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2024年4月4日

2024.04.04 発行

HEADLINE

◆電子材料:レゾナックがAI半導体向け材料の生産能力を拡大(3月29日)
◆バイオ:帝人目黒研究所がプロバイオティクス事業を拡大(3月29日)
◆複合材料:東ソーがスカイプレンCNF複合化新規グレードの販売を開始(3月29日)
◆リサイクル:レゾナックが半導体材料の製造過程で生じる廃棄物を半導体ガス原料にすることを検討(3月28日)
◆非鉄金属:三井金属がレアメタル新溶液材料シリーズのiconosを開発(3月28日)
◆リサイクル:住友金属鉱山がリチウムイオン二次電池リサイクルプラントの建設を決定(3月28日)
◆エチレン:出光興産と三井化学が「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討を開始(3月27日)
◆樹脂・フィルム:クレハが中国におけるフッ化ビニリデン樹脂の製造設備の増強計画の中止および業務用食品包装材事業
 における熱収縮多層フィルム事業の撤退を発表(3月27日)
◆電子材料:大日本印刷が 2ナノメートル世代のEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスの開発を加速(3月27日)
◆フィルム:TOPPANがインドでサステナブル包材に対応するOPP基材バリアフィルム「GL-SP」の生産を開始(3月27日)
◆樹脂:クラレがシンガポールでEVOH樹脂の生産プラント建設を決定(3月26日)
◆リサイクル:AGCが太陽光パネルカバーガラスのリサイクル実証試験に成功(3月25日)
◆価格改定
・サカタインクスがパッケージ印刷用インキを4月11日出荷分より値上げ
・東ソーがポリエチレン樹脂を4月21日納入分より値上げ
・タキロンシーアイがプラスチックジッパー「サンジップテープ」を4月22日出荷分より値上げ
・東レがABS樹脂を4月25日出荷分より値上げ
・大倉工業が合成樹脂製品全般を5月1日出荷分より値上げ
・関西ペイントが工業用塗料・シンナーおよび自動車補修用塗料・シンナーを5月1日より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:レゾナックがAI半導体向け材料の生産能力を拡大(3月29日)
 レゾナックは、AI半導体などの高性能半導体向け材料の生産能力を従来の3.5~5倍に拡大すると発表した。
 増設するのは絶縁接着フィルム(以下NCF)、及び放熱シート(以下TIM)で、既に高性能半導体向けに採用されている。今回の投資金額は約150億円を計画し、2024年以降順次稼働開始を予定している。AI半導体市場は2027年に2022年の2.7倍に拡大すると予想されており、同社はタイムリーに生産能力を拡大させ、市場での優位性をさらに強固にする。
 NCFは、HBMメモリーを、接続しながら多段積層するために使用され、サブミクロン単位の厚み精度が要求される。一方、TIMは、高性能半導体の放熱用に使用され、熱伝導性と、繰り返しの温度変化に耐える信頼性、及びチップと冷却器の微小な凹凸に密着する柔軟性が求められる。
 近年、後工程で複数のチップを高密度に実装し、高機能化を実現する2.xD、3Dパッケージがキーテクノロジーとなっている。今後、同社は、パッケージングソリューションセンター(PSC)及びJOINT2コンソーシアムを活用して、次世代に向けた半導体パッケージ材料の研究開発を推進するとしている。

◆バイオ:帝人目黒研究所がプロバイオティクス事業を拡大(3月29日)
 帝人グループで納豆菌や乳酸菌などのプロバイオティクス製品の製造・販売を 展開する帝人目黒研究所は、2023年12月に事業譲渡契約を締結した天野エンザイムの乳酸菌、およびビフィズス菌事業 について、4月1日より順次販売開始すると発表した。
 帝人目黒研究所は、1968年から納豆菌BN株を販売しており、同社の納豆菌は医薬品やサプリメント、飼料の原料として、多くの医薬品・食品・飼料メーカーに採用されている。今回の事業譲受によって、乳酸菌のラインナップの拡張、およびビフィズス菌をラインナップすることにより、これまで以上に顧客の要望に応えることが可能となった。
 今後、同社は、これまで展開してきた納豆菌 BN 株の生菌体と、その加熱殺菌体「モルビオ納豆菌」、および乳酸菌 BIO 株と今回の製品群を組み合わせることで、さらなる高付加価値化を目指していくとしている。

◆複合材料:東ソーがスカイプレンCNF複合化新規グレードの販売を開始(3月29日)
 東ソーは、クロロプレンゴム「スカイプレン」にセルロースナノファイバー(以下、CNF)を複合化した新グレード「SGシリーズ」を開発し、バンドー化学に伝動ベルト用材料として採用され、販売を開始したと発表した。
 CNFは鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を有するバイオマス由来の高性能素材であり、CO2を主とした温室効果ガス排出削減に繋がることから、カーボンブラックなどの化石燃料由来のゴム補強材の代替材料として期待されている。
 混練などの従来プロセスでは、CNFはゴム材料への混合が難しいことが技術的な課題とされていたが、「SGシリーズ」では、独自技術によりCNFをクロロプレンゴムへナノレベルで均一に分散させており、CNFの持つ補強効果をゴム材料へ応用することを可能としている。
 同社は幅広い産業での社会実装に向けて用途拡大のための顧客提案を引き続き進め、さらなる量産に向けた製造技術開発を加速させ、大規模生産体制の確立を目指すとしている。

◆リサイクル:レゾナックが半導体材料の製造過程で生じる廃棄物を半導体ガス原料にすることを検討(3月28日)
 レゾナックは、半導体材料の製造過程で生じる使用済みプラスチックを自社のケミカルリサイクル技術を活用して水素や炭酸ガスに換え、資源として循環させる検討を開始すると発表した。
 同社は今年1月末に初回の実証試験を行い、技術的に問題なくガス化できることを確認した。今回試験に使用した使用済みプラスチックは、山崎事業所の感光性フィルムと、五井事業所のダイボンディングフィルムの製造過程から発生したものである。試験では使用済みプラスチックをRPFに加工後、川崎プラスチックケミカルリサイクル事業で分子レベルまで分解し、水素及び炭酸ガスを生成した。水素はアンモニアの原料として利用され、炭酸ガスは大気中に放出されることなく、ドライアイスや飲料用炭酸として再利用される。
 同社は今後、同実証実験について、対象の事業所を増やし効果や事業性をさらに調査していく予定としている。

◆非鉄金属:三井金属がレアメタル新溶液材料シリーズのiconosを開発(3月28日)
 三井金属は、Ta、Nbをはじめとするレアメタルの新溶液材料シリーズ「iconos(イコノス)」を開発したと発表した。
 レアメタルのTa、Nbなどは溶けにくい特性(難溶性)を有しており強酸以外に溶解しないため取扱いが難しく、粉体での取扱いが主流となっている。今回、同社は独自の溶解技術により難溶性というハードルをクリアし、強酸を用いずにTa、Nb化合物の溶液化に成功したことを皮切りに、各種元素の溶液材料シリーズを開発した。製品ラインナップは、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Hf(ハフニウム)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)であり、Ta、Nb、Mo、Wは、Li(リチウム)との混合液も可能である。
 同製品は液体であることから、混合や塗布などの取り扱いが容易で、かつ非常に反応性が高いという利点があり、より低いエネルギーでの加工や製造プロセスの短縮が可能である。
 同社はiconosの特徴を生かした様々な展開を検討しており、今までにない機能性材料として、粉体では実現できなかった新用途への展開や顧客の省エネ・プロセス短縮による環境負荷低減に貢献していくとしている。

◆リサイクル:住友金属鉱山がリチウムイオン二次電池リサイクルプラントの建設を決定(3月28日)
 住友金属鉱山は、東予工場(愛媛県西条市)とニッケル工場(愛媛県新居浜市)内に、使用済みのリチウムイオン二次電池(LIB)などから銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収するリサイクルプラントを建設することを決定したと発表した。
 また、本プラントの建設にあわせて、使用済みLIBリサイクルのサプライチェーン構築に向けたパートナーシップ協定を、主要リサイクル事業者各社と締結し、これを契機に、各社と協力しながら使用済みLIB集荷体制に関する検討を加速させる。
 今回のLIBリサイクルプラントでは、ブラックマスを主原料に乾式工程(東予工場内)と湿式工程(ニッケル工場内)の組み合わせにより不純物含有量の多い使用済みLIBも効率的に処理することが可能である。今後予想される使用済みLIB の発生量増加への対応や、2023年8月に発効された欧州電池規則で定められるメタル回収率・リサイクル材含有率への対応を見据えた設計としている。
 プラント建設は2024年度中に開始し、2026年6月の完成を予定している。設備の能力(原料処理量)はLIBセル換算で年間約1万トンの計画としている。

◆エチレン:出光興産と三井化学が「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討を開始(3月27日)
 出光興産と三井化学の両社は、これまでの連携を一歩進め、更なる既存事業の競争力強化を目的として、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討を開始することに合意したことを発表した。
 出光・三井の両社は、2010年にLLP制度の活用による千葉ケミカル製造有限責任事業組合を設立し、千葉地区にて両社が保有するエチレン装置の運営統合を行った。これにより、原料選択、装置稼働の最適化や留分の高付加価値化、共同合理化投資等、単独では実現できないシナジーを徹底的に追求してきた。一方で、中国を中心とした大型石化装置の新増設と国内エチレン需要減衰により、日本のエチレン装置は低稼働を余儀なくされる状況が続いている。加えて、世界的にカーボンニュートラル社会の実現が推進される中、CO2の排出量削減および資源循環を目指した次世代のコンビナート構築に向けた検討の加速化が強く求められている。
 装置集約後の事業形態としては、LLPもしくは合弁会社等にて三井装置の共同運営を想定している。今後は両社でフィージビリティスタディを行い、集約時期(2027年度を目途)を含め協議・決定の予定としている。

◆樹脂・フィルム:クレハが中国におけるフッ化ビニリデン樹脂の製造設備の増強計画の中止および業務用食品包装材事業における熱収縮多層フィルム事業の撤退を発表(3月27日)
 クレハは、中国常熟市の呉羽(常熟)フッ素材料によるフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)の設備増強計画を中止することを発表した。また、欧州、豪州を中心に展開してきた業務用食品包装材事業における熱収縮多層フィルム事業の撤退についても発表した。
 PVDFは、リチウムイオン二次電池(以下「LiB」)用バインダーおよび一般産業用エンプラとして使用されている。近年、車載用LiB向け需要が拡大したことなどから、2021年7月に中国常熟市でのPVDF製造設備の増強を決定した。しかし、中国国内の環境政策変更によるスケジュールの遅延が生じたこと、および米国インフレ抑制法の成立によるLiB市場環境に関する変化が生じたことから、同社いわき事業所(福島県)でのPVDF製造設備の増強を決定した。同社の見通しでは、いわき事業所での増強により当面の需要に対応できることなどから、中国でのPVDF製造設備の増強計画中止の判断に至った。なお、中国常熟市にある既存のPVDF製造設備は、主に中国および欧州向けとして生産を続けていくとしている。
 また、欧州を中心に展開を続けてきた熱収縮多層フィルム事業では、自社原料を使用しない差別化された製品開発の難しさや、欧州のインフレによるコストの増加などにより、継続的な収益性の悪化が見込まれることから、事業撤退の手続きを開始している。今後当該事業は、自社原料であるPVDCを活用した業務用食品包装材事業に特化することで資本効率の改善を図るとしている。

◆電子材料:大日本印刷が 2ナノメートル世代のEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスの開発を加速(3月27日)
 大日本印刷は、半導体製造の最先端プロセスのEUV(極端紫外線)リソグラフィに対応した、2ナノメートル(nm)世代のロジック半導体向けフォトマスク製造プロセスの開発を本格的に開始したことを発表した。
 近年、最先端のロジック半導体ではEUV光源を用いるEUVリソグラフィによる生産が進んでいる。同社は、2023年に、3nm世代のEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスの開発を完了し、2nm世代の開発を開始した。
 今回さらなる微細化のニーズに応え、2024年度中には、2台目と3台目のマルチ電子ビームマスク描画装置を稼働させるなど、2nm世代のEUVリソグラフィ向けフォトマスク製造プロセスの開発を本格化していく。また、2nm世代以降を見据えた開発にも着手しており、ベルギーの国際研究機関imecと次世代EUV向けフォトマスクの共同開発に関する契約を締結している。
 同社は、2025年度までに、EUVリソグラフィに対応した2nm世代のロジック半導体向けフォトマスクの製造プロセスの開発を完了し、2026年度以降は、2027年度の量産開始に向けて、生産技術の確立を進めていくとしている。

◆フィルム:TOPPANがインドでサステナブル包材に対応するOPP基材バリアフィルム「GL-SP」の生産を開始(3月27日)
 TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANとインドを拠点とするTOPPAN Speciality Films(以下TSF)は、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)を基材とするバリアフィルム「GL-SP」を開発し、生産・販売を開始すると発表した。
 TOPPANとTSFは、本製品を世界トップクラスのシェアを誇るTOPPANグループの透明蒸着バリアフィルムブランド「GL BARRIER」シリーズのサステナブル包材対応新ラインアップとして、欧米、インド、ASEAN諸国等を中心に、乾燥内容物向けに2024年4月から提供を開始する。
 本製品は、サステナブル包材向けに需要の高まるOPPを基材とし、乾燥内容物の包装用途に適した高い水蒸気バリア性(防湿性)と酸素バリア性、内容物の可視化を実現する透明性、またプラスチック使用量削減に貢献する薄膜化などの特長を実現し、多様な市場の特性にあわせ提供していく。
 TOPPANグループは、2024年4月よりサステナブル包材への関心が高い欧米をはじめ、インド、ASEAN諸国を中心に販売やサンプル出荷を開始し、2025年度までに海外パッケージ関連事業で売上高1,500億円を目指すとしている。

◆樹脂:クラレがシンガポールでEVOH樹脂の生産プラント建設を決定(3月26日)
 クラレは、シンガポール現地法人のKuraray Asia Pacific内に EVOH樹脂(以下、エバール)の生産プラントを建設することを決定したと発表した。
 エバールは、ガスバリア性を有する機能性樹脂である。同製品は、酸素などの気体を通しにくく、内容物の劣化を防ぐことから食品包装用途に広く使われており、フードロス削減に貢献している。また、近年循環型経済の観点による食品包装用途の環境配慮型製品のニーズの高まりから、リサイクル可能な包装材料へのシフトが望まれている。特に欧米ではポリオレフィンのリサイクルを妨げないバリア材として同製品の引き合いが増えているため、需要は世界的に拡大していくと見込んでいる。
 今回建設する生産プラントの能力は年産18千トンで、前工程は将来の増設を視野に年産36千トン能力にて建設、後工程は2期に分け、今回1期分を実施する。投資額は410百万米ドル、稼働時期は2026年末の予定としている。

◆リサイクル:AGCが太陽光パネルカバーガラスのリサイクル実証試験に成功(3月25日)
 AGCは、太陽光パネルのカバーガラス(以下、カバーガラス)を原料としたフロート板ガラス製造の実証試験に、日本で初めて成功したと発表した。
 本試験は、3月18日にAGC鹿島工場フロート板ガラス製造窯にて行われた。今回使用されたカバーガラス約5トンは、トクヤマ社の低温熱分解技術を用いて精製・供給された。
 太陽光パネルは耐用年数が20~30年とされ、2030年代後半より年間数十万トンが廃棄されると見込まれている。このうちカバーガラスは重量全体の約6割を占めているが、カバーガラスにはガラスの透過率を高める成分が含まれ、これによりフロート板ガラスへのリサイクルは困難とされてきた。本試験の成功を受けて、生産量の多いフロート板ガラスが、廃棄カバーガラスの水平リサイクルの受け皿となることが期待されるとしている。

◆価格改定
・サカタインクスがパッケージ印刷用インキを4月11日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、グラビア・フレキソインキ:10%以上
 添加剤・硬化剤:10%以上
・東ソーがポリエチレン樹脂を4月21日納入分より値上げ
 値上げ幅は、10円/kg以上
・タキロンシーアイがプラスチックジッパー「サンジップテープ」を4月22日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・東レがABS樹脂を4月25日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、35円/kg以上
・大倉工業が合成樹脂製品全般を5月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・関西ペイントが工業用塗料・シンナーおよび自動車補修用塗料・シンナーを5月1日より値上げ
 値上げ幅は、5%~15%(製品によっては、改定率が上下することがある)

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