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2025年1月23日

2025.01.23 発行

HEADLINE

◆有機:三井化学と三菱ケミカルがフェノール関連製品の安定供給に向けた共同検討を開始(1月17日)
◆樹脂:カネカが塩化ビニル樹脂の生産体制を再構築(1月15日)
◆電子材料:セントラル硝子が先端半導体向けエッチングガスCEG39Aの量産を開始(1月16日)
◆電子材料:セントラル硝子がクライオエッチング技術対応ガスの販売および開発体制を強化(1月16日)
◆CO2対策:千代田化工建設が積水化学工業向けCO2→CO変換プラントのEPC業務を受注(1月16日)
◆フィルム:大日本印刷がミニLEDディスプレイ向けにLED素子の映り込みを抑える光拡散フィルムを開発(1月16日)
◆電子材料:三洋化成工業が次世代AR/VR 光学デバイスの進化を支える優れた耐光性と高屈折率を両立するナノインプリント
 用UV硬化樹脂を開発(1月16日)
◆ガラス:日本板硝子が米国で太陽電池パネル用ガラス生産設備の稼働を開始(1月16日)
◆電子材料:日本電気硝子が大型パネルサイズのガラスセラミックスコア基板を開発(1月15日)
◆樹脂:東亞合成が塩化ビニル樹脂の受託製造の終了を発表(1月15日)
◆レンズ材料:三井化学が高屈折率メガネレンズ材料の生産能力増強を決定(1月15日)
  
  

WEEKLY NEWS

◆有機:三井化学と三菱ケミカルがフェノール関連製品の安定供給に向けた共同検討を開始(1月17日)
 三井化学および三菱ケミカルは、フェノール関連製品の安定供給に向けた共同検討を開始したと発表した。
 フェノール関連製品には、フェノール、アセトン、アルファメチルスチレン、ビスフェノールA、メチルイソブチルケトンが含まれる。
 フェノール関連製品の事業環境は、2022年以降、中国を中心としたアジアでの新設備稼働に伴う大幅な供給過多による市況低迷や、国内需要の縮小などの影響を受け、厳しい状況となっている。
 三井化学は、2024年4月に市原工場のフェノールプラント(年産能力19万トン)について、2026年度までに停止することを自社判断として既に決定している。今後は大阪工場のフェノールプラント(年産能力20万トン)を軸に、フェノールチェーン形成を目指している。
 また、三菱ケミカルは、2024年3月に九州事業所ビスフェノールAプラント(年産能力12万トン)を自社判断で停止するなど、現在、あらゆる合理化施策を行いながら、事業の競争力強化に取り組んでいる。
 両社は、各社の定期修理期間中やトラブル発生時の製品供給対応、両社タンクの効率的な運用、および物流の合理化によるGHG削減などについて、共同で検討していく。今後、両社は外部環境の変化に柔軟に対応しつつ、フェノール関連製品の安定供給に努めるとしている。

◆樹脂:カネカが塩化ビニル樹脂の生産体制を再構築(1月15日)
 カネカは、東亞合成との塩化ビニル樹脂の製造委託契約を2025年12月末に終了し、自社にて最有利に生産する体制を再構築することを決定したことを発表した。
 同社は、塩化ビニル樹脂の生産拠点である高砂工業所(兵庫県)、鹿島工場(茨城県)の能力増強を行い、今後は委託生産分を自社から安定的に供給を継続するとしている。

◆電子材料:セントラル硝子が先端半導体向けエッチングガスCEG39Aの量産を開始(1月16日)
 セントラル硝子は、微細化が進む先端半導体(2nm世代以降)の製造工程にて使われるエッチングガス(以下、CEG 39A)を、2024年12月より宇部工場(山口県)にて量産体制を整え、ロジック半導体用途向けに本格販売を開始したと発表した。
 先端半導体の構造は微細化がさらに進み、より複雑な3次元構造へと進化している。同社が新規開発した「CEG 39A」は、2nm世代以降の「Gate All Around(以下、GAA)」と呼ばれるトランジスタ構造に適応したエッチングガスであり、既存ガスの5倍以上の選択比を有していることから、加工精度制御に優れ、かつ2倍以上の加工速度を実現している。
 また、地球温暖化係数(GWP)はゼロ、PFASフリーのガスであるため、環境負荷を大幅に低減することも可能としている。

◆電子材料:セントラル硝子がクライオエッチング技術対応ガスの販売および開発体制を強化(1月16日)
 セントラル硝子は、エッチングガスとして販売している超高純度フッ化水素ガス(純度>99.999%、以下、HFガス)を、極低温でエッチングする「クライオエッチング技術」(以下、クライオ技術)向けに品質改良し、販売を開始するとともに、クライオ技術向けの次世代エッチングガスの開発体制を強化すると発表した。
 近年、AIの普及等を支える大容量の半導体メモリデバイスの製造技術において、大手半導体装置メーカーにてクライオ技術が開発され、大きな技術革新として注目を集めている。今回新たに採用されたHFガスは、装置メーカーやデバイスメーカーのニーズに合わせ、精製が困難とされるガス状HFの超高純度化技術を用い品質改良を重ねることにより、クライオ技術への対応を実現した。また、HFガスは地球温暖化係数(GWP)ゼロ、PFASフリーであり、環境負荷を大幅に低減することも可能となる。
 同社は、同技術に対応したHFガスを大手装置メーカーに評価用として長期にわたり提供しており、現在すでに国内外の複数のクライオ技術導入予定の大手半導体メーカーへの量産採用が決定している。また、量産需要が急速に立ち上がる2026年を目標に、同社宇部工場(山口県)において、HFガスの生産能力2倍以上(数百トン)に引き上げる増産投資も検討するとしている。

◆CO2対策:千代田化工建設が積水化学工業向けCO2→CO変換プラントのEPC業務を受注(1月16日)
 千代田化工建設は、積水化学工業より、CO2→CO変換プラント(中型試験機)のEPC業務を受注したことを発表した。
 同案件は、二酸化炭素を一酸化炭素へ90%以上の高効率で変換する技術(ケミカルルーピング反応技術)を用いたCO2処理プラントのEPCであり、積水化学工業が採択された、NEDOのGI基金事業/バイオモノづくり技術による「バイオものづくり技術によるCO2直接原料とした高付加価値化学品の製品化」の研究開発に活用される。
 一酸化炭素はカーボンニュートラル化に向けた各種技術の展開において重要な原料の一つであり、今後の需要増大が見込まれている。千代田化工建設は積水化学工業が開発する「ケミカルルーピング反応技術」が画期的なCO製造プロセスであると認識しており、積水化学工業が計画するEPC業務以降の社会実装に向けた各種展開についても積極的に協力を行っていくとしている。

◆フィルム:大日本印刷がミニLEDディスプレイ向けにLED素子の映り込みを抑える光拡散フィルムを開発(1月16日)
 大日本印刷は、低消費電力で鮮やかな画面を実現するミニLED(発光ダイオード)のバックライト向け光拡散フィルムを開発したことを発表した。
 近年、次世代ディスプレイとして、ミニLEDやマイクロLEDが注目されている。ミニLEDは、直径100〜300μmほどのLEDが高密度にパネル基盤に実装されたもので、高い輝度による鮮やかな画質と低消費電力性能が特長である。一方でミニLEDは、パネル基盤に高密度に配置したLEDの素子(ドット)が、人の目では見えやすいため、拡散板や特殊な印刷パターンを活用して映り込みを減らしていた。その際、厚みのある拡散板を使用すると光の透過率が低く、消費電力量が増えるという課題があった。
 本フィルムは、特定の光の波長を透過・反射をする誘電体多層膜と光を屈折させる超微細なプリズムの賦形で構成されており、誘電体多層膜で、直線の光は透過させず、設計された入射角度の光だけを透過させる。これにより、拡散板を使わずに、同等の輝度とLEDの素子(ドット)の映り込みを抑えることが可能となり、ディスプレイの厚みや重量の低減ができる。
 同社は、ミニLED向けに本フィルムを提供するほか、今後拡大が見込まれるマイクロLEDなどの次世代ディスプレイに向けて本フィルムの技術の展開を目指すとしている。

◆電子材料:三洋化成工業が次世代AR/VR 光学デバイスの進化を支える優れた耐光性と高屈折率を両立するナノインプリント用UV硬化樹脂を開発(1月16日)
 三洋化成工業は、次世代AR(拡張現実)/VR(仮想現実)光学デバイスの進化を支える新しいナノインプリント用UV硬化樹脂『HILUCIS(ハイルシス)』を開発したことを発表した。
 ナノインプリント技術は、ナノスケールの微細パターンを樹脂に転写する加工法で、フラットパネルディスプレイやスマートフォンのカメラ、AR/VR 用グラス、顔認証や自動運転用のセンサーなど、様々な光学デバイスに広く活用されている。これらの光学デバイスには光の伝播、集光、分散、回折を担う導波路や回折格子などの光学部品が用いられており、これらの光学部品にはガラスや樹脂が使用されている。
 開発品は、可視光領域での高い透明性とナノインプリント適性を兼ね備えつつ、優れた耐光性と高屈折率(屈折率nd=1.9)を両立した樹脂である。
 この両立は、特殊な無機フィラーと、長年培ったディスプレイ用UV硬化樹脂の設計技術の融合により実現した。『HILUCIS』は、光学デバイスの設計自由度を高め、視野角の拡大、光制御性能の最適化、ならびに光学デバイスの信頼性向上に貢献するとしている。

◆ガラス:日本板硝子が米国で太陽電池パネル用ガラス生産設備の稼働を開始(1月16日)
 日本板硝子は、米国で太陽電池パネル用透明導電膜(以下、TCO)ガラス生産設備の新設工事が完了し、火入れ式を実施したことを発表した。
 本設備はNSGグループ会社のPilkington North Americaの米国オハイオ州ロスフォード工場にある既存のフロート窯を転換したものである。
 NSGグループは、世界の太陽光発電分野をリードする米国・ファーストソーラー社と長期にわたる戦略的パートナーシップを有しており、この投資は、ファーストソーラー社の拡大戦略に沿ったものである。
 NSGグループのTCOガラスは、フロート板ガラスを製造する際にガラス表面に透明導電膜を形成するオンラインコーティング技術で製造されており、幅広い用途で使用できる強い膜耐久性を持つと同時に、コスト競争力のあるガラスを大量に生産することが可能である。本設備にて、2025年3月より太陽電池パネル用TCOガラスの生産を開始する予定としている。

◆電子材料:日本電気硝子が大型パネルサイズのガラスセラミックスコア基板を開発(1月15日)
 日本電気硝子は、基板の大型化が求められる次世代半導体パッケージ向けに、515x510mm大型パネルサイズのガラスセラミックスコア基板「GCコア」を開発したことを発表した。
 近年、データセンターの需要や、生成AIの普及に伴い、これらに使用される半導体にはさらなる高性能化が求められている。これに対応するためには、チップレットにより、複数のチップを一つのパッケージに収める必要があり、そのために基板の大型化が必要である。また、半導体の性能向上のために基板に搭載するチップの大型化が進んでおり、これら大規模なチップをより効率的に配置するためにも、大型の基板が必要である。
 このような課題に対し、ガラス粉末とセラミックス粉末の複合材を用いたGCコア(300mm角)基板を開発し、半導体メーカーに提案してきた。
 今回、多くの半導体の製造プロセスにおいて採用されている515×510mm角の大型パネルサイズのGCコア基板を開発したことにより、半導体メーカーで現在使用している設備を利用することができ、設備投資を抑えることが可能になるとしている。

◆樹脂:東亞合成が塩化ビニル樹脂の受託製造の終了を発表(1月15日)
 東亞合成は、2025年12月をもって、塩化ビニル樹脂の受託製造を終了し、川崎工場の関連設備を停止することを発表した。
 同社の塩化ビニル樹脂の製造販売事業は、1952年に塩化ビニルモノマーの量産設備を名古屋工場に建設し、販売を開始した。2011年には国内需要減少に伴い、塩化ビニルの販売事業から撤退したが、川崎工場で受託製造を継続してきた。
 現在、同社は収益性の高い高機能製品の拡充に向けた研究開発と設備投資に注力し、ポートフォリオマネジメントの強化に取り組んでおり、今回の塩化ビニル樹脂の受託製造事業からの撤退はその一環である。今後、経営資源の最適化をはかることで、新たな高機能製品の拡充に注力していくとしている。

◆レンズ材料:三井化学が高屈折率メガネレンズ材料の生産能力増強を決定(1月15日)
 三井化学は、高屈折率メガネレンズ材料(MR)の生産能力増強を決定したことを発表した。
 同社は、高屈折率メガネレンズ材料ブランドMRをはじめ、数多くのレンズ材料やコーティング材料等を生み出し、バリューチェーン全体でソリューションを提供している。
 高屈折率メガネレンズの需要は、世界人口・近視人口の継続的な増加、アジアでの高機能品を求める層の拡大、北米でのポリカーボネート素材からの置き換え需要などから長期的に成長する見込みである。
 同社は2024年にもMRの生産能力の増強を完了したが、さらなる需要拡大を見据え、大牟田工場(福岡県)にてプラントの新増設を実施する。新プラントは、2028年上期に商業運転を開始する予定としている。

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