理論を萩原工業の押出機に組み込み、目標粘度への制御が可能であることを実証した。これにより、廃プラスチックの使用比率を一定に保ちながらも粘度を均一化でき、歩留まりや品質の改善が見込めるという。三井化学と萩原工業はこの技術をさらに発展させ、1台の押出機で処理が可能な方式の実用化を目指すとしている。

◆インキ:DICグラフィックス社が商業印刷用高感度UVインキ「DAICURE HR PINESTER」を新発売(5月22日)
 DICグラフィックスは、印刷時における生産性の向上と環境対応を実現する商業印刷用高感度UVインキの新製品「DAICURE HR PINESTER(ダイキュア HR ピネスター)」を開発し、2025年5月より販売を開始したことを発表した。
 UVインキはカタログやチラシなどの高速印刷で広く使用されている。また、UVインキは揮発性有機化合物(VOC)を使用していないため、環境に配慮した製品として需要が高まっている。さらにUVを照射することで極めて短い時間でインキを硬化・乾燥させることが可能で、印刷作業の生産効率が向上することもあり、市場が拡大している。
 同製品は優れた濃度安定性で、高速印刷や印刷機の自動運転でも安定したパフォーマンスを発揮する。また、原料の一部に生物由来樹脂を採用したことで、石油などの化石資源への依存を低減させ、CO2排出量の削減に貢献する。2026年までに5億円の売り上げを目指すとしている。

◆化粧品原料:信越化学工業が新規のパーソナルケア用シリコーン製品を開発(5月12日)
 信越化学工業は、新たにパーソナルケア用品向けのシリコーン製品「KF-6070W」、「KF-6080W」、「KSG-16-SF」、「KSG-19-PF」を開発したことを発表した。
 「KF-6070W」と「KF-6080W」は、ジメチルシリコーンオイル(化粧品表示名称:ジメチコン)の分子構造のメチル基の一部を親水性官能基に置換したシリコーンである。「KF-6070W」は水溶性のシリコーンワックスで、肌の上で滑らかに溶けて広がる使用感が特長である。水系やO/W(Oil in Water)系のヘアケア、スキンケアなどの感触改良剤として幅広く用いることができる。また、「KF-6080W」は、O/W剤型用のシリコーン乳化剤で、べたつきが少なく、滑らかな感触の処方を設計することが可能である。室温で流動性があるため、パーソナルケア用品の製造でコールドプロセスの採用が可能な製品である。
 「KSG-16-SF」と「KSG-19-PF」は、高い光拡散性を有するシリコーンエラストマーゲルである。「KSG-16-SF」は高いソフトフォーカス効果、「KSG-19-PF」は軽いパウダリーな使用感が特長である。いずれもパーソナルケア用品で使用されるマイクロプラスチックビーズの代替原料となり得るため、その可能性も追求していくとしている。

◆価格改定
・ユニチカが包装用フィルム製品を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、ナイロンフィルム(15µm換算):500円/連以上
 複層ナイロンバリアフィルム(15µm換算):500円/連以上
 ナイロンバリアフィルム(15µm換算):500円/連以上
 ポリエステルフィルム(12µm換算):500円/連以上
 ポリエステルバリアフィルム(12µm換算):500円/連以上
 OPPバリアフィルム(20µm換算):500円/連以上、
 (連=500m²)
 ※個別に上記金額以上の改定をお願いする場合あり
・アイカ工業が接着剤・建築塗材を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、酢酸ビニル樹脂系接着剤:5%以上
 合成ゴム系接着剤:5%以上
 水性高分子イソシアネート系接着剤:10%以上
 建築塗材:10~20%
 ※上記改定幅の範囲に収まらない製品も一部あり
・日本ペイントが塗料およびシンナー類等を7月22日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10~20%

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