【2023年9月の分譲マンション市況】
2023年9月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給戸数は、2,485戸で、前年同月(2,727戸)に比べ▲8.9%の減少。2か月連続で前年同月を下回った。エリア別では、神奈川県(580戸/▲31.5%)、埼玉県(147戸/▲61.0%)で大幅な減少。一方、東京23区(1,019戸/+11.5%)、都下(391戸/+54.5%)、千葉県(348戸/+11.9%)では大幅に増加した。
平均契約率は71.5%で、3か月連続で70%を上回った。一方、前年同月(69.2%)比では+2.3ポイント上昇。エリア別では、都下(89.3%/+30.4pt)、神奈川県(79.0%/+0.1pt)、千葉県(74.1%/+8.5pt)で70%を上回った。一方、東京23区(63.9%/▲8.0pt)、埼玉県(40.8%/▲8.3pt)では70%を下回った。
平均価格は6,855万円で、前年同月(5,947万円)に比べ+15.3%の大幅な上昇。7か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、東京23区(8,865万円/+18.5%)、神奈川県(5,978万円/+11.0%)、千葉県(4,944万円/+16.2%)で大幅な上昇。一方、都下(5,439万円/▲2.9%)、埼玉県(4,674万円/▲12.3%)では低下した。
平均面積65.35㎡で、前年同月(65.11㎡)に比べ+0.4%とほぼ横ばい。千葉県(71.67㎡/+11.8%)で大幅な拡大。その他のエリアは、東京23区(60.94㎡/+1.2%)、都下(68.82㎡/+1.6%)でやや拡大。一方、神奈川県(66.31㎡/▲2.6%)、埼玉県(68.02㎡/▲1.0%)ではやや縮小した。
平均坪単価は@346.8万円/坪で、前年同月(@301.9万円/坪)に比べ+14.9%の大幅な上昇。平均価格同様、7か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、東京23区(@480.9万円/坪/+17.1%)、神奈川県(298.1万円/坪/+14.0%)、千葉県(228.0万円/坪/+4.0%)で上昇。一方、都下(261.3万円/坪/▲4.4%)、埼玉県(227.1万円/坪/▲11.4%)では低下した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(36.8ポイント)は、前月(37.2ポイント)から低下(▲0.4ポイント)。加えて、当月の「耐久消費財の買い時判断」(29.2ポイント)も、前月(29.7ポイント)から低下(▲0.5ポイント)した。2か月連続で消費者態度指数を構成する4項目(雇用環境/耐久消費財の買い時判断/暮らし向き/収入の増え方)がそろってマイナスとなった。消費者態度指数の動きから見た当月の消費者マインドの基調判断は、前月の「改善に向けた動きがみられる」という表現が下方修正され、「改善に向けた動きに足踏みがみられる」となった。判断の引き下げは2022年11月以来、10か月ぶり。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(31,857円/最終取引日終値)は、前月(32,619円/同)から低下。新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がりはじめた2020年1~3月以来、約3年半ぶりの3か月連続の低下で、今年最大の下落率となった。
当月前半は32,000円台で推移。その後、当月中旬にかけて上昇し、15日に3万3,533円09銭とバブル後高値に迫り20日まで33,000円台で推移した。13日に発表された米消費者物価指数(CPI)が市場のほぼ想定内の内容で金融引き締めへの過度な警戒感が後退したことや、中国の8月の経済指標が良好な内容で米中の景気に対する不安感が和らいだことが日本株に追い風となった。
しかし、当月下旬は、中旬の上昇基調から一転。21日以降は33,000円を下回り、最終的に31,000円台後半で当月の取引を終えた。背景には、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀会合などの結果公表を前に、中旬まで好調だった日本株に利益確定などの売りが出た。さらに、ニューヨーク原油先物相場が約1年1か月ぶりに一時1バレル=95ドル台の高値をつけたことも米金融引き締めの長期化懸念につながった。
<供給戸数>
当月の供給戸数(2,485戸)は、前年同月を9%弱下回った。当月は、総戸数150戸以上の新規発売物件が4物件・536戸供給され、新規発売は好調(+25.0%)だったものの、継続物件の販売が低調だった。エリア別では、豊島区・足立区でタワー物件の販売が始まった「東京23区」(+11.5%)、大型・大規模物件の販売がスタートした「都下」(+54.5%)と「千葉市」(+119.7%)、継続物件のまとまった供給があった「川崎市」(+161.9%)による増加が全体に寄与した。「東京23区」は2か月ぶりの1,000戸超で、3か月連続で前年同月を上回っている。「都下」も4か月連続で前年同月を上回っている。
一方、「川崎市」以外ではまとまった供給がみられず、大幅減となった「神奈川県」(▲31.5%)と、新規発売物件が1物件・30戸に留まった「埼玉県」(▲61.0%)の減少分が大きく、全体の供給減に繋がった。「神奈川県」と「埼玉県」は5か月連続で前年同月を下回っている。
なお、当月の供給戸数は2020年9月(3,074戸)比▲19.2%、2021年9月(2,701戸)比▲8.0%。当月は過去3年と比較していずれも減少している。
<平均契約率>
当月の平均契約率(71.5%)は3か月連続で70%を上回った。新規発売が好調だった「都下」(89.3%)と「千葉県」(74.1%)、供給シェアの23%を占める「神奈川県」(79.0%)が高契約率で全体を押し上げた。「都下」は2か月連続で80%を上回った。
一方、「埼玉県」(40.8%は売れ行きが鈍かった。当年は「千葉県」が概ね70~80%台で好調に推移しているのに対し、「埼玉県」は40~70%台と浮き沈みが大きく対照的な様相を呈している。「千葉県」は前月久々に70%を下回ったが、当月は販売好調な新規物件が寄与し、70%超に戻った。なお、「東京23区」(63.9%)は3か月ぶりに70%を下回った。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(6,855万円)と平均坪単価(@346.8万円/坪)は、前年同月より大幅に上昇。当月は当年新規発売された、@1,000万円/坪超の「三田ガーデンヒルズ」(全1,002戸)、「WORLD TOWER RESIDENCE」(全389戸)の継続販売はなく、前月に続き従前の水準。当月は価格の水準の高い東京23区の供給シェアが41.0%と、前年同月の同33.5%から大幅に高まったことが、当月の価格・坪単価の大幅上昇の要因である。なお、全体の@500万円/坪以上の供給割合は、供給戸数の10.1%(252戸)と、前年同月の同11.6%(317戸)とほぼ同水準だった。
エリア別の坪単価は、「東京23区」(+17.1%)は3か月連続、「千葉県」(+4.0%)は8か月連続で上昇している。「神奈川県」(+14.0%)は2か月ぶりに上昇した。
一方で、「都下」(▲4.4%)は2か月連続、「埼玉県」(▲11.4%)は4か月連続で低下している。
<平均面積>
当月の平均面積(65.35㎡)は、前年同月とほぼ横ばい。平均専有面積60㎡以下の供給割合についても、供給戸数の23.5%(584戸)と、前年同月の同21.2%(578戸)と大きな変化はなかった。
【総括】
当月の供給戸数は前年同月と比べて250戸程減少。当月は秋商戦を迎え、前年後半の着工増加分が新規物件として販売を開始。東京23区・都下・千葉県で総戸数150戸以上の大型・大規模物件の販売もスタートし、新規物件の発売戸数は前年同月を大きく上回った。向こう数か月の新規供給増も期待される。ただし、継続物件の契約率は2か月連続で60%台前半に留まるなど売れ行きは芳しくないため、結果として販売戸数も伸びず、前年同月には届かなかった。
当月は@1,000万円/坪超の供給はなかったが、価格・坪単価の上昇傾向は続いている。2023年1~9月の平均価格2億円超の超高額物件の供給は前年同期(182戸)の約7倍となる1,270戸に増加。各社、超富裕層の取り込みを図る。東急不動産は9月末、表参道に都内・高額物件を販売する販売拠点を開設。平均価格2億7,000万円超の「ブランズ自由が丘」(全24戸)をはじめ、2023年度中に4物件を販売する。超富裕層をターゲットとするのは分譲マンションだけではない。野村不動産は2024年1月に、2億円超ともなる高額建売戸建の販売拠点「プラウドシーズンギャラリー駒沢」(世田谷区)を開設。2025年までに10プロジェクトの販売を予定している。
<10月の供給見込み>
2023年10月は、約3,000戸の供給見込み。
【2023年8月の分譲マンション市況】
2023年8月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給戸数は、2,036戸で、前年同月(2,135戸)に比べ▲4.6%の減少。2か月ぶりに前年同月を下回った。エリア別では、神奈川県(302戸/▲10.4%)、埼玉県(270戸/▲46.2%)、千葉県(122戸/▲54.3%)で大幅な減少。一方、東京23区(853戸/+57.4%)、都下(295戸/+30.0%)で大幅に増加した。当月は茨城県(194戸)でもまとまった供給があった。
平均契約率は73.8%で、2か月連続で70%を上回った。一方、前年同月(75.6%)比では▲1.8ポイント低下。2か月ぶりに前年同月を下回った。エリア別では、東京23区(74.1%/▲0.1%)、都下(88.1%/+1.8%)、埼玉県(71.5%/▲4.2%)で70%を上回った。一方、神奈川県(59.9%/▲15.5%)、千葉県(60.7%/▲7.1%)は70%を下回った。
平均価格は6,260万円で、前年同月(5,642万円)に比べ+11.0%の大幅な上昇。6か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、東京23区(8,058万円/+10.2%)、千葉県(4,679万円/+11.8%)で大幅な上昇。一方、都下(5,512万円/▲10.8%)、神奈川県(5,493万円/▲10.0%)、埼玉県(4,519万円/▲4.4%)では低下した。
平均面積64.44㎡で、前年同月(66.76㎡)に比べ▲3.5%の縮小。都下(68.52㎡/+1.2%)以外のエリアは縮小した。その他のエリアは、東京23区(60.94㎡/▲2.0%)、神奈川県(60.18㎡/▲7.0%)、埼玉県(64.35㎡/▲0.9%)、千葉県(68.61㎡/▲1.5%)の縮小幅だった。
平均坪単価は@321.1万円/坪で、前年同月(@279.4万円/坪)に比べ+14.9%の大幅な上昇。平均価格同様、6か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、東京23区(@437.1万円/坪/+12.5%)、千葉県(@225.5万円/坪/+13.5%)で上昇した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(37.2ポイント)は、前月(38.2ポイント)から低下(▲1.0ポイント)。6か月ぶりに低下した。加えて、当月の「耐久消費財の買い時判断」(29.7ポイント)も、前月(31.0ポイント)から低下(▲1.3ポイント)した。当月は、9か月ぶりに指数を構成する4項目(雇用環境/耐久消費財の買い時判断/暮らし向き/収入の増え方)がそろってマイナスとなった。消費者態度指数は向こう半年間の消費者心理を示す。消費者は長引く物価高が続くとみており、その影響が当月の指数にも反映された。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(32,619円/最終取引日終値)は、前月(33,172円/同)から低下。2か月連続の低下となった。当月2日に32,707円69銭と前日比768円89銭下落。2022年9月中旬以来の下落幅となった。その後は、32,000円台で推移していたが、18日に31,450円76銭と6月1日以来の安値をつけた。月末にかけては4日連続で続伸し、32,000円台後半に回復。当月の取引を終えた。
市場関係者が夏季休暇に入り、商いが細る相場下で、米国の追加利上げへの警戒感や中国の景気への先行き懸念が日経平均に影響した。当月1日に米国市場の長期金利上昇に呼応して日本市場にも長期金利に上昇圧力がかかり、半導体関連などを中心に売られ日経平均も下落。当月17日には経営再建中の中国の不動産大手「恒大集団」が、米国で破産法の適用を申請。投資家のリスク回避姿勢から日本株売りにもつながった。25日には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演。過度な金融引き締めへの警戒感が後退し日本株が買われた。
<供給戸数>
当月の供給戸数(2,036戸)は、前年同月を5%弱下回った。当月は、総戸数150戸以上の新規発売物件が1物件(220戸)に留まるなど、新規発売が低調だった。エリア別でみても、新規発売が2物件・82戸に留まった「神奈川県」(▲10.4%)、前年同月は活況で反動減となった「埼玉県」(▲46.2%)、新規発売がなかった「千葉県」(▲54.3%)での減少幅が大きく、全体に影響した。一方で、東京23区(+57.4%)、都下(+30.0%)は大幅に増加。東京23区は前年同月が前年最低の542戸だったことから反動増となった。また、茨城県は前年同月比では▲25.4%の減少となるが、当月は継続物件のまとまった供給があり全体に寄与した。
「東京23区」は当年4~6月の1,000戸以下の水準に戻ったものの、2か月連続で前年同月を上回った。加えて、「都下」も3か月連続で前年同月を上回っている。他方、「神奈川県」と「埼玉県」は4か月連続で前年同月を下回っている。「千葉県」は7か月ぶりに前年同月を下回った。
なお、当月の供給戸数は2020年8月(2,153戸)比▲5.4%、 2021年8月(2,092戸)比▲2.7%。当月は過去3年と比較していずれも減少している。
<平均契約率>
当月の平均契約率(73.8%)は70%を上回った。新規発売が好調だった「東京23区」(74.1%)、当月唯一の大型物件の供給があった「都下」(88.1%)、供給シェアの9.5%を占める「茨城県」(83.5%)が高契約率で全体を押し上げた。「東京23区」は2か月連続で70%を上回った。「都下」は当年1月以来7か月ぶり、「埼玉県」(71.5%)は3か月ぶりに70%を上回った。
一方、「神奈川県」(59.9%)は2か月連続で70%を下回り、「千葉県」(60.7%)は2022年12月以来、8か月ぶりに70%を下回った。「千葉県」は当年初めて70%を下回った。当年は好調に推移していたが、当月は継続物件の売れ行きが鈍かった。来月以降、大型物件の新規発売がラインナップされている。一度低下した契約率が元に戻るのか、来月以降の推移を見守る必要がある。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(6,260万円)と平均坪単価(@321.1万円/坪)は、前年同月より大幅に上昇。当月は当年新規発売された、@1,000万円/坪超の「三田ガーデンヒルズ」(全1,002戸)、「WORLD TOWER RESIDENCE」(全389戸)の継続販売はなく、従前の水準に戻った。当月は価格の水準の高い東京23区の供給シェアは41.9%。前年同月は東京23区の供給シェアが25.4%に留まり、価格・坪単価が大きく低下していたことが当月の価格・坪単価の大幅上昇の要因である。なお、全体の@500万円/坪以上の供給割合は、供給戸数の12.3%(250戸)と、前年同月の同5.5%(117戸)から大幅に高まった。
首都圏全体の坪単価の上昇は継続しているが、当月はエリアによって差が出た。「東京23区」(+12.5%)は2か月連続、「千葉県」(+13.5%)は7か月連続で上昇している。一方で、「都下」(▲11.8%)は6か月ぶり、「神奈川県」(▲3.2%)は7か月ぶりに低下した。「埼玉県」(▲3.6%)は3か月連続で低下している。
<平均面積>
当月の平均面積(64.44㎡)は、前年同月より縮小。平均専有面積60㎡以下の供給割合が供給戸数の25.2%(513戸)と、前年同月の同19.8%(422戸)から大幅に拡大したためである。中でも当月は「50~60㎡未満」が258戸(全体の供給戸数の12.7%)と供給が多かった。
【総括】
当月の供給戸数は前年同月と比べてやや減少。例年8月は販売が谷間を迎える「夏枯れ」の時期。過去3年は2,000~2,100戸台であり、当月の供給は例年並みの水準と言える。ただし、当月の新規発売は例年と比べても棟数・供給戸数ともに少ない。大型・大規模物件の新規発売もわずかだった。一方で、当月は超高額物件の供給が少なく、前月高水準だった平均価格・平均坪単価は従前に水準に戻った。とはいえ、価格・坪単価は上昇傾向に変化はない。
ここにきて、現在の住宅ローン利用者の大半を占める変動金利の動向に注目が集まっている。日銀は前年12月以降、YCCの運用柔軟化など、長きに渡って続けてきた金融緩和策を修正してきた。ここまでの政策修正の影響は長期金利と連動する固定金利に留まり、これまでのところ、政策金利(短期金利)と連動する変動金利への影響は限定的だ。しかし、主に銀行間で取引される短期金利を抑え込む「マイナス金利政策」が解除されれば、変動金利への影響が大きくなりそうだ。早くても来春とみられていた「マイナス金利政策」の解除について、9月に報道機関が実施したインタビューで、日銀の植田総裁は「賃金と物価の好循環が自律的に回っていくかどうか、年末までに十分なデータがそろう可能性はゼロではない」と発言。当年10月、12月に実施される金融政策決定会合での「マイナス金利政策」の解除に含みをもたせた。ただし、「マイナス金利政策」の解除で短期金利が上昇したからといって、ただちに銀行各行の変動金利が跳ね上がるわけではない。各行で設定している優遇金利があるため、各行で対応に濃淡が出そうだが、今後の日銀の金融政策の動向が分譲マンションマーケットを左右しそうだ。
<9月の供給見込み>
2023年9月は、約2,500戸の供給見込み。
【2023年7月の分譲マンション市況】
2023年7月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給戸数は、3,123戸で、前年同月(2,982戸)に比べ+4.7%の増加。2022年9月以来、10か月ぶりに前年同月を上回った。エリア別では、東京23区(1,948戸/+50.5%)、都下(148戸/+68.2%)、千葉県(496戸/+124.4%)で大幅な増加。一方、神奈川県(372戸/▲58.2%)、埼玉県(159戸/▲66.9%)で大幅に減少した。
平均契約率は77.4%で、2か月ぶりに70%を上回った。加えて、前年同月(70.7%)比でも+6.7ポイントの大幅な上昇。4か月ぶりに前年同月を上回った。エリア別では、東京23区(83.6%/+14.6%)、千葉県(79.0%/+26.5%)で70%を大きく上回った。一方、都下(52.7%/▲26.8%)、神奈川県(69.4%/▲9.6%)、埼玉県(38.4%/▲27.7%)は70%を下回った。
平均価格は9,763万円で、前年同月(6,415万円)に比べ+52.7%の大幅な上昇。5か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、東京23区(1億2,612万円/+66.8%)、都下(5,860万円/+15.4%)、千葉県(4,481万円/+3.2%)で上昇。一方、神奈川県(5,760万円/▲2.7%)、埼玉県(4,928万円/▲10.6%)では低下した。
平均面積は67.74㎡で、前年同月(67.50㎡)に比べ+0.4%とほぼ横ばい。エリア別では、東京23区(68.20㎡/+4.1%)、都下(69.45㎡/+6.6%)で拡大。一方、神奈川県(65.62㎡/▲3.9%) 、埼玉県(64.23㎡/▲7.1%)、千葉県(68.16㎡/▲7.1%)で縮小した。
平均坪単価は@477.9万円/坪で、前年同月(@314.2万円/坪)に比べ+52.1%の大幅な上昇。平均価格同様、5か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、東京23区(@611.3万円/坪/+60.2%)、都下(@279.0万円/坪/+8.2%)、神奈川県(@290.2万円/坪/+1.2%)、千葉県(@217.3万円/坪/+11.0%)で上昇。一方、埼玉県(@253.6万円/坪/▲3.8%)では低下した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(38.2ポイント)は、前月(37.7ポイント)から改善(+0.5ポイント)。5か月連続で改善した。消費者心理の基調判断は「持ち直している」から「改善に向けた動きがみられる」に上方修正。基調判断で「改善」の表現を採用したのは2013年11月以来。指数の水準は40ポイント前後で推移していたコロナ禍前より低いものの、着実に改善に向けて進んでいることなどを反映した。加えて、当月の「耐久消費財の買い時判断」(31.0ポイント)も、前月(30.5ポイント)から改善(+0.5ポイント)した。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(33,172円/最終取引日終値)は、前月(33,189円/同)から低下。2か月ぶりの低下となったが、概ね安定推移した。当月前半は33,000円台で推移。7/6に33,000円を割った後は32,000円台で値動き。日銀の金融政策決定会合を受けた7/28の日経平均は一時前日比800円超の下げ幅となったが、その後は下げ渋った。週明けの7/31は円安から輸出関連株が買われ、33,000円台に戻して当月の取引を終えた。
主要国内企業の4〜6月期決算発表が7月下旬に予定される中、業績上振れを受けて、日本株の買いが進んだ。一方で、25~26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、27~28日の日銀の金融政策決定会合が近付くと売買が交錯した。日銀は同会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用の柔軟化を決定。これまで長期金利の許容上限を0.5%で厳格に抑制してきたが、事実上1%まで引き上げた。これを受けて、住宅ローンの固定金利の指標となる長期金利に上昇圧力が掛かりそうだ。
<供給戸数>
当月の供給戸数(3,123戸)は、前年同月を5%弱上回った。当月は、都心6区(1,204戸)で供給が集中した「東京23区」(+50.5%)と、千葉市稲毛区、八千代市、柏市で総戸数150戸以上の大型・大規模物件の販売が始まった「千葉県」(+124.4%)が市場牽引。全体の供給増に寄与した。都心6区では、継続物件「HARUMI FLAG」(販売573戸)、同「三田ガーデンヒルズ」(販売289戸)のまとまった供給(2物件・販売計862戸)があった。一方、横浜市(▲32.6%)、川崎市(▲60.2%)、神奈川県その他(▲69.3%)と各エリアとも大幅な減少となった「神奈川県」(▲58.2%)と、さいたま市(▲58.2%)、埼玉県その他(▲70.6%)ともに大幅減の「埼玉県」(▲66.9%)の減少幅が大きく、全体の増加幅は小幅に留まった。「神奈川県」、「埼玉県」は新規発売が低調。新規発売戸数は、「神奈川県」は▲69.6%、「埼玉県」は▲61.1%と振るわなかった。
「東京23区」は4か月ぶりに1,000戸を超え今年最多の2,000戸弱。4か月ぶりに前年同月も上回った。「千葉県」も4か月ぶりに前年同月を上回った。加えて、「都下」も2か月連続で前年同月を上回っている。他方、「神奈川県」と「埼玉県」は3か月連続で前年同月を下回っている。
なお、当月の供給戸数は2020年7月(2,631戸)比+18.7%、 2021年7月(2,848戸)比+9.7%。当月は過去4年と比較していずれも増加している。
<平均契約率>
当月の平均契約率(77.4%)は70%を大きく回った。継続販売が好調だった「東京23区」(83.6%)、新規発売が好調だった「千葉県」(79.0%)が高契約率で全体を押し上げた。「東京23区」は2か月ぶりに70%を上回った。「千葉県」は当年に入って7か月連続で70%超で推移しており、好調を維持している。
一方、「都下」(52.7%)は6か月連続で70%以下で推移しており、売れ行きが鈍い。「神奈川県」(69.4%)は2022年5月以来、14か月ぶりに70%を下回り、「埼玉県」(38.4%)は2か月連続で70%を下回っている。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(9,793万円)と平均坪単価(@477.9万円/坪)は、前年同月より大幅に上昇。「三田ガーデンヒルズ」(価格2億5,580万円/@1,205万円/坪)、「WORLD TOWER RESIDENCE」(価格2億4,144万円/@1,106万円/坪)など、都心6区で複数の超高額物件の供給があり、当年3月に記録した平均価格1億3,630万円・@624万円/坪に次ぐ水準だった。その結果、全体の@700万円/坪以上の供給割合は、供給戸数の16.8%(526戸)に達し、前年同月の同1.4%(41戸)から大幅に高まった。価格水準の高い東京23区の供給シェア(62.4%)も、前年同月(43.4%)から大幅に高まった。
坪単価の上昇は継続している。「東京23区」(+60.2%)は2か月ぶりに上昇。郊外部は、「都下」(+8.2%)は5か月連続、「神奈川県」(+1.2%)と「千葉県」(+11.0%)は6か月連続で上昇している。ただし、「埼玉県」(▲3.8%)の上昇には一服感がみられており、2か月連続で低下している。
<平均面積>
当月の平均面積(67.74㎡)は、前年同月とほぼ横ばい。なお、平均専有面積50㎡以下のコンパクト物件の供給割合は供給戸数の5.6%(175戸)と、前年同月の同14.5%(431戸)から大幅に縮小した。
【総括】
当月の供給戸数は当年で初めて3,000戸を上回り、例年(過去4年)と比べても高水準だった。売れ行きも好調で、平均契約率は75%超の水準であった。当月の供給は前年同月を10か月ぶりに上回ったとは言え、総戸数1,000戸超の「HARUMI FLAG」「三田ガーデンヒルズ」の継続販売分がマーケット全体の3割弱を占める。当月の供給戸数・平均契約率の数値はこの2物件の寄与度が大きい。
当年上半期(1~6月)の供給戸数は前年同期比▲20.2%と大幅に減少した。一方で、平均価格・平均坪単価は過去最高値をマーク。そこで、総販売額ベースの首都圏新築分譲マンションの市場規模の推移(2010~2022年)をみると、2014年以降は年間2.1~2.4兆円で安定推移している。供給が45,000戸水準だった2014年の市場規模は約2兆2,400億円。直近の2022年は供給は34,000戸水準まで減少したものの、市場規模は2兆1,400億円と2014年と大差はない。当年上半期についても、大幅な供給減にも関わらず、市場規模は既に1兆円を超えている。この間、分譲マンション需要層の主役は郊外一次取得のファミリー層から、富裕層やパワーカップル層、シニア層、国内外の投資家層といった資金力のあるユーザーに変化。市場規模の推移から、現在のマーケットの需要層の変化が垣間見える。
<8月の供給見込み>
2023年8月は、約1,500戸の供給見込み。
【2023年6月の分譲マンション市況】
2023年6月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給戸数は、2,046戸で、前年同月(2,699戸)に比べ▲24.2%の大幅な減少。2022年9月以降、9か月連続で前年同月を下回っており、直近3か月は10%超の大幅な減少となっている。エリア別では、東京23区(737戸/▲13.2%)、神奈川県(554戸/▲26.4%)、埼玉県(314戸/▲54.8%)で減少。一方、都下(102戸/+27.5%)、千葉県(339戸/+38.9%)で大幅に増加した。
平均契約率は69.1%で、2022年9月以来、9か月ぶりに70%を下回った。加えて、前年同月(76.5%)比でも▲7.4ポイントの大幅な低下。3か月連続で前年同月を下回っている。エリア別では、東京23区(58.8%/▲8.0%)、都下(68.6%/+16.1%)、埼玉県(63.1%/▲28.8%)で70%を下回った。一方、神奈川県(78.9%/+2.3%)、千葉県(81.4%/+7.6%)は70%を大きく上回った。
平均価格は6,313万円で、前年同月(6,129万円)に比べ+3.0%の上昇。4か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、都下(7,600万円/+35.0%)、神奈川県(5,753万円/+7.5%)、千葉県(5,272万円/+22.3%)で上昇。一方、東京23区(7,633万円/▲2.3%)、埼玉県(4,911万円/▲14.7%)では低下した。
平均面積は64.59㎡で、前年同月(64.30㎡)に比べ0.5%とほぼ横ばい。エリア別では、東京23区(63.38㎡/+3.4%)、都下(68.47㎡/+8.8%)、埼玉県(66.31㎡/+1.6%)、千葉県(70.68㎡/+6.1%)で拡大。一方、神奈川県(60.78㎡/▲6.2%)で縮小した。
平均坪単価は@323.1万円/坪で、前年同月(@315.1万円/坪)に比べ+2.5%の上昇。平均価格同様、4か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、都下(@366.9万円/坪/+24.1%)、神奈川県(@312.9万円/坪/+14.5%)、千葉県(@246.6万円/坪/+15.3%)で上昇。一方、東京23区(@398.1万円/坪/▲5.5%)、埼玉県(@244.8万円/坪/▲16.0%)では低下した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(37.7ポイント)は、前月(37.2ポイント)から改善(+0.5ポイント)。4か月連続で改善した。当月の指数は2022年1月(37.1ポイント)以来の水準に回復。コロナ禍から「平時」への移行や春闘での賃上げの広がりで、消費者心理が下支えされた。消費者心理の基調判断も「持ち直している」に据え置いた。また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(30.5ポイント)も、前月(30.2ポイント)から改善(+0.3ポイント)した。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(33,189円/最終取引日終値)は、前月(30,888円/同)から上昇。10年ぶりの6か月連続の上昇で、当月通して上昇基調だった。当月前半は31,000円台で推移。6/9に32,000円台に乗せ、その後も続伸。6/13には33,000円台に乗せ、月末まで安定推移。月末として約33年ぶりに33,000円台に回復した。
当月上旬に米国の債務上限問題が決着して投資家心理が改善。日本株に追い風となった。月半ばには、米国で13~14日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2022年3月以降続いていた利上げが見送られ、金融引き締めへの警戒が後退したことから米国株が上昇した。一方、日本でも、日銀が15~16日に開いた金融政策決定会合で「金融緩和の維持」の方針が示され、日本株の買い材料となった。これを受けて、日経平均は19日の取引時間中に一時、33,772円まで上昇し、バブル後最高値を更新した。
<供給戸数>
当月の供給戸数(2,046戸)は、前年同月比20%超の大幅な減少。当月は、都心6区の供給(61戸)が限定的だった東京23区(▲13.2%)をはじめ、川崎市(▲63.4%)・神奈川県その他(▲46.9%)での減少が目立った神奈川県(▲26.4%)、さいたま市(▲55.3%)・埼玉県その他(▲54.5%)ともに大幅減となった埼玉県(▲54.8%)での減少幅が大きく、全体に影響した。全体的に新規物件の販売が振るわなかった(▲39.0%)。千葉県(+157.1%)は大幅に増加したものの、神奈川県(▲50.5%)、埼玉県(▲78.0%)の新規発売が低調だった。平均販売戸数は、2023年1~5月で17.3戸で推移する中、当月は13.8戸に留まったことも全体の供給減の一因である。なお、当月の供給戸数は2020年6月(1,707戸)比+19.9%、 2021年6月(2,776戸)比▲26.3%。2020年6月は新型コロナウィルス感染拡大に伴う初めての緊急事態宣言発出による販売休止の影響で、供給が減少していたが、2021年6月は2,700戸水準に戻していた。
2023年上半期(1~6月)の供給戸数は13,228戸で、前年同期(16,570戸)に比べ▲20.2%の大幅な減少。全エリアで減少した。内訳は、東京23区(5,475戸/▲15.2%)、都下(1,036戸/▲23.9%)、神奈川県(2,664戸/▲24.7%)、埼玉県(1,786戸/▲33.4%)、千葉県(2,122戸/▲8.6%)。
<平均契約率>
当月の平均契約率(69.1%)は70%を下回った。新規発売・継続販売ともに低調だった東京23区(58.8%)、さいたま市(50.8%)の売れ行きが鈍かった埼玉県(63.1%)で70%を大きく下回り、全体を押し下げた。東京23区は2022年7月以来、11か月ぶりの70%以下となった。
2023年上半期の平均契約率は76.8%で、前年同期(77.8%)に比べ▲1.0%の低下。東京23区(77.1%)、神奈川県(78.8%)、千葉県(85.2%)で70%を大きく上回った。一方、都下(66.7%)、埼玉県(67.7%)では70%を下回った。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(6,313万円)と平均坪単価(@323.1万円/坪)は、前年同月よりやや上昇。価格水準の高い東京23区の供給シェア(36.0%)は、前年同月(31.5%)と同水準だったが、郊外部を中心とした@250万円/坪以下の供給割合が供給戸数の26.4%(541戸)と、前年同月の同29.3%(790戸)からやや縮小したことが価格・坪単価の上昇要因である。当月は@800万円/坪超の供給(9戸)も少なく、東京23区(価格▲2.3%/坪単価▲5.5%)の上昇は一服感(価格・坪単価ともに4か月ぶりに低下)がみられたものの、都下(価格+35.0%/坪単価+24.1%)、神奈川県(価格+7.5%/坪単価+14.5%)、千葉県(価格+22.3%/坪単価+15.3%)での上昇が顕著で、全体の価格・坪単価上昇の一因となった。神奈川県と千葉県の価格・坪単価は5か月連続で上昇している。
2023年上半期の平均価格・平均坪単価(8,060万円/@401.3万円/坪)は、前年同期(6,318万円/@313.7万円/坪)に比べ価格+27.6%・坪単価+27.9%の大幅な上昇。エリア別では、東京23区(価格+52.6%/坪単価+45.8%)、都下(価格+7.4%/坪単価+8.2%)、神奈川県(価格+1.1%/坪単価+3.5%)、千葉県(価格+1.5%/坪単価+5.9%)で上昇。特に、東京23区は3月以降、都心で@800万円超/坪の高額物件の販売が始まった影響で、価格1億2,005万円・@595.7万円/坪と、過去最高値をマークした。一方、埼玉県(価格▲8.4%/坪単価▲2.5%)は低下した。前年同期は大宮・武蔵浦和・川越の駅前でタワー物件の新規供給があり、価格・坪単価を押し上げていた。
<平均面積>
当月の平均面積(64.59㎡)は、前年同月(64.30㎡)とほぼ横ばい。
2023年上半期の平均面積は66.39㎡で、前年同期(66.58㎡)に比べ▲0.3%とほぼ横ばいであった。
【総括】
当月の供給戸数は前月に続き2,000戸をやや上回る水準に留まった。ゴールウィーク(GW)から続く集客減が響き、当月も売り出し戸数が伸びなかった。デべロッパー各社は、ここまで供給を絞って売れ行きを維持してきたが、当月は9か月ぶりに70%を下回り、前年同月比でも7%超低下した。エリアによって差はあるものの、供給を絞っても売れ行きに影響が出始めている。
2023年上半期(1~6月)の供給戸数は、前年同期比▲20%超(3,300戸超)の大幅な減少。全エリアで概ね10%超減少している。2022年上半期を中心とした着工減が反映された形。ただ、供給減少要因はそれだけではなさそうだ。当年上半期の平均契約率は76.8%と前年同期(77.8%)と大きな変化はないものの、当年上半期の販売件数当たりの販売戸数(平均販売戸数)は、16.6戸と前年同期(18.5戸)から減少。郊外部を中心に期分けを増やし、売れ行きを維持する傾向に拍車がかかっている。一方、当年上半期の価格・坪単価は、@800万円/坪超の都心超高額物件の新規発売が寄与し過去最高値をマークした。都心6区の平均契約率も93.6%と高水準であった。当年上半期の首都圏分譲マンションマーケットは、国内外の超富裕層や投資家に下支えされている側面もある。
<7月の供給見込み>
2023年7月は、約3,000戸の供給見込み。 「HARUMI FLAG」タワー棟の販売が始まる。
【2023年5月の分譲マンション市況】
2023年5月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給は、129物件・2,094戸で、前年同月(167物件・3,304戸)に比べ販売件数は▲22.8%、供給戸数は▲36.6%とともに大幅な減少となった。エリア別では、横浜市(276戸/前年同月比+26.6%)以外は大幅な減少。東京23区(716戸/同▲29.6%)、都下(152戸/同▲60.9%)、川崎市(45戸/同▲68.3%)、神奈川県その他(111戸/同▲48.6%)、さいたま市(122戸/同▲58.1%)、埼玉県その他(268戸/同▲32.2%)、千葉市(168戸/同▲37.3%)、千葉県その他(236戸/同▲34.6%)と、各エリア概ね30%以上の大幅な減少となった。
平均契約率は76.5%で、前年同月(78.1%)に比べ▲1.6ポイントの低下。エリア別では、東京23区(74.2%)、横浜市(85.5%)、川崎市(82.2%)、埼玉県その他(79.1%)、千葉市(89.9%)、千葉県その他(85.2%)が70%を上回った。一方、都下(65.1%)、神奈川県その他(58.6%)、さいたま市(57.4%)では70%を下回った。
平均価格は6,205万円で、前年同月(5,774万円)に比べ+7.5%の上昇。エリア別では、横浜市(7,161万円/前年同月比+26.0%)、川崎市(6,548万円/同+27.4%)、神奈川県その他(5,666万円/同+21.5%)が前年同月比10%超上昇。一方、さいたま市(5,460万円/同▲12.5%)では▲10%超低下した。
平均面積は64.02㎡で、前年同月(66.43㎡)に比べ▲3.6%の縮小。エリア別では、都下(60.98㎡/前年同月比▲7.3%)、さいたま市(62.94㎡/同▲9.6%)、埼玉県その他(64.15㎡/同▲10.3%)、千葉市(71.22㎡/同▲6.4%)で5%超縮小。一方、横浜市(73.90㎡/同+16.8%)、川崎市(69.94㎡/同+6.2%)で5%超拡大した。
平均坪単価は@320.4万円/坪で、前年同月(@287.3万円/坪)に比べ+11.5%の大幅な上昇。エリア別では、川崎市(@309.5万円/坪/前年同月比+20.0%)、神奈川県その他(@260.7万円/坪/同+21.6%)、千葉県その他(@250.8万円/坪/同+11.6%)で10%超上昇した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(37.2ポイント)は、前月(36.2ポイント)から改善(+1.0ポイント)。3か月連続で改善した。新型コロナの5類移行でコロナ禍からの社会経済活動の正常化が進んだ。当月の指数は2022年1月(37.1ポイント)以来の水準。また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(30.2ポイント)も、前月(28.4ポイント)から改善(+1.8ポイント)。前月に続き指数を構成する4項目で最も上昇幅が大きかった。消費者心理の基調判断は前月、「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正。内閣府は当月の基調判断も「持ち直している」に据え置いた。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(30,888円/最終取引日終値)は、前月(28,856円/同)から上昇。5か月連続で上昇しており、当月通して上昇基調だった。割安株への買いが継続する中、当月前半は29,000円台で推移。5/17には30,093円(終値)と30,000円台に乗せ、その後も続伸。5/22には31,086円で取引を終え、約33年ぶりの31,000円台となった。その後の29日には一時31,560円を記録。1990年7月以来の高値を付けた。
日銀の植田和男総裁が就任後初の金融政策決定会合(4月末開催)で、「金融緩和の継続」の意向を示し、日本株に追い風となった。欧米の景気後退が意識される中、当月は日本企業の2023年3月期の決算発表が本格化。コロナ禍からの経済活動の正常化を背景とした業績や業績見通しの堅調さに好感がもたれたことも日本株の買い材料となった。
<供給戸数>
当月の供給戸数(2,094戸)は、前年同月(3,304戸)から減少。8か月連続で前年同月を下回った。当月は、全体的に新規物件発売が低調(前年同月比▲48.1%/供給戸数ベース)で、総戸数150戸以上の大型・大規模物件の新規発売も少なかった。新規物件だけでなく、継続物件の販売も振るわず、全エリアで前年同月比25%超の大幅な減少となった。エリア別では、東京23区(716戸/前年同月比▲29.6%)、都下(152戸/同▲60.9%)、神奈川県(432戸/同▲25.0%)、埼玉県(390戸/同▲43.1%)、千葉県(404戸/同▲35.8%)であった。
なお、当月の供給戸数は2020年5月(954戸)比+119.5%、 2021年5月(2,740戸)比▲23.6%。2020年5月は新型コロナウィルス感染拡大に伴う初めての緊急事態宣言発出による販売休止が響き、供給が急減していたが、2021年5月は2,700戸水準に戻していた。
<平均契約率>
当月の平均契約率(76.5%)は、8か月連続で70%を上回っており、中でも当年1~5月は75%超で推移している。神奈川県(78.2%)、千葉県(87.1%)で70%を大きく上回り、全体を押し上げた。東京23区(74.2%)は10か月連続の70%超で推移。直近2か月、70%以下で推移していた埼玉県(72.3%)は3か月ぶりに70%を上回った。
一方、前年同月比では3か月ぶりの低下。東京23区は前年同月比▲3.8ptだったことをはじめ、都下(前年同月比▲18.2pt)、埼玉県(同▲5.3pt)の売れ行き鈍化が顕著だった。デベロッパー各社は供給を絞って売れ行きを維持しているが、それでも売れ行きが鈍化しているエリアもある。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(6,025万円)と平均坪単価(@320.4万円/坪)は、前年同月(価格5,774万円/坪単価@287.3万円/坪)より上昇。価格水準の高い東京23区の供給シェア(34.2%)が、前年同月(30.8%)より高まったことに加え、東京23区物件を中心とした@500万円/坪以上の供給割合が供給戸数の15.0%(314戸)と、前年同月の同7.8%(258戸)から拡大したためである。坪単価は全エリアで上昇しており、中でも神奈川県(304.2万円/坪/前年同月比+19.6%)、千葉県(235.6万円/坪/同+10.7%)の上昇幅が大きく、全体の単価上昇の一因となった。
直近2か月の価格・坪単価は@800万円/坪超の都心高額物件の供給がはじまった影響で、3月に過去最高の価格1億3,000万円超・@600万円超を記録するなど、高水準で推移していたが、当月は@800万円/坪超の供給は限定的(販売12戸)で、当年2月以前の水準に戻った。ただし、価格・坪単価の上昇傾向は続いている。
<平均面積>
当月の平均面積(64.02㎡)は、前年同月(66.43㎡)から縮小。平均面積50㎡以下の供給割合が供給戸数の15.6%(327戸)と、前年同月の同9.7%(322戸)から拡大したことが要因。当月は東京23区(平均面積57㎡台/前年同月比▲4.7%)だけでなく、都下(平均面積60㎡台/同▲7.3%)、埼玉県(平均面積63㎡台/同▲9.8%)、千葉県(平均面積67㎡台/同▲5.3%)でもコンパクト住戸の供給が多く、面積縮小が目立った。
【総括】
当月の供給戸数は2,000戸をやや上回る水準に留まった。例年5月はゴールウィーク(GW)に集客した顧客に売り出しを実施することから、供給戸数が伸びる時期。それにも関わらず、当月はGW集客が上手くいかず(本紙ヒアリング)、売り出し戸数を増やせなかった。当年のGWはコロナ禍からの社会経済活動の正常化で旅行やレジャーなどに関心が向き、価格上昇により「高嶺の花」となった新築分譲マンションを前向きに検討する動きにはならなかった。
首都圏全体の供給は8か月連続の前年同月比減と減少傾向に歯止めがかからない。背景には建築費高騰による「価格上昇」と用地取得難航による「着工減」がある。一方で、ここにきて変化の兆しもみられる。建築物価調査会発表の建築費指数データによれば、集合住宅(RC造)の工事原価は、2021年以降、上昇の一途を辿っていたが、当年1~5月では横ばいで推移している。着工についても「大手デベロッパー各社は概ね目標通り用地を取得できているようだ」(デベロッパー担当者)という声も聞かれはじめている。実際、首都圏分譲マンションの着工戸数は前年(2022年)8月以降、6か月連続で増加するなど、増加基調で推移している。
国内景気が回復基調にある中で、着工した物件が相場並みの価格で順次販売されていけば、顧客も手を出しやすい。今後の供給増に期待がかかる。
<6月の供給見込み>
2023年6月は、約2,000戸の供給見込み。
【2023年4月の分譲マンション市況】
2023年4月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給は、129物件・2,386戸で、前年同月(149物件・2,718戸)に比べ販売件数は▲13.4%、供給戸数は▲12.2%とともに大幅な減少となった。エリア別では、東京23区(934戸/前年同月比▲36.4%)、埼玉県その他(80戸/同▲66.1%)、千葉市(137戸/同▲48.3%)、で10%超の大幅な減少。一方、都下(244戸/同+98.4%)、川崎市(210戸/同+17.3%)、さいたま市(186戸/同+615.4%)、千葉県その他(197戸/同+93.1%)では10%超増加した。
平均契約率は78.0%で、前年同月(82.3%)に比べ▲4.3ポイントの低下。エリア別では、東京23区(83.3%)、横浜市(81.1%)、川崎市(87.1%)、神奈川県その他(83.3%)、千葉市(71.5%)、千葉県その他(76.1%)が70%を上回った。一方、都下(63.5%)、さいたま市(53.8%)、埼玉県その他(68.8%)では70%を下回った。
平均価格は8,069万円で、前年同月(6,203万円)に比べ+30.1%の大幅な上昇。エリア別では、東京23区(12,145万円/前年同月比+65.7%)、都下(5,547万円/同+31.6%)、神奈川県その他(5,569万円/同+27.9%)、さいたま市(5,927万円/同+23.0%)、千葉県その他(4,812万円/同+20.1%)が前年同月比10%超上昇した。
平均面積は66.24㎡で、前年同月(67.19㎡)に比べ▲1.4%の縮小。エリア別では、神奈川県その他(62.96㎡/前年同月比▲6.4%)、さいたま市(61.58㎡/同▲14.6%)と5%超縮小。一方、都下(68.25㎡/前年同月比+11.2%)、川崎市(66.20㎡/同+7.2%)、千葉県その他(69.69㎡/同+20.9%)で5%超拡大した。
平均坪単価は@402.7万円/坪で、前年同月(@305.2万円/坪)に比べ+31.9%の大幅な上昇。エリア別では、東京23区(@616.7万円/坪/前年同月比+74.3%)、都下(@268.7万円/坪/同+18.3%)、神奈川県その他(@292.4万円/坪/同+36.6%)、さいたま市(@318.2万円/坪/同+44.0%)で10%超上昇した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(36.2ポイント)は、前月(34.9ポイント)から改善(+1.3ポイント)。2か月連続で改善した。物価高の中で、大企業を中心に賃上げが活発だったことや新型コロナの5類移行で社会経済活動の正常化が進んだことが要因。また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(28.4ポイント)も、前月(26.9ポイント)から改善(+1.5ポイント)。指数を構成する4項目で最も上昇幅が大きかった。消費者心理の基調判断は「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正された。内閣府が基調判断を「持ち直している」とするのは2017年12月以来、5年4か月ぶり。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(28,856円/最終取引日終値)は、前月(28,041円/同)から上昇。4か月連続で上昇しており、当月通して上昇基調だった。割安株への買いが継続する中、当月前半は27,000円台中盤~28,000円台前半で推移。米・著名投資家のウォーレン・バフェット氏が来日し、日本株への追加投資を示唆したことから、当月半ばに日経平均は28,000円台中盤まで続伸。当月最終取引日の28日には、植田日銀新総裁となって初めて開かれた金融政策決定会合で、「大規模な金融緩和政策の継続」が決定。日銀による国債の大量買入れで債権市場の機能低下などの副作用が指摘されていたYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正も見送り、過去の金融緩和策を対象としたレビューを1年がかりで実施することも決めたことから、日本株への買いに弾みがつき、29,000円に迫って当月の取引を終えた。
<供給戸数>
当月の供給戸数(2,386戸)は、前年同月(2,718戸)から減少。7か月連続で前年同月を下回った。当月は東京23区(934戸/前年同月比▲36.4%)で大幅に減少。千葉県(334戸/同▲9.0%)も減少した。減少幅の大きい東京23区は、活況だった前月(1,667戸)以前の1,000戸以下に戻った。新宿区で大規模タワー2物件の販売(計256戸)がはじまったものの、その他の新規物件の販売戸数が伸びず、全体の新規発売戸数(546戸)は前年同月(727戸)比▲24.9%に留まった。一方で、都下(244戸/同+98.4%)をはじめ、神奈川県(530戸/同+8.6%)、埼玉県(266戸/同+1.5%)は増加。都下では多摩市で、神奈川県では川崎市多摩区で大型物件の販売がスタートし、全体に貢献した。前年同月は「HARUMI FLAG」の継続販売(389戸)が実施された。そのため、同物件の影響が大きく、結果的に前年同月を下回る結果となった。
なお、当月の供給戸数は2020年4月(1,879戸)比+27.0%、 2021年4月(2,561戸)比▲6.8%。2020年4月は新型コロナウィルス感染拡大に伴う初めての緊急事態宣言発出で供給が急減したが、2021年4月は2,500戸水準に戻していた。
<平均契約率>
当月の平均契約率(78.0%)は、7か月連続で70%を上回った。東京23区(83.3%)、神奈川県(84.2%)、千葉県(74.3%)で70%を大きく上回り、全体を押し上げた。東京23区は9か月連続の70%超で推移。前述のタワー2物件が契約率90%を超え、全体を引き上げた。一方、埼玉県(58.3%)は2か月連続で70%以下、2023年1~4月でみても、67.5%と、前年同期(75.8%)と比べて売れ行きの鈍化が顕著だ。2023年1~4月の供給(1,082戸)は、前年同期(1,300戸)比▲16.8%と大幅に減少しているにも関わらず、顧客のマンション購入意欲は減退している。顧客は継続する価格・坪単価の上昇についていけていない様相が垣間見える。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(8,069万円)と平均坪単価(@402.7万円/坪)は、前年同月(価格6,203万円/坪単価@305.2万円/坪)より大幅に上昇。価格水準の高い東京23区の供給シェア(39.1%)は、前年同月(46.0%)より大幅に低下したものの、前年同月はなかった@800万円/坪以上の供給が全体の8.3%(197戸)あり、価格・坪単価を大きく引き上げた。なお、当月の@800万円/坪以上の供給物件は、「WORLD TOWER RESIDENCE」(販売46戸/@1,202万円/坪)、「三田ガーデンヒルズ」(販売15戸/@1,096万円/坪)、「ザ・パークハウス高輪プレイス」(販売18戸/@812万円/坪)など、4物件。
前月、過去最高値を記録した平均価格・平均坪単価は当月も高水準。価格8,000万円超・坪単価400万円/坪超は前月を除くと、これまでになかった水準である。前述の@1,000万円/坪超の継続物件が突出したことが要因である。ただし、価格・坪単価の上昇要因は都区部だけではない。都下(価格+31.6%/坪単価+18.3%)と埼玉県(価格+20.7%/坪単価+27.8%)で大幅な上昇がみられるなど、郊外部各エリアとも価格・坪単価が上昇していることも、当月の首都圏全体の数値が高水準となった一因である。
<平均面積>
当月の平均面積(66.24㎡)は、前年同月(67.19㎡)から縮小。前年同月は平均専有面積78㎡台の「HARUMI FLAG」(販売389戸)など、平均専有面積75㎡超の供給比率が21.3%(578戸)と、当月の同16.5%(394戸)より5%弱高かった。
【総括】
当月の供給戸数はコロナ禍で好調な市況だった2021年4月の2,500戸に迫る2,400戸水準。春商戦で各エリアの大型・大規模物件の販売がはじまり、全体に寄与した。しかし、前年同月は400戸規模の「HARUMI FLAG」の継続販売があったことから、当月はその減少分を補うまでには至らず、前年同月比では減少となった。
物価高で低迷していた消費者心理は、大企業を中心とした賃上げの活発化やコロナ禍からの社会経済活動の正常化で上向き、契約率は80%に迫る水準をマーク。都心高額物件を中心に顧客のマンション需要は底固い。一方で、郊外部では「来場者数が減っている。GWも想定していた程集客できなかった」(郊外物件販売担当者)と話すなど、郊外中間所得層向け物件の集客に苦慮する声が聞かれる。当月の高契約率は販売時期を遅らせることで、契約率を高めている側面もある。賃上げが中間所得層に波及するにはなお時間が掛かる上、こうした所得層のマンション購入意欲が高まるには、賃上げペースがマンション価格の上昇ペースを上回る必要がある。中間所得層がマンション購入を躊躇する傾向はしばらく続きそうだ。
<5月の供給見込み>
2023年5月は、約2,000戸の供給見込み。
【2023年3月の分譲マンション市況】
2023年3月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給は、150物件・2,833戸で、前年同月(149物件・2,927戸)に比べ販売件数は+0.7%と前年同月と同水準だったが、供給戸数は▲3.2%の減少となった。エリア別では、都下(105戸/前年同月比▲59.5%)、川崎市(33戸/同▲72.7%)、さいたま市(60戸/同▲25.0%)、埼玉県その他(175戸/同▲60.0%)、千葉市(137戸/同▲11.6%)が10%超の大幅な減少。一方、東京23区(1,667戸/同+31.7%)、神奈川県その他(194戸/同+12.8%)、千葉県その他(125戸/同+86.6%)では10%超増加した。
平均契約率は81.2%で、前年同月(76.8%)に比べ+4.4ポイントの上昇。エリア別では、東京23区(85.6%)、横浜市(77.3%)、神奈川県その他(76.3%)、千葉市(77.4%)、千葉県その他(83.2%)などで70%を上回った。一方、都下(61.0%)、さいたま市(65.0%)、埼玉県その他(68.0%)では70%を下回った。
平均価格は13,630万円で、前年同月(6,410万円)に比べ+112.6%の大幅な上昇。エリア別では、東京23区(19,471万円/前年同月比+145.6%)、神奈川県その他(5,331万円/同+19.4%)が前年同月比10%超上昇した。一方、川崎市(5,797万円/同▲11.6%)、埼玉県その他(4,578万円/同▲14.4%)では10%超低下した。
平均面積は72.18㎡で、前年同月(66.38㎡)に比べ+8.7%の大幅な拡大。エリア別では、東京23区(75.77㎡)が前年同月比+23.4%と5%超拡大。一方、都下(66.02㎡/前年同月比▲6.3%)、神奈川県その他(66.07㎡/同▲5.7%)、さいたま市(59.74㎡/同▲9.3%)、埼玉県その他(66.60㎡/同▲9.0%)、千葉市(72.66㎡/同▲5.2%)で5%超縮小した。
平均坪単価は@624.2万円/坪で、前年同月(@319.2万円/坪)に比べ+95.6%の大幅な上昇。エリア別では、東京23区(@849.5万円/坪/前年同月比+99.0%)、都下(@286.5万円/坪/同+11.9%)、神奈川県その他(@266.7万円/坪/同+26.6%)、さいたま市(@306.1万円/坪/同+15.7%)で10%超上昇した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(34.9ポイント)は、前月(31.6ポイント)から大幅に改善(+3.3ポイント)。4か月ぶりに改善した。新型コロナの5類移行の決定やマスク着用ルールの緩和に加え、春闘での賃上げの動きがみられたことが要因とみられる。また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(26.9ポイント)も、前月(23.2ポイント)から大幅に改善(+3.7ポイント)。1年後の物価見通しで「5%以上 上昇する」と予想する人が、前月の66.8%から当月は61.1%に減少(▲5.7ポイント)。物価高への懸念感が和らいでいる。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(28,041円/最終取引日終値)は、前月(27,445円/同)から上昇。3か月連続で上昇しており、27,000~28,000円台前半で推移した。当月前半は27,000円台後半~28,000円台前半で推移していたが、当月10日に、米・シリコンバレーバンク(=SVB)の経営破綻を発端に、世界の金融市場が動揺。SVBの破綻余波で、スイス金融機関第2位のクレディ・スイス・グループ(=クレディ)の信用不安も高まった。そのため、日経平均は13日に、28,000円台を割り込み、続落。20日には一時27,000円台も割り込んだものの、SVBについては米欧金融当局の対策が奏功、クレディについてはスイスの金融機関最大手のUBSによる買収が決まり、21日以降は回復。末日に前月末以上の水準となる28,000円台に乗せて、当月の取引を終えた。
<供給戸数>
当月の供給戸数(2,833戸)は、前年同月(2,927戸)から減少。6か月連続で前年同月を下回った。当月は都下(105戸/前年同月比▲59.5%)、神奈川県(553戸/同▲13.2%)、埼玉県(235戸/同▲54.6%)で大幅に減少。中でも、埼玉県は新規物件が3物件に留まり、新規発売戸数(68戸)も前年同月(258戸)比▲73.6%と低調だった。一方で、東京23区(1,667戸/同+31.7%)、千葉県(262戸/同+18.0%)は大幅に増加。中でも東京23区は、前月までは4か月連続で20%超の大幅な減少かつ3か月連続の1,000戸以下で推移していたが、当月は一転。注目物件「三田ガーデンヒルズ」(全1,002戸/販売400戸)を筆頭に、総戸数300戸以上の大規模5物件(販売計884戸)が新規発売され、全体に寄与した。しかし、結果的には東京23区以外の郊外部の新規発売戸数は573戸(前年同月890戸)に留まり、前年同月に届かなった。加えて、郊外部の継続販売は販売31戸(ザ・ガーデンズ稲毛海岸)が最多で、20戸以下の販売が大半だったことも減少理由となった。
なお、当月の供給戸数は2020年3月(2,126戸)比+33.3%、 2021年3月(3,359戸)比▲15.7%。例年3月は春商戦の本格期。2020年3月は新型コロナウィルス感染拡大に伴う先行きの不透明感から供給が急減したが、2021年3月は3,300戸水準に戻していた。
<平均契約率>
当月の平均契約率(81.2%)は、6か月連続で70%を上回った。東京23区(85.6%)、神奈川県(77.9%)、千葉県(80.2%)で70%を大きく上回り、全体を押し上げた。東京23区は8か月連続で70%超で推移。「三田ガーデンヒルズ」など大規模物件4物件が契約率80%を超え、全体を引き上げた。東京23区は、前年から続く、供給の大幅減もあって需要が蓄積。蓄積した需要もあって当月は高い契約率を記録した。一方、郊外部では、神奈川県は供給戸数を絞ることで70%超を維持。都下(61.0%)、埼玉県(67.2%)は供給戸数を絞っても70%を下回る結果となった。なお、前月同月比では全体で3か月ぶりに上昇した。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(13,630万円)と平均坪単価(@624.2万円/坪)は、前年同月(価格6,410万円/坪単価@319.2万円/坪)より大幅に上昇。当月は「三田ガーデンヒルズ」(平均価格4億5,436万円/@1,392万円/坪)など、新規3物件(WORLD TOWER RESIDENCE/ブランズ千代田富士見)が@1,000万円/坪を超えた。前年同月は@1,000万円/坪を超える供給はなかったが、当月は全体の21.6%(611戸)が供給されたことが、価格・坪単価が大幅に上昇した要因である。価格水準の高い東京23区の供給シェア(58.8%)が前年同月(43.3%)より大幅に高まったことも、価格・坪単価の上昇を後押しした。
平均価格は5か月ぶりに前年同月を上回った。前月までの4か月は5,700~6,300万円の間を上下していたが、当月は急上昇。上昇は特定物件の影響によるもののであり、来月以降も上昇した価格・坪単価が高止まりするわけではない。ただし、来月以降は当該物件の継続販売が実施されることから、当該物件の一定数の販売があるか否かで乱高下する見通し。
<平均面積>
当月の平均面積(72.18㎡)は、前年同月(66.38㎡)より大幅に拡大。当月は「三田ガーデンヒルズ」(平均専有面積107㎡台)など、平均専有面積80㎡超の供給が17.6%(498戸)と、前年同月の同5.9%(172戸)より大幅に高まった。
【総括】
当月の供給戸数は6か月連続で前年同月比減。話題の都心高額物件「三田ガーデンヒルズ」をはじめ、東京23区で大規模物件の新規発売が相次ぎ、23区のマーケットは活況を呈したものの、埼玉県を中心とした郊外部の新規発売・継続販売がともに振るわず、前年同月に及ばなかった。
一方、平均価格は1億3,000万円超・平均坪単価は600万円超/坪と高水準で、過去最高値を記録した。前年供給が限定的だった、超富裕層向け物件の人気は健在で、円安を受けての海外マネーの流入も相まって価格が突出していても売れ行きは好調だ。こうした@1,000万円/坪を超える超高額物件の影響を除いても価格・坪単価は高止まりしている。当月新規発売された「プラウドシティ小竹向原」は平均9,300万円超の価格設定だが、世帯年収1,500万円以上のファミリー層が購入。中間所得層には手が届きにくい価格帯ながら、前年から続く23区の供給減もあって、都心近接のファミリータイプ物件の需要は旺盛だ。
2023年4月は、約2,000戸の供給見込み。
<総戸数150戸以上の新規発売物件> ※一部物件を掲載
「パークタワー西新宿」(新宿区、全470戸)、「ヒルズグランデ稲毛」(千葉市、全387戸)
【2023年2月の分譲マンション市況】
2023年2月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給は、126物件・2,336戸で、前年同月(148物件・2,695戸)に比べ販売件数は▲14.9%、供給戸数は▲13.3%の大幅な減少となった。エリア別では、さいたま市(157戸/前年同月比+227.1%)、千葉市(162戸/同+67.0%)を除くエリアで減少。東京23区(841戸/同▲22.6%)、都下(200戸/同▲33.6%)、横浜市(120戸/同▲36.5%)、川崎市(33戸/同▲44.1%)、 神奈川県その他(162戸/同▲40.2%)では10%超減少した。
平均契約率は77.6%で、前年同月(78.6%)に比べ▲1.0ポイントの低下。エリア別では、東京23区(76.3%)、横浜市(75.0%)、埼玉県その他(80.2%)、千葉市(90.7%)、千葉県その他(97.6%)などで70%を上回った。一方、都下(65.0%)、神奈川県その他(58.0%)、さいたま市(64.3%)では70%を下回った。
平均価格は6,020万円で、前年同月(6,595万円)に比べ▲8.7%の大幅な低下。エリア別では、東京23区(8,107万円)が前年同月比▲9.4%の低下。さいたま市(4,748万円/前年同月比▲29.3%)、埼玉県その他(4,475万円/同▲11.6%)、千葉市(4,403万円/同▲10.3%)では10%超低下した。一方、神奈川県その他(5,787万円)では前年同月比+30.2%と10%超上昇した。
平均面積は66.75㎡で、前年同月(66.62㎡)に比べ+0.2%と横ばい。エリア別では、東京23区(67.21㎡/前年同月比+3.1%)、横浜市(68.31㎡/同+4.1%)、神奈川県その他(70.15㎡/同+4.6%)で3%超拡大した。一方、川崎市(59.35㎡/同▲14.2%)、さいたま市(54.43㎡/同▲21.1%)で3%超縮小した。
平均坪単価は@298.1万円/坪で、前年同月(@327.3万円/坪)に比べ▲8.9%の大幅な低下。エリア別では、東京23区(@398.8万円/坪/前年同月比▲12.1%)、さいたま市(@288.4万円/坪/同▲10.5%)、埼玉県その他(@212.9万円/坪/同▲12.0%)で10%超低下した。一方、神奈川県その他(@272.7万円/坪/同+24.4%)で10%超上昇した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(31.6ポイント)は、前月(31.6ポイント)と横ばい推移(±0.0ポイント)。3か月連続で同値であった。物価高による下押しの一方で、コロナ禍からの回復や賃上げ・雇用改善がほぼ相殺している形。依然としてリーマン・ショック直後並みの低水準に留まっている。また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(23.2ポイント)は、前月比▲0.7ポイント。物価高で耐久消費財の購入を先延ばしにする傾向に大きな変化はない。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(27,445円/最終取引日終値)は、前月(27,327円/同)からやや上昇。2か月連続で上昇しており、当月通して27,500円前後で推移した。当月前半は米国でのインフレ減速の見方から米国株は堅調に推移し、それにつられて日本株も上昇。当月後半の2月24日には、衆参両院運営委員会で次期日銀総裁候補の植田和男氏への所信聴取が開かれた。所信聴取での「金融政策の転換」示唆が注目されたが、植田氏は「金融緩和の当面継続」を表明。米金融引き締めの長期化観測も強まり、当月の最終日はプラスを確保して取引を終えた。
<供給戸数>
当月の供給戸数(2,336戸)は、前年同月(2,695戸)から減少。5か月連続で前年同月を下回った。当月は東京23区(841戸)が前年同月比▲22.6%の大幅な減少。4か月連続で20%超の大幅な減少かつ3か月連続の1,000戸以下に留まった。中でも当月は新規発売が低調で、2022年6月(7物件・169戸)を下回る5物件・134戸に留まった。そのほか、都下(200戸/前年同月比▲33.6%)、神奈川県(315戸/同▲39.3%)も大幅に減少した。一方で、埼玉県(435戸/同+31.8%)、千葉県(498戸/同+8.5%)は増加。埼玉県は、新規発売(10物件・300戸)が活発で全体に寄与したものの、その他のエリアの新規発売は12物件・321戸に留まり、全体の戸数が伸びなかった。
なお、当月の供給戸数は2020年2月(2,147戸)比+8.8%、 2021年2月(3,457戸)比▲32.4%。例年2月は、春商戦の入り口となり3月以降に向けて徐々に供給が増える時期。年によって差は激しいが、過去3年でみるといずれも大きく減少している。
<平均契約率>
当月の平均契約率(77.6%)は、5か月連続で70%を上回った。東京23区(76.3%)、埼玉県(74.5%)、千葉県(95.4%)で70%を大きく上回り、全体を押し上げた。東京23区は8か月連続で70%超で推移。人気物件の「HARUMI FLAG」の継続販売(販売194戸/契約率100%)があったことも契約率を押し上げた要因である。
一方で、前月同月比では2か月ぶりに低下した。当月の下げ幅は▲1.0%と小さいが、当月の平均契約率は新規割合が27%に留まる中での結果。新規物件は売り出しを後ろ倒しにすることで契約率を維持、継続物件は購入希望の顧客数に対して売れ出し戸数を決める販売手法で契約率を維持している。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(6,020万円)と平均坪単価(@298.1万円/坪)は、前年同月(価格6,595万円/坪単価@327.3万円/坪)より大幅に低下。当月は価格水準の高い東京23区の供給シェア(36.0%)が前年同月(40.3%)より縮小したことが一因。加えて、当月は東京23区内でも駅距離のある物件や、埼玉県の北エリアといった郊外周辺部での価格の割安な物件の供給が多く、@300万円/坪以下の供給割合が供給戸数の72%(1,674戸)と、前年同月の同54%(1,467戸)より高まったことで価格・坪単価が低下した。
平均価格は4か月連続で前年同月を下回り、弱含み推移。ただし、直近4か月は5,700~6,300万円の間を上下しており、価格が下落基調に入ったわけではない。価格の水準の高い東京23区の供給が4か月連続で大きく減少している中、郊外部の価格上昇が首都圏全体の高止まりを下支えする様相が続いている。
<平均面積>
当月の平均面積(66.75㎡)は、前年同月(66.62㎡)と変化なし。当月は平均専有面積75㎡超の供給が14%(317戸)と、前年同月の同19%(500戸)をやや下回ったが、平均専有面積89㎡台の「HARUMI FLAG」(販売194戸)が全体を引き上げたことで、結果的に前年同月と同水準となった。
【総括】
当月の供給戸数は5か月連続で前年同月割れ。人気継続物件のまとまった供給はあったものの、新規発売が2か月連続で800戸以下、前年はなかった新規割合20%台の低水準に留まった。しかも、直近2か月は新規発売のラインナップに大手デベロッパーが乏しい。
もっとも、当初は当年1~2月に新規発売を予定していた大型・大規模物件は多かった。しかし、昨今の物価上昇、価格高騰に加え、金利上昇懸念が加わったことから、今年に入って近郊・郊外部を中心に販売センターへの来場者数自体が落ちているという。「購買力のある富裕層向け物件では来場者数に変化はない」(大手デベロッパー・都心物件担当者)という一方で、「1~2月は来場者数が1~2割落ちた。集客できても“価格が高すぎる”と離脱する顧客も多い」(中堅デベロッパー・郊外物件担当者)との指摘がされている。こうした顧客行動の変化に伴い、新規売り出し時期を後ろ倒しにしている様子が垣間見える。来場者数が減少する中で、これまでのような市況好調が持続するのか、3月以降にスタートする大型・大規模物件の売り出し戸数に注目が集まりそうだ。
なお、2月に第1期販売(321戸)を実施した超高額物件「三田ガーデンヒルズ」(港区、全1,002戸)は当月の集計結果には入っていない。3月以降の反映となる。
2023年3月は、約3,000戸の供給見込み。東京23区を中心に多数の大規模物件の販売がスタートする。
<総戸数150戸以上の新規発売物件> ※一部物件を掲載
「WORLD TOWER RESIDENCE」(港区、全389戸)、「プラウドシティ小竹向原」(板橋区、全500戸)、「ヴィークステージ船橋薬園台ソライエ」(船橋市、全247戸)
【2023年1月の分譲マンション市況】
2023年1月(当月)の首都圏における新築分譲マンションの供給は、113物件・1,533戸で、前年同月(129物件・2,227戸)に比べ販売件数は▲12.4%、供給戸数は▲31.2%の大幅な減少となった。エリア別では、都下(233戸/前年同月比+11.5%)、埼玉県その他(105戸/同+31.3%)を除くエリアで減少。東京23区(580戸/同▲24.9%)、横浜市(97戸/同▲69.5%)、神奈川県その他(84戸/同▲42.5%)、さいたま市(41戸/同▲62.7%)、千葉市(132戸/同▲44.8%)で10%超減少した。
平均契約率は75.9%で、前年同月(74.0%)に比べ+1.9ポイントの上昇。エリア別では、東京23区(70.3%)、都下(74.2%)、横浜市(80.4%)、川崎市(100%)、千葉市(87.1%)、千葉県その他(86.9%)で70%を上回った。一方、神奈川県その他(66.7%)、さいたま市(51.2%)、埼玉県その他(68.6%)では70%を下回った。
平均価格は5,728万円で、前年同月(7,041万円)に比べ▲18.6%の大幅な低下。エリア別では、東京23区(6,888万円/前年同月比▲12.5%)、横浜市(5,819万円/同▲50.1%)、千葉市(4,292万円/同▲24.2%)、千葉県その他(4,130万円/同▲14.0%)などで10%超低下。一方、川崎市(5,993万円)は前年同月比+25.6%と、10%超上昇した。
平均面積は61.06㎡で、前年同月(69.00㎡)に比べ▲11.5%の大幅な縮小。エリア別では、東京23区(57.34㎡/前年同月比▲8.7%)、横浜市(68.46㎡/同▲12.3%)、神奈川県その他(53.19㎡/同▲24.9%)、埼玉県その他(65.33㎡/同▲5.4%)、千葉市(63.82㎡/同▲16.1%)、千葉県その他(67.67㎡/同▲25.8%)などで5%超縮小した。一方、川崎市(54.75㎡)は前年同月比+13.7%と、5%超拡大した。
平均坪単価は@310.2万円/坪で、前年同月(@337.3万円/坪)に比べ▲8.0%の低下。エリア別では、東京23区(@397.1万円/坪)が前年同月比▲4.1%の低下。横浜市(@281.0万円/坪)は同+43.2%と10%超低下した。一方、川崎市(@361.8万円/坪/前年同月比+10.5%)などで10%超上昇した。
当月の内閣府発表の関東の消費者態度指数(31.6ポイント)は、前月(31.6ポイント)と横ばい推移(±0.0ポイント)。3年ぶりに行動制限のない年末年始を迎えたことを背景に前月(2022年12月)と同値であった。ただし、コロナ禍前の2019年は40ポイント前後で推移していた。直近(2022年7月~当月)は、物価高の影響でリーマン・ショック前後の同時期(2008年7月~2009年1月)並みの水準に留まっている。また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(23.9ポイント)は、前月比▲0.3ポイント。直近(2022年7月~当月)は、22~25ポイント。この値はリーマン・ショック前後の同時期(2008年7月~2009年1月)の28~31ポイントを大きく下回っている。物価上昇が顕著な状況下で、耐久消費財の購入を先延ばしにする傾向が続いている。
当月の日経平均株価(27,327円/最終取引日終値)は、前月(26,094円/同)から大きく上昇。2か月ぶりに上昇した。当年の大発会では25,716円の安値で取引を終え、その後は概ね26,000円台で推移。日銀が17・18日に開いた金融政策決定会合で金融緩和策の維持を決めたことを受けて、27,000円台に上昇した。同会合での長期金利の変動許容幅の拡大観測が出ていたが、前年12月に続く拡大はなく、金利高や円高への懸念が後退。輸出関連株などが牽引した。
当月の供給戸数(1,533戸)は、前年同月(2,227戸)から大幅に減少。4か月連続で前年同月を下回った。当月は東京23区(580戸)が前年同月比▲24.9%と大幅に減少。新規発売・継続販売ともに低調で、2か月連続の1,000戸以下、前年8月(542戸)以来の500戸台に留まった。そのほか、神奈川県(280戸/前年同月比▲50.5%)、埼玉県(146戸/同▲23.2%)、千葉県(285戸/同▲28.8%)の郊外部も大幅に減少。郊外3県での総戸数150戸以上の大型・大規模物件の新規発売はなかった。3県の新規発売は7物件・317戸に留まり、全体に影響した。
なお、当月の供給戸数は2020年1月(1,759戸)比▲12.9%、 2021年1月(2,017戸)比▲24.0%。例年1月は、2月以降の春商戦に向けた集客時期で供給は2,000戸前後となっている。当月の供給は例年を大きく下回る水準と言える。
当月の平均契約率(75.9%)は、4か月連続で70%を上回った。供給の18.3%を占める神奈川県(83.2%)、同18.6%を占める千葉県(87.0%)で80%を超え、全体をを押し上げた。東京23区(70.3%)も6か月連続で70%を超え堅調に推移している。前月までは首都圏全体の平均契約率が7か月連続で前年同月を下回っていたが、当月は上回った。他方、物価上昇、金利上昇懸念を払しょくできない状況は続いている。当月は新規発売が限定的であったことから、景気・金利動向の影響を受けやすい郊外一次取得層向け物件の売れ行きへの影響は見えにくい。2月以降、郊外でまとまった新規発売が予定されていることから、売れ行きへの影響を注視する必要がある。
当月の平均面積(61.06㎡)は、前年同月(69.00㎡)より大きく縮小。当月は平均専有面積60㎡以下の新規発売が12物件・335戸登場。全体でも平均面積60㎡以下の供給割合が供給戸数の37%(564戸)と、前年同月の同28%(636戸)より大幅に高まったことが影響した。
当月の平均価格(5,728万円)は、平均面積が大きく縮小したことで前年同月(7,041万円)より大幅に低下した。当月の平均坪単価(@310.2万円/坪)も、前年同月(@337.3万円/坪)より低下。当月は価格水準の高い東京23区の供給シェア(37.8%)は前年同月(34.7%)より拡大したが、その東京23区(@397.1万円/坪)は、前年同月(@414.3万円/坪)より▲4.1%の低下。加えて、神奈川県(@300.9万円/坪)も前年同月(@399.9万円/坪)比▲24.8%と、低下幅が大きかった。前年同月は「横浜」駅前で@700万円/坪超の新規発売があり、価格・坪単価を引き上げていた。全体でも、平均坪単価@600万円/坪以上の超高額物件の供給割合が供給戸数の3%(52戸)と、前年同月の同9%(199戸)から低下した。
【総括】
当月の供給戸数は2020年6月(1,707戸)以来の1,000戸台。新規発売・継続販売ともに低調で、販売100戸を超える売り出しがなかったことが影響した。2020年6月の供給減は新型コロナウィルスによる社会経済活動の制限が厳しかった影響だが、当月は感染症対策や天変地異といった一時的な要因によるものではなく、2021年下期から続く着工減、建築費及び土地取得費上昇による価格上昇、物価急騰・金利上昇による消費マインドの低下などによる継続した複合要因によるものである。一方で、前年の着工は2021年比+4.8%の52,000戸水準に回復した。今後は着工した物件が順次供給されていく見通しで、供給回復の兆しはある。
平均契約率は4か月連続の70%超で推移。ただ、「購買力の高い層が多い都心部は好調に推移するが、郊外部では物件によって好調不調物件が混在する」(弊社・市況アンケート)との声が聞かれる。足元でも金利上昇の影響もあって、中古の売り出し物件が急増しており、マーケットを取り巻く環境も変化している。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の発表によれば、当月の首都圏中古マンションの新規登録件数は前年同月比+31.7%の16,588件だった。その上、在庫件数(41,665戸)も12か月連続で増加している。中古マンションの市場動向が新築分譲マンションの売れ行き、価格に影響を与えそうだ。
2023年2月は、約2,500戸の供給見込み。都心で大規模物件の販売がスタートするほか、「HARUMI FLAG」(中央区、全4,145戸)の継続販売が実施される。
<総戸数150戸以上の新規発売物件> ※一部物件を掲載
「三田ガーデンヒルズ」(港区、全1,002戸)、「ザ・パークハウス三郷」(三郷市、全196戸)