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2025年4月24日

2025.04.24 発行

HEADLINE

◆冷却油:出光興産がデータセンター向け液浸冷却油「IDEMITSU ICF シリーズ」を新発売(4月17日)
◆電子材料:artienceが韓国半導体材料メーカーと新事業創出に向けたMOUを締結(4月17日)
◆リサイクル:JX金属が廃車載リチウムイオン電池に含まれるリチウムの高回収率リサイクルプロセスを開発(4月16日)
◆メタン発酵:千代田化工建設がVertus Energyとメタン発酵効率化技術の商業展開に向けた協業に関する覚書を締結
 (4月16日)
◆汚泥除去:花王が地下トンネルのメンテナンス負荷を低減する汚泥除去剤を開発(4月16日)
◆耐油紙:王子エフテックスがFDA適合の非フッ素耐油紙の販売を開始(4月15日)
◆樹脂:東洋紡エムシーが有機溶剤可溶型ポリフェニレンエーテル(PPE)を開発(4月15日)
◆水素:住友ゴム工業が白河工場で水素の製造を開始(4月15日)
◆日揮グローバルがCO2の循環が可能となるポリプロピレンの製造に向けた共同検討を開始(4月14日)
◆界面活性剤:三洋化成が常温の水に混ぜるだけでαゲルを形成するカチオン界面活性剤を開発(4月14日)
  
  

WEEKLY NEWS

◆冷却油:出光興産がデータセンター向け液浸冷却油「IDEMITSU ICF シリーズ」を新発売(4月17日)
 出光興産は、高性能液浸冷却油「IDEMITSU ICF シリーズ」を発売することを発表した。
 近年、通信インフラの高度化やデジタルサービスの普及・多様化に伴い、データ通信量が急増しており、高性能コンピュータサーバーを備えるデータセンターの設置が世界的に拡大している。また、コンピュータサーバーの演算処理装置(GPU)の高性能化による発熱量の増大が課題となっており、従来の空気冷却に代わる液浸冷却に注目が集まっている。
 液浸冷却は、電気を通さず、空気の30倍の熱伝達率を持つと言われる高性能液浸冷却油にサーバーを漬けて、効率的に熱を取り除く冷却方法である。また、液浸冷却は空気冷却に比べ冷却に要する電力を大幅に削減できることから、データセンターの消費電力低減につながる。
 同製品は、①高引火点・低粘度の為、安全性と冷却性能を両立、②無臭・低刺激臭・高い透明性を有している為、メンテナンス効率の向上に寄与するといった特長を有しており、データセンターの省エネ化と、脱炭素社会の実現に貢献するとしている。

◆電子材料:artienceが韓国半導体材料メーカーと新事業創出に向けたMOUを締結(4月17日)
 artienceとMTI社(韓国)は、半導体市場での新事業創出に向けた販売及び共同開発のためのMOUを締結したと発表した。
 artience社は、チップレットや3次元実装に対応する高付加価値材料の開発を進め、半導体市場に新しい価値の提案を行っている。一方、MTIは韓国の半導体市場やCMOSイメージセンサー等の光半導体市場において実績を有し、半導体の製造工程で使用するケミカル製品やフィルム・テープを製造している。
 両社の強みを活かしたマーケティングや開発を進めることで、グローバルでの新規顧客の獲得や新たな事業創出に取り組み、先端エレクトロニクス分野での更なる事業拡大を目指すとしている。

◆リサイクル:JX金属が廃車載リチウムイオン電池に含まれるリチウムの高回収率リサイクルプロセスを開発(4月16日)
 JX金属の子会社であるJX金属サーキュラーソリューションズは、廃車載リチウムイオン電池(以下、LiB)に含まれるリチウムを世界最高水準となる90%以上の回収率を実現できる新プロセスを開発したことを発表した。
 同社グループは、2009年から使用済みLiBからのレアメタル回収に取り組んでおり、現在は、廃車載LiBからレアメタルを回収し、再び車載用LiBの原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」の実証試験を国内最大規模で行っている。同社が開発した新プロセスは、世界最高水準のリチウム回収率となる90%を実現し、さらに、回収したリチウムを活用し回収プロセス中の薬品使用量を極少化することで、プロセス全体の効率化を図るとともに、従来プロセスに比べカーボンフットプリントを40%削減することが出来る。
 現在、2026年度下期の稼働開始を目指し、JXCSの子会社であるJX金属サーキュラーソリューションズ敦賀(JXCS敦賀)の既存設備に新プロセス設備の追加工事を進めており、今後はJXCS敦賀で実証試験を進める。回収した高純度リサイクル原料をサプライチェーンへ供用し評価を進めるとともに、様々な事業パートナーと連携を強化することでクローズドループ・リサイクルの社会実装をさらに推進していくとしている。

◆メタン発酵:千代田化工建設がVertus Energyとメタン発酵効率化技術の商業展開に向けた協業に関する覚書を締結(4月16日)
 千代田化工建設は、オーストリアのVertus Energy(以下、ヴァータス社)の保有するメタン発酵を効率化する技術の開発・商業科を加速することを目的として、ヴァータス社との覚書を締結したことを発表した。
 ヴァータス社は、Waste to X(廃棄物を資源として利用し、エネルギーや燃料などの価値ある製品に変換する技術やソリューション)分野に先駆けて、既設の発酵タンクを生かしつつバクテリアの挙動を高度に管理することで既存の嫌気発酵技術(メタン発酵技術)と比して単位原料あたり最大60%多くのエネルギーを、3倍のスピードで生成する画期的な技術開発を行っている。
 ヴァータス社が開発する技術は、バクテリアの挙動管理を行うことで嫌気発酵によるメタン生成量・生成速度を大幅に増加するものであり、幅広い地域のCO2削減に貢献するものである。
 同覚書を通じ、同社の培ってきたエンジニアリング・プロジェクト遂行力と、ヴァータス社の革新的なWaste to Xテクノロジーを組み合わせて、同技術の展開と早期の社会実装を目指していくとしている。

◆汚泥除去:花王が地下トンネルのメンテナンス負荷を低減する汚泥除去剤を開発(4月16日)
 花王は、鉄バクテリア由来の汚泥を取り除く産業用除去剤「ルナクリア」を6月から発売すると発表した。
 地下トンネルなどでは、鉄バクテリアによってサビ色の汚泥が発生することがあるが、放置すると景観を損ねるだけでなく、排水溝が詰まって設備に悪影響が及ぶ。そのため、従来は手作業で汚泥を定期的に取り除いており、大きな負担となっていた。
 鉄バクテリア汚泥は、泥の粒子が集まって網目のようなネットワーク構造を形成している。そこで、汚泥に作用してネットワーク構造を壊す成分を選定した。さらに、発泡する仕組みを加えて軟らかくなった汚泥を浮き上がらせることで、吹きかけて、水で流すだけで汚泥を除去できる産業用の除去剤「ルナクリア」の開発に至った。 
 鉄バクテリア汚泥は、地下の鉄道トンネルだけでなく、山岳トンネルなどでも発生するため、「ルナクリア」によって、幅広いインフラメンテナンスの負担軽減に貢献する。その他にも、鉄バクテリアは鉄製の配管やタンクといった鋼材設備の腐食にも大きく関わっていると考えられるため、本製品の技術を応用した幅広い用途展開にも取り組んでいくとしている。

◆耐油紙:王子エフテックスがFDA適合の非フッ素耐油紙の販売を開始(4月15日)
 王子ホールディングスのグループ会社である王子エフテックスは、環境と健康に配慮した非フッ素耐油紙「O-hajiki(オハジキ)」の新製品として、FDA(米国食品医薬品局)の規格に適合した「O-hajiki(W)FDA CoC」の販売を開始したと発表した。
 非フッ素耐油紙「O-hajiki」は、フッ素系耐油剤を使用していない耐油紙である。従来のフッ素系耐油紙と同等の耐油性能を維持し、フライドポテトやドーナツなどの油分を含む食品の包装や敷紙に適している。また、ポリエチレンラミネート紙の代替として使用すれば、包装資材の脱プラにも貢献できる。
 新製品「O-hajiki(W)FDA CoC」は、フッ素系耐油剤を使用していないことに加え、化学成分と製品安全性がFDAの規格に適合している為、海外展開にも対応可能としている。

◆樹脂:東洋紡エムシーが有機溶剤可溶型ポリフェニレンエーテル(PPE)を開発(4月15日)
 東洋紡エムシーは、2025年2月に溶融紡糸法によるポリフェニレンエーテル(以下、PPE)単体の繊維化技術を世界で初めて確立したことを発表したが、今回この繊維化技術の開発で得られた知見と同社が有するノウハウを生かして「有機溶剤可溶型PPE」を開発したことを発表した。
 同開発品は、高分子量のPPE単体を汎用溶剤に溶解させている。そのため、従来、低分子量のPPEを溶解させた溶液は、分子量を高めるために乾燥工程後に熱処理工程を加える必要があったが、開発品においては乾燥工程のみで高分子量体を得ることができ、塗膜強度の向上などが期待される。
 開発品の用途は、PPEが有する耐熱性、絶縁性、低誘電特性などを生かし、耐熱性を備えたコーティング剤や電子材料用の接着剤などを想定している。同社は引き続き、開発品のさらなる高機能化を図るとともに、用途探索を進めていくとしている。

◆水素:住友ゴム工業が白河工場で水素の製造を開始(4月15日)
 住友ゴム工業は、タイヤ製造の主要拠点である白河工場で、次世代エネルギーとして期待される水素を製造する「やまなしモデルP2Gシステム」を導入し、4月より稼働を開始したことを発表した。
 これは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から助成を受け同システムの開発を統括してきた山梨県との合意のもと、同社が同システムを導入して活用を進めるものである。白河工場ではP2Gシステムを24時間稼働させることで年間最大約100トンの水素の製造が可能となり、輸送を含むサプライチェーン全体で年間約1000トンのCO2排出量削減につながる見込みである。
 P2Gシステムで製造されたグリーン水素は、従来の配達水素、系統電力、場内太陽光発電、既存燃料とともに白河工場における5つのエネルギー源の一つとして活用される。複数の電力源の組み合わせを最適化することで安定した操業を維持しながら、さらなる脱炭素化を推進する。
 同社は、やまなしモデルP2Gシステムを用いてグリーン水素を活用したタイヤ製造のノウハウを蓄積しながら、将来的には国内外の他工場への展開も視野に入れているとしている。

◆日揮グローバルがCO2の循環が可能となるポリプロピレンの製造に向けた共同検討を開始(4月14日)
 日揮ホールディングスは、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、日本ポリプロと、ポリプロピレンの製品ライフサイクルにおけるカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーへの対応のため、両社が保有する技術の融合を進め、CO2循環スキームの確立が可能となるポリプロピレン製造に向けた共同検討を開始したことを発表した。
 ポリプロピレンは原油や天然ガスなどの化石燃料を原料とすることが一般的で、製品の使用後、焼却時にCO2が発生するという課題がある。
 本共同検討では、CO2リサイクルによる資源循環可能なポリプロピレンの製造技術の構築に向けて、日揮グローバルおよび三菱ケミカルが共同で保有するメタノールからプロピレンを製造する「DTPプロセス」と、日本ポリプロが保有するプロピレンからポリプロピレンを製造する「JPP Horizoneプロセス」の融合に必要な検討を行う。これにより、水素とCO2から製造されるメタノールを原料にポリプロピレンを製造するプロセス全体の効率化を図ることで、製品ライフサイクルにおけるカーボンニュートラル、およびサーキュラーエコノミーの実現とプロセスの経済性向上を目指すとしている。

◆界面活性剤:三洋化成が常温の水に混ぜるだけでαゲルを形成するカチオン界面活性剤を開発(4月14日)
 三洋化成は、ヘアケア市場に新たな可能性を創出する粉末状カチオン界面活性剤『アルファピュールBC12』を開発したと発表した。
 同品は、常温の水と混合するだけで、優れたコンディショニング効果を発揮する「αゲル」を形成することが可能である。
 αゲルは、皮膚中の水分や油分を保持する役割を担う成分(細胞間脂質)と同様の構造を有する分子集合体であり、水分の蒸散を抑える保湿効果があるまた、高い増粘性を示すため、化粧品やヘアケア製品において、製剤の粘性調整に使用され、リッチで濃厚な使用感を付与することが可能である。
 アルファピュール BC12は、高いコンディショニング効果で知られるカチオン界面活性剤「ベヘントリモニウムクロリド」と、αゲルの形成と安定に寄与する高級アルコール「セテアリルアルコール」を独自の技術で粉末化したもので、常温の水と混合するだけでαゲルを形成し、加熱・冷却プロセスを不要とする。
 今後、さらなる市場認知を図り、新たなビジネスパートナーとの連携を推進することで、ヘアケア市場の持続可能な成長と多様な製品開発の可能性を広げることを目指すとしている。

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