【2025年1月の分譲マンション市況】
2025年1月(当月)の首都圏新築分譲マンションにおける供給戸数は904戸で、前年同月(1,758戸)に比べ▲48.6%の大幅な減少。2か月ぶりに前年同月を下回った。エリア別では、埼玉県(133戸/+20.9%)以外で大幅に減少した。減少エリアは、東京23区(427戸/▲34.7%)、都下(27戸/▲86.9%)、神奈川県(217戸/▲50.0%)、千葉県(85戸/▲76.0%)。
平均契約率は70.4%で、2か月ぶりに70%を上回った。前年同月比(80.6%)では▲10.2ポイント低下した。エリア別では、東京23区(72.4%/▲4.1pt)、埼玉県(82.0%/+12.9pt)で70%を上回った。一方で、都下(40.7%/▲44.3pt)、神奈川県(67.3%/▲14.5pt)、千葉県(54.1%/▲33.8pt)では70%を下回った。
平均価格は8,684万円で、前年同月(8,148万円)に比べ+6.6%の上昇。2か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、都下(6,242万円/+18.6%)、埼玉県(5,695万円/+13.2%)で大幅な上昇。一方で、東京23区(11,735万円/▲0.1%)、神奈川県(6,571万円/▲1.4%)、千葉県(4,907万円/▲17.7%)では低下した。
平均面積は62.54㎡で、前年同月(68.45㎡)に比べ▲8.6%の縮小。全エリアで縮小した。内訳は東京23区(59.32㎡/▲9.7%)、都下(56.44㎡/▲15.4%)、神奈川県(66.62㎡/▲5.4%)、埼玉県(60.66㎡/▲9.1%)、千葉県(68.72㎡/▲5.5%)。
平均坪単価は@459.1万円/坪で、前年同月(@393.5万円/坪)に比べ+16.7%の大幅な上昇。平均価格同様、2か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、千葉県(@236.1万円/坪/▲12.9%)以外で上昇した。上昇エリアは東京23区(@654.0万円/坪/+10.6%)、都下(@365.6万円/坪/+40.2%)、神奈川県(@326.1万円/坪/+4.1%)、埼玉県(@310.3万円/坪/+24.6%)。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の消費者態度指数(34.8pt)は、前月(35.9pt)から悪化(▲1.1pt)。2か月ぶりに悪化した。また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(27.5pt)も、前月(29.5pt)から悪化(▲2.0pt)。なお、「耐久消費財の買い時判断」以外の項目は、「収入の増え方」(39.4pt/±0.0pt)は変化がなかったものの、「暮らし向き」(31.9pt/▲1.7pt)と「雇用環境」(40.4pt/▲0.5pt)が悪化した。内閣府は、消費者マインドの基調判断を8か月ぶりに「足踏みがみられる」に下方修正した。コメの価格の高止まりや生鮮野菜の価格の高騰が消費者心理に影響しているとみられる。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(39,572円/最終取引日終値)は、前月(39,894円/同)から下落。2か月ぶりに下落した。39,000円台で始まった当月の日経平均は、当月7日に40,000円を突破するなど安定推移。中旬は38,000円台に下落したが、下旬には39,000円台に戻した。
当月20日のトランプ米大統領の就任に先立って、米国の対中政策に対する不透明感が漂い、日本国内の輸出関連株への投資は手控えられていた。その後、17日にトランプ氏と中国の習近平国家主席が電話会談し、米中摩擦に関する警戒感が後退したことや、トランプ米大統領が公言していた中国に特化した関税導入とすべての国への一律の関税を発動しなかったことが安心感につながり、日経平均は続伸した。
日銀は23~24日に開いた金融政策決定会合で追加利上げを決め、政策金利とする短期金利を0.25%から0.5%に引き上げた。政策金利が0.5%になるのは2007年2月〜2008年10月以来、17年ぶり。ただ、追加利上げが織り込まれていたこともあって、その後の日経平均への影響は軽微であった。
中国の新興企業「DeepSeek」が開発した低コスト生成AIの台頭で、28日には半導体関連銘柄に売りが広がり、日経平均は39,016円まで下落した。日経半導体関連銘柄が売られた反面、内需関連銘柄に投資家の目が向いたことから、28日以降の日経平均は続伸した。
<供給戸数>
当月の供給戸数(904戸)は、前年同月を50%弱(約850戸)下回った。当月は大型・大規模物件(総戸数150戸以上)の新規発売がなかった上、販売40戸以上の継続物件もなかった。新規発売の物件数は前年同月から半減(前年同月24物件→当月12物件)し、発売戸数も約3分の1に減った(前年同月1,028戸→当月391戸)。継続物件は全体の86%(全86物件中74物件)が販売10戸以下だった。なお、当月の供給戸数は2022年1月(2,227戸)比▲59.4%、2023年1月(1,533戸)比▲41.0%。直近3年の同月との比較ではいずれも大幅に減少している。
エリア別では、川口市と戸田市で新規発売物件(3物件・94戸)が登場した「埼玉県」(+20.9%)以外は大幅減。都下(▲86.9%)、千葉県(▲76.0%)では新規発売物件がなく、神奈川県の同は1物件(58戸)に留まった。東京23区の同は前年同月比▲43.2%の239戸に留まった。
「埼玉県」は3か月連続で前年同月を上回っている。一方で、「神奈川県」は4か月連続、「都下」は2か月連続で前年同月を下回っている。「千葉県」は4か月ぶり、「東京23区」は2か月ぶりに前年同月を下回った。
<平均契約率>
当月の平均契約率(70.4%)は70%を上回った。エリア別では、「埼玉県」(82.0%)が80%超と好調。「東京23区」(72.4%)も70%を上回った。しかし、「都下」(40.7%)、「神奈川県」(67.3%)、「千葉県」(54.1%)と郊外3エリア(供給シェアは計36.4%)が70%を下回り、全体の平均契約率は70%をわずかに上回る程度だった。
「東京23区」は2か月連続で70%を上回っている。「埼玉県」は2か月ぶりに70%を上回った。他方で、「都下」、「神奈川県」、「千葉県」は2か月連続で70%を下回っている。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(8,684万円)と平均坪単価(@459.1万円/坪)は、前年同月から上昇。当月は@1,500万円超/坪の港区のタワー物件が市況を牽引。全体を大きく引き上げた。前年同月は@1,000万円超/坪の供給は2戸だった。また、価格水準の高い東京23区の供給シェアは当月47.2%と、前年同月の41.8%から大幅に高まったことも、価格・坪単価の上昇に寄与している。当月の坪単価は千葉県以外で上昇。「埼玉県」(+24.6%)は9か月連続、「都下」(+40.2%)は7か月連続、「神奈川県」(+4.1%)は3か月連続、「東京23区」(+10.6%)は2か月連続で上昇している。一方で、「千葉県」(▲12.9%)は5か月ぶりに低下した。
<平均面積>
当月の平均面積(62.54㎡)は、前年同月から大幅に縮小。当月は平均面積50㎡以下のコンパクト物件が多かった。コンパクト物件の供給シェアは全体の26.4%(239戸)と、前年同月の8.4%(147戸)から大幅に高まったことが縮小要因である。
<2月の供給見込み>
2025年2月は、約1,500戸の供給見込み。
【2025年2月の分譲マンション市況】
2025年2月(当月)の首都圏新築分譲マンションにおける供給戸数は1,634戸で、前年同月(2,046戸)に比べ▲20.1%の大幅な減少。2か月連続で前年同月を下回っている。エリア別では、都下(292戸/+74.9%)、埼玉県(150戸/+41.5%)、千葉県(296戸/+51.8%)で大幅に増加。一方で、東京23区(561戸/▲34.4%)、神奈川県(315戸/▲54.9%)では大幅に減少した。
平均契約率は75.7%で、2か月連続で70%を上回っている。前年同月比(76.7%)では▲1.0ポイント低下した。エリア別では、神奈川(68.3%/▲10.5pt)以外で70%を上回った。東京23区(71.7%/▲6.0pt)、都下(87.3%/+23.2pt)、埼玉県(76.7%/+16.3pt)、千葉県(82.8%/▲2.3pt)では70%を上回った。
平均価格は9,081万円で、前年同月(6,664万円)に比べ+36.3%の大幅な上昇。3か月連続で前年同月を上回っている。全エリアで上昇した。内訳は、東京23区(12,795万円/+58.9%)、都下(7,256万円/+23.4%)、神奈川県(6,952万円/+18.4%)、埼玉県(9,965万円/+83.2%)、千葉県(5,953万円/+17.2%)。
平均面積は64.80㎡で、前年同月(65.15㎡)に比べ▲0.5%の縮小。エリア別では、東京23区(63.92㎡/+4.7%)、埼玉県(68.78㎡/+1.4%)で拡大。一方で、都下(60.74㎡/▲12.6%)、神奈川県(64.10㎡/▲4.2%)、千葉県(67.69㎡/▲4.4%)では縮小した。
平均坪単価は@463.2万円/坪で、前年同月(@338.1万円/坪)に比べ+37.0%の大幅な上昇。平均価格同様、3か月連続で前年同月を上回っている。全エリアで上昇した。内訳は、東京23区(@661.8万円/坪/+51.7%)、都下(@394.9万円/坪/+41.2%)、神奈川県(@358.5万円/坪/+23.6%)、埼玉県(@478.9万円/坪/+80.6%)、千葉県(@290.7万円/坪/+22.6%)。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の消費者態度指数(34.7pt)は、前月(34.8pt)から悪化(▲0.1pt)。2か月連続で悪化した。また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(27.3pt)も、前月(27.5pt)から悪化(▲0.2pt)。加えて、「暮らし向き」(31.5pt/▲0.4pt)、「収入の増え方」(39.4pt/▲0.2pt)も悪化した。他方で、「雇用環境」(40.7pt/+0.3pt)は改善した。内閣府は、消費者マインドの基調判断を2か月連続で「足踏みがみられる」に据え置いた。長期化しているコメや野菜といった食品価格の上昇が、消費者心理を冷え込ませているようだ。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(37,155円/最終取引日終値)は、前月(39,572円/同)から下落。2か月連続で下落した。39,000円台で始まった当月の日経平均は、当月3日に39,000円を割り、その後は一時39,000円台に戻すなど方向感の定まらない展開。末日には2024年9月19日以来の安値で当月を終えた。
当月最初の取引日となった3日は日経平均株価が急反落した。トランプ米大統領が1日、事前観測に反してメキシコなどへの追加関税を課す大統領令に署名。自動車株など、輸出関連株を中心に幅広い銘柄が売られる展開となった。その後、中旬にかけては円安・ドル高の進行を受けて上昇する局面もあった。
しかし、2月27日のトランプ米大統領の発言で潮目が変わった。トランプ大統領は3月4日に延期していたメキシコとカナダに対する追加関税を実施し、中国にも、1月の大統領就任後に発動させた10%の関税を、20%に引き上げると宣言した。市場では「関税政策は各国とのディールのためのカード」とみられており、実際に追加関税を発動すると見ていた関係者は少なかった。それだけに株式市場の動揺は大きかった。
<供給戸数>
当月の供給戸数(1,634戸)は、前年同月(2,046戸)を約20%(約400戸)下回った。当月は豊島区と川口市での再開発のタワー物件の新規発売が目立ったが、全体の新規発売戸数は前年同月比▲37.7%の468戸に落ち込んだ。新規発売の減少分(約300戸)がそのまま全体の減少に結び付いている。なお、当月の供給戸数は2022年2月(2,695戸)比▲39.4%、2023年2月(2,336戸)比▲30.1%。直近3年の同月との比較ではいずれも大きく減少している。
エリア別では、多摩市と小金井市で総戸数100戸以上の新規発売があった「都下」(+74.9%)、川口市の再開発物件をはじめ、さいたま市浦和区で新規2物件が発売された「埼玉県」(+41.5%)、新規発売物件はなかったが、千葉市美浜区でタワー物件のまとまった継続販売があった「千葉県」(+51.8%)で大幅に増加した。しかし、新規発売戸数が半減した「東京23区」(▲34.4%)、「川崎市」と「神奈川県その他」で新規発売物件がなかった「神奈川県」(▲54.9%)の減少幅が大きく、首都圏全体では大幅な減少となった。
「埼玉県」は4か月連続で前年同月を上回っている。都下は3か月ぶり、千葉県は2か月ぶりに前年同月を上回った。一方で、「神奈川県」は5か月連続、「東京23区」は2か月連続で前年同月を下回っている。
<平均契約率>
当月の平均契約率(75.7%)は75%を上回った。75%を超えるのは4か月ぶり。エリア別では、「都下」(87.3%)と「千葉県」(82.8%)が80%超と好調。「東京23区」(71.7%)、埼玉県(76.7%)も70%を上回った。
「東京23区」は3か月連続、「埼玉県」は2か月連続で70%を上回っている。「都下」と「千葉県」は3か月ぶりに70%を上回った。他方で、「神奈川県」は3か月連続で70%を下回っている。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(9,081万円)と平均坪単価(@463.2万円/坪)は、前年同月(平均価格6,664万円/平均坪単価@338.1万円/坪)から大幅に上昇。当月は@900万円超/坪の豊島区のタワー物件が市況を牽引。全体を大きく引き上げた。@900万円超/坪の供給は前年同月は12戸だったのに対し、当月は200戸が供給。全体の12.2%を占めた。なお、価格水準の高い東京23区の供給シェアは当月34.3%と、前年同月の41.8%より縮小したものの、郊外部全エリアで価格・坪単価が上昇。首都圏全体の大幅な上昇につながった。当月の坪単価は全エリアで上昇。「埼玉県」(+80.6%)は10か月連続、「都下」(+41.2%)は8か月連続、「神奈川県」(+23.6%)は4か月連続、「東京23区」(+51.7%)は3か月連続で上昇している。「千葉県」(+22.6%)は2か月ぶりに上昇した。
<平均面積>
当月の平均面積(64.80㎡)は、前年同月(65.15㎡)並み。当月は平均面積50㎡以下のコンパクト物件が多かった。コンパクト物件の供給シェアは全体の16.0%(262戸)と、前年同月の6.2%(126戸)から大幅に高まった。一方で、当月は平均面積75㎡以上の広面積物件も多かった。広面積物件の供給シェアは全体の15.7%(256戸)と、前年同月の5.1%(105戸)から大幅に高まった。その結果、前年同月並みの水準となった。
<3月の供給見込み>
2025年3月は、約2,500戸の供給見込み。
【2025年3月の分譲マンション市況】
2025年3月(当月)の首都圏新築分譲マンションにおける供給戸数は2,563戸で、前年同月(2,821戸)に比べ▲9.1%の減少。3か月連続で前年同月を下回っている。エリア別では、東京23区(1,116戸/+12.2%)、都下(242戸/+108.6%)、埼玉県(515戸/+122.0%)で大幅に増加。一方で、神奈川県(531戸/▲22.7%)、千葉県(159戸/▲70.6%)では大幅に減少した。
平均契約率は78.9%で、3か月連続で70%を上回っている。前年同月比(81.5%)では▲2.6ポイント低下した。エリア別では、都下(51.7%/+12.0pt)以外で70%を上回った。70%を上回ったのは東京23区(86.2%/▲0.3pt)、神奈川県(79.7%/+0.7pt)、埼玉県(75.5%/+1.8pt)、千葉県(78.0%/▲1.3pt)。
平均価格は9,347万円で、前年同月(7,585万円)に比べ+23.2%の大幅な上昇。4か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、東京23区(13,645万円/+26.9%)、都下(6,156万円/+14.7%)、埼玉県(5,775万円/+19.4%)で大幅に上昇。一方で、神奈川県(6,482万円/▲0.5%)、千葉県(5,182万円/▲15.6%)では低下した。
平均面積は66.13㎡で、前年同月(67.40㎡)に比べ▲1.9%の縮小。エリア別では、神奈川県(65.08㎡/+0.9%)、埼玉県(68.76㎡/+3.4%)で拡大。一方で、東京23区(65.25㎡/▲0.2%)、都下(66.15㎡/▲1.7%)、千葉県(67.31㎡/▲4.5%)では縮小した。
平均坪単価は@467.2万円/坪で、前年同月(@372.1万円/坪)に比べ+25.6%の大幅な上昇。平均価格同様、4か月連続で前年同月を上回っている。エリア別では、東京23区(@691.3万円/坪/+27.2%)、都下(@307.6万円/坪/+16.7%)、埼玉県(@277.7万円/坪/+15.5%)で大幅に上昇。一方で、神奈川県(@329.2万円/坪/▲1.5%)、千葉県(@254.5万円/坪/▲11.6%)では低下した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の消費者態度指数(34.3pt)は、前月(34.7pt)から悪化(▲0.4pt)。3か月連続で悪化した。一方、当月の「耐久消費財の買い時判断」(27.4pt)は、前月(27.3pt)から改善(+0.1pt)した。そのほかの指標は、「暮らし向き」(30.9pt/▲0.6pt)、「収入の増え方」(38.9pt/▲0.3pt)、雇用環境(40.0pt/▲0.7pt)と悪化した。内閣府は、消費者マインドの基調判断を3か月連続で「足踏みがみられる」に据え置いた。当月の消費者態度指数は2023年3月(34.0pt)以来の低水準。物価高が響いているとみられる。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(35,617円/最終取引日終値)は、前月(37,155円/同)から下落。3か月連続で下落した。37,000円台前半で始まった当月の日経平均は、中旬に36,000円を割る場面もあったが、その後は36,000円台後半~37,000円台前半で推移。26日には38,000円台を付けた。しかし、末日には下げ幅が1,500円を超え、2024年8月9日(35,025円/終値)以来の安値で当月の取引を終えた。
当月はトランプ米大統領による、貿易相手国と同水準まで関税率を引き上げる「相互関税」導入への警戒感が市場に重荷となった。ただ、26日には38,027円と、2月27日(38,256円/終値)以来の高値を記録。円安進行などを背景に、輸出関連株に買いが広がり、日経平均が上昇する局面もあった。
しかし、同日、トランプ米大統領が輸入自動車に追加関税をかけると表明。27日以降は国内自動車株が軒並み売られた。また、半導体に関する米中対立への懸念を背景に、米市場で半導体株が下落。それに釣られて国内半導体株にも影響が出た。末日には、4月3日に発動を予定する自動車関税を控えて、市況への減速感が一気に強まり、東京市場で幅広い銘柄が売られた結果、日経平均が急落した。
<供給戸数>
当月の供給戸数(2,563戸)は、前年同月(2,821戸)を10%弱(約250戸)下回った。当月は総戸数150戸以上の新規大型・大規模物件が前年同月を300戸強上回る577戸が供給され、市場を盛り上げた。しかし、そのほかの中小規模物件の新規発売が乏しく、全体の新規物件数は11棟減少(前年同月38棟→当月27棟)。その結果、供給戸数も前年同月を下回る結果となった。なお、当月の供給戸数は2022年3月(2,927戸)比▲12.4%、2023年3月(2,833戸)比▲9.5%。
エリア別では、港区で新規タワー物件、中央区で継続タワー物件の200戸強の供給があった「東京23区」(+12.2%)、小平市で総戸数600戸強の大規模物件の販売が始まった「都下」(+108.6%)、所沢市で総戸数300戸強の大規模物件が発売された「埼玉県」(+122.0%)で大幅に増加した。しかし、新規発売戸数が半減した「神奈川県」(▲22.7%)、新規発売戸数が4分1に減った千葉県(▲70.6%)の減少幅が大きく、3エリアの増加分を相殺した。前年同月は茨城県の供給がまとまり(251戸)、全体を押し上げていた。結果的に茨城県の供給分がそのまま、当月の首都圏全体の減少につながった。
「埼玉県」は5か月連続、「都下」は2か月連続で前年同月を上回っている。「東京23区」は3か月ぶりに前年同月を上回った。一方で、「神奈川県」は6か月連続で前年同月を下回っている。「千葉県」は2か月ぶりに前年同月を下回った。
<平均契約率>
当月の平均契約率(78.9%)は75%を上回った。供給減少下でも2か月連続の75%超。エリア別では、「東京23区」(86.2%)が80%超、「神奈川県」(79.7%)、「埼玉県」(75.5%)、千葉県(78.0%)が75%以上で好調だった。
「東京23区」は4か月連続、「埼玉県」は3か月連続、「千葉県」は2か月連続で70%を上回っている。「神奈川県」は4か月ぶりに70%を上回った。他方で、「都下」は2か月ぶりに70%を下回った。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(9,347万円)と平均坪単価(@467.2万円/坪)は、前年同月(平均価格7,585万円/平均坪単価372.1万円/坪)から大幅に上昇。当月は@800万円強/坪の港区と中央区のタワー物件が市況を牽引。全体を大きく引き上げた。@800万円超/坪の供給シェアは前年同月は全体の4.2%(117戸)だったのに対し、当月は20.4%(523戸)に達した。価格水準の高い東京23区の供給シェアも当月43.5%と、前年同月の35.3%から大幅に高まった。当月の坪単価は東京23区、都下、埼玉県で大幅に上昇。「埼玉県」(+15.5%)は11か月連続、「都下」(+16.7%)は9か月連続、「東京23区」(+27.2%)は4か月連続で上昇している。他方で、「神奈川県」(▲1.5%)は5か月ぶり、「千葉県」(▲11.6%)は2か月ぶりに低下した。
<平均面積>
当月の平均面積(66.13㎡)は、前年同月(67.40㎡)から縮小。当月は75㎡以上の広面積物件の供給が前年同月より少なかった。75㎡以上の供給シェアは前年同月18.5%(522戸)に対して、当月11.4%(291戸)と大幅に縮小したことで、全体の平均面積が狭まった。なお、平均面積50㎡以下のコンパクト物件の供給シェアは、当月8.0%(205戸)と、前年同月の9.9%(278戸)からやや縮小した。
<4月の供給見込み>
2025年4月は、約2,000戸の供給見込み。
【2025年4月の分譲マンション市況】
2025年4月(当月)の首都圏新築分譲マンションにおける供給戸数は1,727戸で、前年同月(1,810戸)に比べ▲4.6%の減少。4か月連続で前年同月を下回っている。エリア別では、都下(203戸/+62.4%)、千葉県(382戸/+49.2%)で大幅に増加。一方で、東京23区(471戸/▲29.9%)、神奈川県(463戸/▲13.5%)、埼玉県 (174戸/▲21.6%)では大幅に減少した。
平均契約率は78.9%で、4か月連続で70%を上回っている。前年同月比(73.6%)では+5.3ポイント上昇した。エリア別では、埼玉県(60.3%/▲6.8pt)以外で70%を上回った。70%を上回ったのは東京23区(72.6%/+0.6pt)、都下(88.7%/+23.1pt)、神奈川県(78.6%/+3.3pt)、千葉県(88.5%/+4.5pt)。
平均価格は7,061万円で、前年同月(7,203万円)に比べ▲2.0%の低下。5か月ぶりに前年同月を下回った。エリア別では、都下(6,994万円/+17.3pt)、神奈川県(6,935万円/+0.7%)、埼玉県(4,916万円/+3.5%)、千葉県(5,980万円/+19.8%)で上昇。一方で、東京23区(9,136万円/▲2.2%)では低下した。
平均面積は65.73㎡で、前年同月(63.03㎡)に比べ+4.3%の拡大。エリア別では、東京23区(61.07㎡/+4.5%)、埼玉県(67.41㎡/+8.4%)、千葉県(70.40㎡/+17.9%)で拡大。一方で、都下(59.47㎡/▲10.5%)、神奈川県(67.53㎡/▲3.5%)では縮小した。
平均坪単価は@355.1万円/坪で、前年同月(@377.8万円/坪)に比べ▲6.0%の低下。平均価格同様、5か月ぶりに前年同月を下回った。エリア別では、都下(388.8万円/坪/+30.9%)、神奈川県(@339.5万円/坪/+4.3%)、千葉県(@280.8万円/坪/+1.7%)で上昇。一方で、東京23区(@494.6万円/坪/▲6.4%)、埼玉県(@241.1万円/坪/▲4.5%)では低下した。
<消費者態度指数>
当月の内閣府発表の消費者態度指数(31.3pt)は、前月(34.3pt)から悪化(▲3.0pt)。4か月連続で悪化した。当月の水準は2023年2月(30.9pt)以来の低水準。
また、当月の「耐久消費財の買い時判断」(24.2pt)も、前月(27.4pt)から悪化(▲3.2pt)した。そのほかの指標は、「暮らし向き」(27.4pt/▲3.5pt)、「収入の増え方」(37.5pt/▲1.4pt)、雇用環境(36.2pt/▲3.8pt)と、4つの指標すべてで大幅に悪化した。
内閣府は消費者マインドの基調判断を5か月ぶりに変更。前月までの「足踏みがみられる」から、「弱含んでいる」に下方修正した。「弱含んでいる」は2022年7~9月以来の表現。コメの価格高止まりや年度替わりでの食料品などの値上げが響いた模様。
<日経平均株価>
当月の日経平均株価(36,045円/最終取引日終値)は、前月(35,617円/同)から上昇。4か月ぶりに上昇した。当月は米・トランプ政権の関税政策を巡る動きを背景に、相場が乱高下した。当月の最安値(30日)と最高値(7日)の差は4,908円と、月間の値幅としては過去4番目の大きさであった。
トランプ米大統領は当月2日、貿易相手国の輸入品に関税をかける「相互関税」の税率を発表。日本を含め、各国の想定を大きく上回る税率であったことから、世界的に株価が急落した。日経平均への影響も大きく、7日には前日比2,644円安の31,136円(終値)に急落。1日の下落幅として歴代3位の大きさとなり、約1年5か月ぶりの安値まで落ち込んだ。さらに、相互関税が発動された9日午後には、一時、1,700円以上の値下がりする局面もあった。
一方で、4月9日にはトランプ米大統領が相互関税の上乗せ分について、90日間の一時停止を表明。10日には前日比2,894円高(34,609円/終値)と、歴代2番目の上げ幅となった。その後、下旬にかけてはトランプ米政権による相互関税への過度な警戒感が後退。トランプ米政権と各国の関税交渉が進展するとの期待感から、相場は持ち直し末日に36,000円台に戻して当月の取引を終えた。
<供給戸数>
当月の供給戸数(1,727戸)は、前年同月(1,810戸)を5%弱(約80戸)下回った。当月は前年同月と同じ、4物件の大型・大規模物件(総戸数150戸以上)の販売がスタートしたものの、販売戸数は前年同月を40戸下回った。そのほかの中小規模物件の新規発売も6物件減り、その分、全体の供給戸数も減少した。なお、当月の供給戸数は2022年4月(2,718戸)比▲36.5%、2023年4月(2,386戸)比▲27.6%。直近3年の同月との比較では年々減少している。
エリア別では、各市で新規発売が活発だった「都下」(+62.4%)、鎌ケ谷市で新規大型物件、千葉市美浜区でタワー物件のまとまった継続販売があった「千葉県」(+49.2%)で大幅に増加した。しかし、新規発売戸数が100戸強(▲38.7%)減少した「東京23区」(▲29.9%)、神奈川県その他(▲86.7%)が大幅に減少した「神奈川県」(▲13.5%)、継続物件の販売が低調(すべて販売10戸以下)だった埼玉県(▲21.6%)の減少幅が大きかった。その結果、前年同月をやや下回る結果に落ち着いた。
「都下」は3か月連続で前年同月を上回っている。「千葉県」は2か月ぶりに前年同月を上回った。他方で、「神奈川県」は7か月連続で前年同月を下回っている。「埼玉県」は6か月ぶり、「東京23区」は2か月ぶりに前年同月を下回った。
<平均契約率>
当月の平均契約率(78.9%)は75%を上回った。供給減少傾向のマーケット下でも3か月連続の75%超。エリア別では、「都下」(88.7%)と「千葉県」(88.5%)が80%超、「神奈川県」(78.6%)が75%以上で好調だった。
「東京23区」は5か月連続、「千葉県」は3か月連続、「神奈川県」は2か月連続で70%を上回っている。「都下」は2か月ぶりに70%を上回った。他方で、「埼玉県」は4か月ぶりに70%を下回った。
<平均価格/平均坪単価>
当月の平均価格(7,061万円)と平均坪単価(@355.1万円/坪)は、前年同月(平均価格7,203万円/平均坪単価377.8万円/坪)からやや低下。当年に入って@400万円/坪以上で推移する中で、久々に低下した。その理由は、価格水準の高い東京23区の供給シェアが当月27.3%(前年同月37.1%)に留まったことにある。東京23区の供給シェアが30%を下回るのは、2023年10月(25.4%)以来。その東京23区内でも、超高額物件が集まる都心6区の供給が限定的(5物件・24戸)であった。一方で、東京23区、埼玉県以外の郊外エリアの坪単価は上昇した。よって、首都圏全体の価格・単価水準が下落傾向になったわけではなく、当月の価格・坪単価の低下は郊外エリアの供給比率(東京23区以外72.7%)が高まったことによる一時的なものである。当月の坪単価は都下、神奈川県、千葉県で上昇。「都下」(+30.9%)は10か月連続で上昇している。「神奈川県」(+4.3%)と「千葉県」(+1.7%)は2か月ぶりに上昇した。他方で、「埼玉県」(▲4.5%)は12か月ぶり、「東京23区」(▲6.4%)は5か月ぶりに低下した。
<平均面積>
当月の平均面積(65.73㎡)は、前年同月(63.03㎡)から拡大。平均面積50㎡以下のコンパクト物件の供給シェアが、当月13.1%(226戸)と、前年同月の15.0%(272戸)からやや縮小した。前年同月は東京23区を中心に平均面積50~60㎡の1LDK・2LDK混在物件の供給が全体の15.7%(284戸)を占めており、全体の面積が縮小していた。これに対して当月の平均面積50~60㎡の割合は11.5%(199戸)であった。
<5月の供給見込み>
2025年5月は、約1,500戸の供給見込み。
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<本件に関する問い合わせ>
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